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第三章 冒険者たち
8・悩みの連鎖
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1・
「礼儀作法じゃと? なるほど、宇宙にあまたある文化の全てを網羅したいのか」
「そんな壮大な話ではありません。僕は典型的な一般市民として成長し、普通の礼儀作法も危ういのです。王族の方々にどのように接すればいいのか、全くの無知なのです」
「うむ。貴殿の父上はあれじゃしの、ワシが教えても良いのじゃが、そこの麒麟の護り人に教えてもらっても良いのでは?」
「スタインウェイさんには、ミネットティオルの礼儀作法を教わります。それ以外を、どうかご教授下さい」
「しかしな、ノア殿の立場は特別じゃ。そのところをまず理解せねばな」
「はあ……引退しましたが。そして麒麟というのは、知られていません」
とりあえずそれで、一般市民。
でも何故か、とても頼りがいのある気風のヘレナ学園長は、今はニヤニヤしている。
「元がつくポドールイ王としても、いやに丁寧に挨拶された者は、己の身にこれから何か起きるのかと戦々恐々とするじゃろう。なんなら、外の警備員で試してみるかの?」
「ああの、分かりました。そういうものなんですね」
「それに一度は王位にあった者じゃ。他国の者に簡単に頭を下げてはならん。なので、国連などで他国の者同士が使う挨拶を、まず覚えれば良い」
「それは?」
「目を見て、頭を軽めに下げる。それのみで良いが、ミネットティオル式にすれば、胸に右手を置き……相手に甲を見せてな、それで頭を少し下げる。それでいいんじゃ」
言われる通りにしてからスタインウェイさんを見たら、彼は頷いてくれた。
「ノア様の場合、ミネットティオルの王族の方々と、麒麟様のリーダーであるファルダニア様と外務担当のバティスタ様以外は、同じ麒麟様としてもその礼儀で通用いたします」
「その特別な方々への礼儀は?」
「同じ型で、頭を深々と下げます。この角度ほどまでです」
スタインウェイさんに見せてもらい、それと同じ角度に慣れるまで幾度か繰り返してみた。
あとミネットティオルの儀式では、片膝をついて同じく胸に手を当てて頭を下げる方法もあるが、それは特別な時だけなので、普段は使わないそうだ。
とりあえずここまでは覚えられたから、これで礼儀作法の問題は解決できた。
でもまだ不安がある。
「実はまだ、この灰色の腕輪で魔法の訓練をしていません。人の居る外や練習室などでは、他に迷惑がかかりそうですので、どこか適当な場所はありませんか?」
「それもそうじゃな。軽めに使う分には、寮でも訓練してくれて構わん。しかし本気でされたら困る。言っておくので、職員用の訓練場を使っておくれ」
「ありがとうございます。これから行ってみます」
場所を教えてもらい、これから授業が無いので夕方までそこにいようと決めた。
2・
職員用の訓練場は、宇宙一の学び舎とされる魔法大学に相応しいと思える大きさと見目麗しさがある。
高レベルの魔力障壁である透明なガラスにより構築され、遠くから見れば植物園か美術館のよう。
今はまだ昼間で出払っている職員が多いために、ほぼがら空きの状態だ。
ここの警備員さんには既に話が通っていたから、すんなりと中に入ることができた。
こんな綺麗な建物を壊したりしたらとんでもないので、まずは自分が慣れている黒の魔力の方を最大限にしてみることにした。
白と黒の大きな力が反発して打ち消しあっているだろう僕の場合、黒の魔力の方を最大限にするには、白の魔力を最大限削るしかない。
白の魔法を知らない訳でもないけれど、灰色の腕輪を使って白の魔法を使えば、変換効率が少し悪い。つまり同じ程度の魔法を灰色で使用すれば、白の力をそのまま使うよりも多くの力が必要になる。
