あと少しの勇気があったのならば。

(💍) ひそか

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第二章

1 クラスメイトの余計な一言

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「本地!横田!」
日付が変わって俺はクラスメイトの本地明と横田賢治に声をかけた。二人とも何か用か?と言った顔でこちらを見ている。事情を本人から聞いた訳では無いので、顔を近づけ小声で祝福の言葉をおくった。二人ともとても嬉しそうに「ありがとう」と声を揃えていた。
二人は本当に幸せそうだった。幼馴染という枠を超えて恋人になった。そのことが嬉しいのだろう。幼馴染では出来なかったこと。つまり恋人らしいことをしても許される関係になったのだ。横田の首に赤い何かが見える。俺はそれが何か理解したが言わなかった。この場では正しい判断だっただろう。

「なぁ、かけるはさ、輝とはどんな感じなん?」
「あ、俺も気になっててん!明のおかげで聞くことできるわ~」
「は?輝とは普通に友達だけど、幼馴染っておまけ付きのな」
なにやら本地たちが勘違いをしているようだ。二人は俺らが付き合っていると思っているらしい。この質問をしているのだからきっとそうだろう。
「俺らは別にお前らみたいな関係じゃね~よ。」
俺はきっぱりと言った。二人は当たり前だろ、そんなこと知ってるわ。みたいな顔を向けてきた。
「そうじゃなくてさ、告白とかされたんとちゃうん?」
いやいや、なぜ輝が告白を…?そもそも誰に告白するんだよ。そういや輝は好きな奴がいたな…。今がチャンスかも知れねえ。こいつらに聞いてみよう。
「なぁ、輝って好きなやついるんだろ?誰なんだよ。しかも告白なんて…」
「え…?」
「あっ!明!これ…」
「気付いてないっぽいな。やめとこうか。なんでもないよ。かける。確かに輝には好きな人がいる。でもかけるは知らないみたいだから僕達からは言えないよ。本人に聞いて。」
いやいや、本人に聞いたさ。教えてくれないからモヤモヤしてるだけで。
「本人に聞いたけど、いないって嘘つかれたんだよ。」
なら尚更僕達からは教えられないね。と言われどこかへ行ってしまった。追ってもいいが今は昼休みだ。二人でイチャコラするんだろう。邪魔はやめとこう。大人しく輝のところへ行こう。そう思った時だった。
「かける!!!ご飯!!」
俺達は同じことを考えているんだな。タイミングもバッチリじゃねえか。そう思うとなんだか笑えてきた。輝とこうやって笑い合えるなら別に幼馴染でもいいんじゃねえか。ていうかこれからもこの関係は変わらねえよ。輝が誰を好きでも俺は応援するだけだし。本地や横田が知っているのならいつか俺にも教えてくれるだろうしな。

「かける、遊ぼ!」
その日は特に何も無かったので放課後どこかへ行くことになった。お互い受験は推薦で終わっていたため他の人と比べりゃ楽でいい。どこに行こうか。スマホで周辺のおすすめスポットを調べていた。結局は在り来りなカラオケに落ち着いた訳だが、久しぶりだしまあまあ楽しめた。時計を見ればもう九時を回っていた。高校生だし夜遊びなんてものにも興味はあるが輝は違う。真面目な彼はせめて十時までに家に帰らないと親が心配するって高校一年生の頃から言っていた。だから俺は必ず十時までに家に送り届ける。
「またな。」
輝を家に送り届けた。輝の母親が出てきて、今日泊まっていきなさいよ!明日お休みでしょう?久々にどうかしら?なんて言ってくれた。俺としてはどちらでも良かったのだ。今更気を使うなんて関係でもないし、親同士が高校からの知り合いでもあったから自分が小さい頃からお世話になってる。ただ、輝が泊まるならゲームをしよう!と目を輝かせて言うので泊まることにした。

ああ、今思えば素直に家に帰るべきだったのかもしれない。
もう少し気にすればよかったんだ。
クラスメイトの余計な一言を。
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