水しか操れない無能と言われて虐げられてきた令嬢に転生していたようです。ところで皆さん。人体の殆どが水分から出来ているって知ってました?

ラララキヲ

文字の大きさ
16 / 29

16>> わたくしの婚約者と浮気女

-




「ロンナ」

 学園の昼休み。
 わざわざ人気のない場所を選んで休んでいたわたくしの元にカッシム様とソフィーナ様が腕を組んで現れてわたくしを呼びました。
 カッシム様は少し不機嫌そうです。ソフィーナ様はいつものように人を小馬鹿にした笑みを浮かべています。
 わたくしは腰を下ろしていたベンチから立ち上がってカッシム様たちと向き合いました。

「……何の御用でしょうか、カッシム様」

「何故報告しない」

「はい?」

「は~……これだから出来損ないは困る」

「そんな言い方はダメよカッシム♡ かわいそうじゃない」

 カッシム様の言葉の意味が分からず小首を傾げてしまったわたくしにカッシム様は呆れた様な態度を取り、そんなカッシム様をソフィーナ様がなだめるというよくわからない事になっています。
 わたくしは寄りそうになる眉間をなんとか留めてカッシム様に聞き返しました。

「何の……お話でしょうか?」

 そんなわたくしにカッシム様は大袈裟に溜め息を吐いてから口を開きました。

「お前の家で問題が起こっているのだろう。何故それを婚約者の俺に報告しない。お前の家の問題は俺の問題でもあるのだから、知らせるのは義務だろうが」

 そんな風に言われても困ります。

「問題と言われましても……家族の中に体調不良を訴える者がでましたが、まだ原因が分からず……お父様からも何も言われてもおりませんので……」

「父親から言われなければ動けないのか? 自分の判断で動けないとか猶々なおなお役立たずだな。先が思いやられるぞ」

「カッシムってばかわいそう……
 貴女、申し訳ないと思わないの?」

 キッとソフィーナ様に睨まれて体が萎縮します。心の中は変わっても、今まで教え込まれた習慣がいきなり抜ける事はないのです。

「も、申し訳ありませんっ!」

 わたくしは咄嗟にお二人に対して頭を下げてしまいました。
 そんなわたくしの頭の上からカッシム様のあからさまな溜め息が聞こえます。

「何が悪いかも理解してはいないのに頭を下げられてもな……」

「本当に……」

「あぁ……、こんな女と結婚しなきゃいけないなんて、俺はなんて不幸なんだ」

「カッシムかわいそうっ!」

「ソフィーナが居なきゃ心が押しつぶされていたよ」

「シム……♡わたくしがお支えいたしますわ……」

「フィーナ……」

 下げた頭の向こうで始まった婚約者とその浮気相手のラブシーンに、わたくしは一体どうしたらいいのでしょうね。
 わたくしは頭を上げることも出来ずにその場所に居るしかありません。

 カッシム様はさも自分だけが被害者だと言わんばかりですが、同じ言葉をそっくりそのままお返ししたいです。

 ──こんな男と結婚しなきゃいけないなんて、わたくしはなんて不幸なんでしょう……──




-

あなたにおすすめの小説

今、私は幸せなの。ほっといて

青葉めいこ
ファンタジー
王族特有の色彩を持たない無能な王子をサポートするために婚約した公爵令嬢の私。初対面から王子に悪態を吐かれていたので、いつか必ず婚約を破談にすると決意していた。 卒業式のパーティーで、ある告白(告発?)をし、望み通り婚約は破談となり修道女になった。 そんな私の元に、元婚約者やら弟やらが訪ねてくる。 「今、私は幸せなの。ほっといて」 小説家になろうにも投稿しています。

留学してたら、愚昧がやらかした件。

庭にハニワ
ファンタジー
バカだアホだ、と思っちゃいたが、本当に愚かしい妹。老害と化した祖父母に甘やかし放題されて、聖女気取りで日々暮らしてるらしい。どうしてくれよう……。 R−15は基本です。

素直になる魔法薬を飲まされて

青葉めいこ
ファンタジー
公爵令嬢であるわたくしと婚約者である王太子とのお茶会で、それは起こった。 王太子手ずから淹れたハーブティーを飲んだら本音しか言えなくなったのだ。 「わたくしよりも容姿や能力が劣るあなたが大嫌いですわ」 「王太子妃や王妃程度では、このわたくしに相応しくありませんわ」 わたくしといちゃつきたくて素直になる魔法薬を飲ませた王太子は、わたくしの素直な気持ちにショックを受ける。 婚約解消後、わたくしは、わたくしに相応しい所に行った。 小説家になろうにも投稿しています。

妹のことが好き過ぎて婚約破棄をしたいそうですが、後悔しても知りませんよ?

カミツドリ
ファンタジー
侯爵令嬢のフリージアは婚約者である第四王子殿下のボルドーに、彼女の妹のことが好きになったという理由で婚約破棄をされてしまう。 フリージアは逆らうことが出来ずに受け入れる以外に、選択肢はなかった。ただし最後に、「後悔しないでくださいね?」という言葉だけを残して去って行く……。

私ですか?

庭にハニワ
ファンタジー
うわ。 本当にやらかしたよ、あのボンクラ公子。 長年積み上げた婚約者の絆、なんてモノはひとっかけらもなかったようだ。 良く知らんけど。 この婚約、破棄するってコトは……貴族階級は騒ぎになるな。 それによって迷惑被るのは私なんだが。 あ、申し遅れました。 私、今婚約破棄された令嬢の影武者です。

婚約破棄された傷心令嬢です。

あんど もあ
ファンタジー
王立学園に在学するコレットは、友人のマデリーヌが退学になった事を知る。マデリーヌは、コレットと親しくしつつコレットの婚約者のフランツを狙っていたのだが……。そして今、フランツの横にはカタリナが。 したたかでたくましいコレットの話。

妹が聖女の再来と呼ばれているようです

田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。 「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」  どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。 それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。 戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。 更新は不定期です。

妹の方がかわいいからと婚約破棄されましたが、あとで後悔しても知りませんよ?

志鷹 志紀
恋愛
「すまない、キミのことを愛することができなくなった」  第二王子は私を謁見の間に連れてきて、そう告げた。 「つまり、婚約破棄ということですね。一応、理由を聞いてもよろしいですか?」 「キミの妹こそが、僕の運命の相手だったんだよ」 「そうですわ、お姉様」  王子は私の妹を抱き、嫌な笑みを浮かべている。 「ええ、私は構いませんけれど……あとで後悔しても知りませんよ?」  私だけが知っている妹の秘密。  それを知らずに、妹に恋をするなんて……愚かな人ですね。