普通ならば悪影響でしかない特性も、今の僕には渡りに船だ。
それに灰色魔法はほとんどのものが穏やかで、誰かを傷つけたりする可能性が低い。
ヘレナ学園長たちは、ちゃんとそこを考えて僕にこれを与えてくれたんだなと思う。とてもありがたい。
ただ、贈与なのか貸し出しなのか買い取りなのかは、まだ聞いていない。聞くのを忘れた。
なので今は白の力を灰色に変換し、僕の内部の黒の力を強められるかの実験のみをする。
人は余りいないけれど、気分的に遠慮して壁ぎわに行った。
スタインウェイさんに少し離れていてもらい、そこでようやく左手首に入れてある灰色の腕輪に意識を集中した。
自分の魔力の流れを掴む訓練は、幼い頃から幾度となく行ってきた事なので容易い。
ただそれをアイテムを通し、別の属性に変換するのは初めてだ。
まずは小さな弱い流れで変換を行い、それを使用すると注意深くイメージをして、灰色の魔法防御の術を使ってみた。
いつもよりひと手間かかるので、隣の部屋からテレビやオーディオのコントローラーを使用している感覚ながら、それ以上の変化はない。思った以上の容易さだ。
一安心し、そこから徐々に白から灰色へ変換する魔力を増やしてみた。
しかし、魔法防御の術を狭い範囲に重ねがけするだけでは、魔力の消費が追い付かない。ポドールイ人としての特性である、早い自然回復力にも負けてしまうかもしれない。
本気で黒を強めたければ、それこそ僕の持つ魔力の半分を一気に燃やし尽くす勢いで試す必要がある。
少しは躊躇したものの、ここで引いても意味はない。
なので目立つと分かりつつ、僕の出来うる限りの全力で、訓練場全体を覆う強力な魔法防御の術を使用した。
薄い光の幕がキラキラ輝き、元から美しい建物全体を包み込む。
それと同時に、僕の世界はとても静かになった。
周囲全ての情報が、目で見られる物を見ているような手軽さで得られる。
風に木々がざわめくにも意味があると分かる。ほんの一瞬の雲の通過も、プログラムしたのが自分であるかのように理解できる。
魔法使用を終えた僕の強すぎる黒の気配に、周囲の人々が戸惑っている。
強すぎる者の気配は、傍にあるだけで気になるもの。
そのため、父さんが建物の外に来ている。彼を視界に収めようと振り向くと、まずスタインウェイさんが見えた。
僕を前に立ち尽くすスタインウェイさんの過去が、映像として確認できる。
麒麟の護り人を目指していた若い頃のこと。無事そうなれてから、麒麟を護り幾度も戦いを乗り越えてきたこと。
緑の植物柄の白いローブの青年が、スタインウェイさんの本当の主。彼が僕を、ミネットティオルに呼ぶと決めたと分かるが……。
何処かで見たことがある人だと気付いた。けれど、どこで会ったのか思い出せない。
少しずつ白の魔力が回復してきて、僕のポドールイ人としての本来の力を阻害しつつある。
僕はスタインウェイさんから視線を外し、父さんのことが見たくて仕方なく、無意識にその傍に瞬間移動してしまった。
父さんは驚き僕を見た。僕は彼の過去をのぞき見し、知りたい情報を得た。
「何か見てるな」
父さんが恥ずかしげにした。僕はほほ笑んだ。
「兄さんとは仲が悪かったんですね」
「そうとも。あいつは母親に似て真面目すぎた。俺を嫌い、一人で無茶して、あっという間にいなくなった」
見知らぬ兄と、父さんの姿が見える。そして父さんが兄の死を伝え聞いただけというのも分かる。
そして僕には、兄の最後の気持ちが分かった。
「兄さんが、父さんにありがとうって」
「本当か? まあ、真面目だから最後ぐらいは感謝しようとしたのかもな」
そう言いつつ、父さんは嬉しげだ。
訓練場の扉が開き、スタインウェイさんが追いかけてきた。
スタインウェイさんの傍にまた、あの白ローブの青年の姿が見える。
