異世界初心者の冒険

海生まれのネコ

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第三章 冒険者たち

2・旅の仲間

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1・

急遽決まった旅の予定をどうにか可能にするため、夜の間にアリアナには彼女の母親に連絡を取ってもらい、僕は最初にロック様に連絡を取った。

あの使者の方が本物のミネットティオルからの者なのか、調べてもらった。

彼はクリスタ政府に先に接触を持ち、ミネットティオルの意向を使者として伝えていたようで、その部分でちゃんとした立場の者だというのは確証が得られた。

次に、シーマ様に連絡を入れた。

僕を利用して殺しかかったことをとても悪びれているシーマ様は、いつか罪滅ぼしをしたいと強く考えているようだ。

僕の本国への進学決定で罪滅ぼしのチャンスが出来たと喜んでいただけに、行けなくなったと連絡を入れるだけでも心苦しい。

それでも、メールの返事には僕のミネットティオル行きに賛成してくれる文があった。

申し訳ないと思いつつ、大学の方にも入学辞退の連絡を入れて、スッキリ身綺麗になった。

そして翌日。

急な旅立ちながら、連絡を入れた知人の中で時間の都合がついた数名が、クリスタ中央宇宙港に見送りに来てくれた。

一番大事な荷物のポドールイ王装備一式を、再びカシミア様に返還した時、なかなかポドールイ王の代替わりは見られるもんじゃないとのことで、みんなに記念撮影されてとても恥ずかしかった。

そうして、もしかしたら二度と戻れなくなる可能性があるクリスタとの別れを告げることになった。

2・

昨日の今日なのに余計な荷物を快く引き受けてくれたアリアナの家族たちは、一言で表現すると、とっても格好良い。

カート商会の当主兼船長でありアリアナの叔父に当たるアルベールさんは、見てからに格好良い大人の男の代表格。

顔かたちの格好良さは当然ながら、僕にはない背の高さと適度な筋肉を持ち、赤毛の短髪を颯爽となびかせる。適度な着崩し方の作業着からも、男臭さが匂ってくる。

子供の頃に良く観ていた、アニメの宇宙海賊そっくりだ!

そしてアリアナの母親アイシャさんは、赤毛で頭に獣の耳がぴんと生えている、アリアナ似の細身の美人剣士。

アリアナの剣の師匠という立場を考えれば、実力はかなり高いと思われる。

それから本人は現役アイドルと名乗ってくれたが、実際は船長の補佐をする副長のメリデスさん。

カールした青い髪に丸眼鏡、レースの白スカートを装備する妙齢の乙女。全く海賊……いや、商人ぽくはない。

最後に、機関長のクールベさん。彼は見た目ですぐ分かったほどの血の濃さを持つ、ポドールイ人だ。

まだ若いのに無口で、自己紹介の場ではよろしく以外の台詞を発しなかった。

今現在の船の乗務員はこれだけで、後は仕事内容に応じて地上勤務の仲間が乗り込むようになっているらしい。

そして自己紹介の場で久しぶりに出会ったことになるカルラ父さんとアイシャさんなのだが、これといって特になにも無かった。

父さんは何か喋りたそうだったのに、アイシャさんのクールな無視が痛々しくて見てられなかった。

そして……僕がこの船でミネットティオルに行っても良い唯一の条件だった、あの使者のエルフの方も同乗した。

物凄く近づきがたい雰囲気で一人浮いているので、アルベールさんに何か言い訳しておこうかなと思ったら、アルベールさんの方から話しかけに行ったので驚いた。

「坊ちゃんの護衛についたんだ。麒麟の護り人だろう? まさか俺の船に乗ってくれる日が来るとはな。ミネットティオルまで、よろしくな」

「こちらこそ、よろしくお願いします。スタインウェイと申します」

あっさり握手して仲良くなってしまった二人を見て、誰か説明してくれないだろうかと周囲を見回した。

そうすると、アイシャさんが数秒後に教えてくれた。

「ミネットティオルの麒麟の護り人は、その名の通り麒麟を守護する役目の魔術師です。実質、ミネットティオルの惑星ナンバーワンに近い実力者たちのみが任命されます」

「そうなのですか。でも……」

僕はスタインウェイさんをじっと見つめて、違和感を覚えた。

「でも、何ですか?」

「あ、いえ。彼は双剣使いのようですが」

白い鞘の剣が二本、ベルトの両脇に装備されている。

「そうですね。とすれば惑星一の魔術師であり、戦士であるということです。心強い味方です」

そう語るアイシャさんの目は輝いていた。隣にいるアリアナも双剣に心奪われたようだ。

二人ともスタインウェイさんに、話しかけに行ってしまった。

残った僕は、何か訴えたいらしいメリデスさんに声をかけられた。

「良かったら、私の歌って踊れるライブ画像、見てくださいません?」

「あ、その、父さんが大変なので助けてきます」

敗北者の父が壁に向かって呟き始めたから、彼を回収して貸してもらえた部屋の一つに行った。

「いいんだ、俺。おばあちゃんの知恵袋的存在でも」

「父さん、大丈夫ですよ。旅の間に巻き返しがはかれます」

「嘘は言わなくていい。あんな格好よくて賢くて剣も使える若いエルフに、俺が勝てるか!」

「変に自信持って言わないで下さい! 親しみやすさでは二百パーセント勝っていますよ!」

「……よし、俺はそれ路線で行こう。ああそれで、この船と一家の説明の追加をしておくぞ」

おばあちゃんの知恵袋的存在……。

「とはいえ、有名すぎてお前も知っているだろう? カート商会は、遥か過去の時代に俺たちポドールイ人のご先祖が作った会社だ。当時は勢いがありすぎて、宇宙を支配しているのはユールレムとカート商会って事になっていた」

「宇宙海賊キャプテンシドニーの話に、よく出てきますよ。あれは本当でしょうか」

「お前もアニメ観るんだな」

「それは自由でしょ」

「イメージと合わないだけだ。アニメはだいたい作り物だけど、史実も混じっているみたいだな。俺は観てないからそれ以上は知らない」

「父さんも観てそうなのに」

「家にテレビ無いんだよ。で、カート商会はポドールイ王の手足として働くから、ポドールイの能力を商売で使っても不問とされたわけだ。しかしその一族も、数万年の月日で没落した」

「我ら自身の民族が消えては、そうなりますよね」

「まあな。それでも細々と名を継いできたのが、このカート商会だ。船が一隻だけの、風前のともし火」

「ここまで困難なことに、なっていたんですねえ。……ん?」

僕は、ここで余計なことに気付いた。

カート商会の面々も、ポドールイの力を失いつつある。会社を続けるには、ポドールイの新しい血が欲しい。

「……」

「ノア、大人の事情からは目を背けろ」

「父さん……が、その、ふびんで」

「放っておけ」

父さんはベッドの一つに潜り込み、頭から毛布をかぶった。

それと同時ほどに、メリデスさんによるイヤに明るい船内放送が流れ、宇宙港から出港できる許可が出たと分かった。

定期便じゃない、自由な個人船での宇宙の旅。

僕は色々と事情があるものの、この瞬間に巡り会えたことに感謝し、船橋に入れてもらおうと走って行った。

父さんが何か呟いていたけど、気にしない。
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