力が強い方なので、彼が何をしているかは良く分からない。けれどその傍に、どこかで感じたことのある気配がある。
地面に倒れ、何かで拘束されている髪の長い黒髪の女性。彼は彼女を見下ろし、何かを語りかけている。
「……あっ!」
僕は気付いた瞬間、麒麟の心の部分に引きずられ、映像を見る目を失ってしまった。
あれだけ魔力を使ったのに、麒麟を意識すると残った白の魔力が自然界の白の魔力を吸収したようだ。
「どうした、何を見た?」
真剣な父さんが、固まって立ち尽くす僕の腕を掴んで揺さぶった。
はっとし、スタインウェイさんの顔色がとても悪いことに気付いた。
「あ、いえ、違いますよ。スタインウェイさんに何かあるのではなくて、スタインウェイさんがこれから見るだろう景色を感知しただけです」
スタインウェイさんは少し安心したようだが、緊張はし続けている。
「……バティスタ様のお姿を見ましたか?」
「白のローブの男性ですよね? 彼が問題ではなく……僕の個人的なことなのです。驚かせて済みません」
少し笑い、目を伏せた。
父さんは、明らかに落ち込んでいる僕の腕を引っ張った。
「寮に帰るか? 送ってってやる。スタインウェイは後から来てくれ」
父さんは僕を引っ張って歩き始めた。
僕は父さんと一緒に歩きつつ、しばらく顔を上げられず震えた。
寮に近づいた辺りで、父さんは囁いた。
「クイシャを見たのか?」
「……何故分かるんですか。いえ、もしかして知っていたのですか?」
「知らない。ただ、お前の母はそういう存在だ。麒麟とは相容れない存在なんだ」
「母が、何をしたと?」
「時空獣の研究者だ。だからあいつは強い力が欲しくて、お前を生んだ。とはいえ、すぐに後悔してお前を俺に預けに来た。けれど、俺の傍にも置けなかったからな……」
「……」
「助けてやれよ」
きっと、麒麟というしがらみの中では容易いことではないと思う。
それでも助けられる力は持っている。だから……。
「助けますよ」
僕は涙を拭いて、前を見た。
「礼儀作法じゃと? なるほど、宇宙にあまたある文化の全てを網羅したいのか」
「そんな壮大な話ではありません。僕は典型的な一般市民として成長し、普通の礼儀作法も危ういのです。王族の方々にどのように接すればいいのか、全くの無知なのです」
「うむ。貴殿の父上はあれじゃしの、ワシが教えても良いのじゃが、そこの麒麟の護り人に教えてもらっても良いのでは?」
「スタインウェイさんには、ミネットティオルの礼儀作法を教わります。それ以外を、どうかご教授下さい」
「しかしな、ノア殿の立場は特別じゃ。そのところをまず理解せねばな」
「はあ……引退しましたが。そして麒麟というのは、知られていません」
とりあえずそれで、一般市民。
でも何故か、とても頼りがいのある気風のヘレナ学園長は、今はニヤニヤしている。
「元がつくポドールイ王としても、いやに丁寧に挨拶された者は、己の身にこれから何か起きるのかと戦々恐々とするじゃろう。なんなら、外の警備員で試してみるかの?」
「ああの、分かりました。そういうものなんですね」
「それに一度は王位にあった者じゃ。他国の者に簡単に頭を下げてはならん。なので、国連などで他国の者同士が使う挨拶を、まず覚えれば良い」
「それは?」
「目を見て、頭を軽めに下げる。それのみで良いが、ミネットティオル式にすれば、胸に右手を置き……相手に甲を見せてな、それで頭を少し下げる。それでいいんじゃ」
言われる通りにしてからスタインウェイさんを見たら、彼は頷いてくれた。
「ノア様の場合、ミネットティオルの王族の方々と、麒麟様のリーダーであるファルダニア様と外務担当のバティスタ様以外は、同じ麒麟様としてもその礼儀で通用いたします」
「その特別な方々への礼儀は?」
「同じ型で、頭を深々と下げます。この角度ほどまでです」
スタインウェイさんに見せてもらい、それと同じ角度に慣れるまで幾度か繰り返してみた。
あとミネットティオルの儀式では、片膝をついて同じく胸に手を当てて頭を下げる方法もあるが、それは特別な時だけなので、普段は使わないそうだ。
とりあえずここまでは覚えられたから、これで礼儀作法の問題は解決できた。
でもまだ不安がある。
「実はまだ、この灰色の腕輪で魔法の訓練をしていません。人の居る外や練習室などでは、他に迷惑がかかりそうですので、どこか適当な場所はありませんか?」
「それもそうじゃな。軽めに使う分には、寮でも訓練してくれて構わん。しかし本気でされたら困る。言っておくので、職員用の訓練場を使っておくれ」
「ありがとうございます。これから行ってみます」
場所を教えてもらい、これから授業が無いので夕方までそこにいようと決めた。
2・
職員用の訓練場は、宇宙一の学び舎とされる魔法大学に相応しいと思える大きさと見目麗しさがある。
高レベルの魔力障壁である透明なガラスにより構築され、遠くから見れば植物園か美術館のよう。
今はまだ昼間で出払っている職員が多いために、ほぼがら空きの状態だ。
ここの警備員さんには既に話が通っていたから、すんなりと中に入ることができた。
こんな綺麗な建物を壊したりしたらとんでもないので、まずは自分が慣れている黒の魔力の方を最大限にしてみることにした。
白と黒の大きな力が反発して打ち消しあっているだろう僕の場合、黒の魔力の方を最大限にするには、白の魔力を最大限削るしかない。
白の魔法を知らない訳でもないけれど、灰色の腕輪を使って白の魔法を使えば、変換効率が少し悪い。つまり同じ程度の魔法を灰色で使用すれば、白の力をそのまま使うよりも多くの力が必要になる。
普通ならば悪影響でしかない特性も、今の僕には渡りに船だ。
それに灰色魔法はほとんどのものが穏やかで、誰かを傷つけたりする可能性が低い。
ヘレナ学園長たちは、ちゃんとそこを考えて僕にこれを与えてくれたんだなと思う。とてもありがたい。
ただ、贈与なのか貸し出しなのか買い取りなのかは、まだ聞いていない。聞くのを忘れた。
なので今は白の力を灰色に変換し、僕の内部の黒の力を強められるかの実験のみをする。
人は余りいないけれど、気分的に遠慮して壁ぎわに行った。
スタインウェイさんに少し離れていてもらい、そこでようやく左手首に入れてある灰色の腕輪に意識を集中した。
自分の魔力の流れを掴む訓練は、幼い頃から幾度となく行ってきた事なので容易い。
ただそれをアイテムを通し、別の属性に変換するのは初めてだ。
まずは小さな弱い流れで変換を行い、それを使用すると注意深くイメージをして、灰色の魔法防御の術を使ってみた。
いつもよりひと手間かかるので、隣の部屋からテレビやオーディオのコントローラーを使用している感覚ながら、それ以上の変化はない。思った以上の容易さだ。
一安心し、そこから徐々に白から灰色へ変換する魔力を増やしてみた。
しかし、魔法防御の術を狭い範囲に重ねがけするだけでは、魔力の消費が追い付かない。ポドールイ人としての特性である、早い自然回復力にも負けてしまうかもしれない。
本気で黒を強めたければ、それこそ僕の持つ魔力の半分を一気に燃やし尽くす勢いで試す必要がある。
少しは躊躇したものの、ここで引いても意味はない。
なので目立つと分かりつつ、僕の出来うる限りの全力で、訓練場全体を覆う強力な魔法防御の術を使用した。
薄い光の幕がキラキラ輝き、元から美しい建物全体を包み込む。
それと同時に、僕の世界はとても静かになった。
周囲全ての情報が、目で見られる物を見ているような手軽さで得られる。
風に木々がざわめくにも意味があると分かる。ほんの一瞬の雲の通過も、プログラムしたのが自分であるかのように理解できる。
魔法使用を終えた僕の強すぎる黒の気配に、周囲の人々が戸惑っている。
強すぎる者の気配は、傍にあるだけで気になるもの。
そのため、父さんが建物の外に来ている。彼を視界に収めようと振り向くと、まずスタインウェイさんが見えた。
僕を前に立ち尽くすスタインウェイさんの過去が、映像として確認できる。
麒麟の護り人を目指していた若い頃のこと。無事そうなれてから、麒麟を護り幾度も戦いを乗り越えてきたこと。
緑の植物柄の白いローブの青年が、スタインウェイさんの本当の主。彼が僕を、ミネットティオルに呼ぶと決めたと分かるが……。
何処かで見たことがある人だと気付いた。けれど、どこで会ったのか思い出せない。
少しずつ白の魔力が回復してきて、僕のポドールイ人としての本来の力を阻害しつつある。
僕はスタインウェイさんから視線を外し、父さんのことが見たくて仕方なく、無意識にその傍に瞬間移動してしまった。
父さんは驚き僕を見た。僕は彼の過去をのぞき見し、知りたい情報を得た。
「何か見てるな」
父さんが恥ずかしげにした。僕はほほ笑んだ。
「兄さんとは仲が悪かったんですね」
「そうとも。あいつは母親に似て真面目すぎた。俺を嫌い、一人で無茶して、あっという間にいなくなった」
見知らぬ兄と、父さんの姿が見える。そして父さんが兄の死を伝え聞いただけというのも分かる。
そして僕には、兄の最後の気持ちが分かった。
「兄さんが、父さんにありがとうって」
「本当か? まあ、真面目だから最後ぐらいは感謝しようとしたのかもな」
そう言いつつ、父さんは嬉しげだ。
訓練場の扉が開き、スタインウェイさんが追いかけてきた。
スタインウェイさんの傍にまた、あの白ローブの青年の姿が見える。
力が強い方なので、彼が何をしているかは良く分からない。けれどその傍に、どこかで感じたことのある気配がある。
地面に倒れ、何かで拘束されている髪の長い黒髪の女性。彼は彼女を見下ろし、何かを語りかけている。
「……あっ!」
僕は気付いた瞬間、麒麟の心の部分に引きずられ、映像を見る目を失ってしまった。
あれだけ魔力を使ったのに、麒麟を意識すると残った白の魔力が自然界の白の魔力を吸収したようだ。
「どうした、何を見た?」
真剣な父さんが、固まって立ち尽くす僕の腕を掴んで揺さぶった。
はっとし、スタインウェイさんの顔色がとても悪いことに気付いた。
「あ、いえ、違いますよ。スタインウェイさんに何かあるのではなくて、スタインウェイさんがこれから見るだろう景色を感知しただけです」
スタインウェイさんは少し安心したようだが、緊張はし続けている。
「……バティスタ様のお姿を見ましたか?」
「白のローブの男性ですよね? 彼が問題ではなく……僕の個人的なことなのです。驚かせて済みません」
少し笑い、目を伏せた。
父さんは、明らかに落ち込んでいる僕の腕を引っ張った。
「寮に帰るか? 送ってってやる。スタインウェイは後から来てくれ」
父さんは僕を引っ張って歩き始めた。
僕は父さんと一緒に歩きつつ、しばらく顔を上げられず震えた。
寮に近づいた辺りで、父さんは囁いた。
「クイシャを見たのか?」
「……何故分かるんですか。いえ、もしかして知っていたのですか?」
「知らない。ただ、お前の母はそういう存在だ。麒麟とは相容れない存在なんだ」
「母が、何をしたと?」
「時空獣の研究者だ。だからあいつは強い力が欲しくて、お前を生んだ。とはいえ、すぐに後悔してお前を俺に預けに来た。けれど、俺の傍にも置けなかったからな……」
「……」
「助けてやれよ」
きっと、麒麟というしがらみの中では容易いことではないと思う。
それでも助けられる力は持っている。だから……。
「助けますよ」
僕は涙を拭いて、前を見た。
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