愛しておりますわ、“婚約者”様[完]

ラララキヲ

文字の大きさ
3 / 14

3>> 貴族の婚約

     
 
 
 
 
 リゼオンの、どうやら隠しているらしい恋人は、マリーナたちと同じ学園に通う男爵令嬢のカレナ・ドンドである事は実は有名な話だった。

 当然マリーナも知っている。

 カレナ・ドンド男爵令嬢は赤茶色のソバージュのかかった髪を掻きあげる仕草が色っぽい、とても豊満な胸を持つ女性だった。空の様な水色の瞳で見つめられると男性は一瞬言葉を忘れるらしい。
 そんな女性とリゼオンは学園に入った半年後には親しくしていた。

 今、マリーナたちは王立貴族学園の3年生だ。既にリゼオンは18歳を迎え、後2ヶ月後にはマリーナも18歳となる。
 平民であればもう成人だ。
 しかし貴族の子供たちが成人として扱われるのは学園を卒業してからとなる。だからといって彼らが子供として扱われるかと言われればそうでは無い。“準成人”の様な立ち位置の彼らはその自分達が置かれた微妙な立ち位置を自分たちで自覚していなければいけない。だが……一部の令嬢令息たちは卒業までは自分は子供だと、気を抜いてしまう者は多かった。

 リゼオンもその一人だった。

 婚約者以外の令嬢との秘密の関係を楽しんでいる。

 学園生3年の殆どの者は、卒業後の事を考えて、家を継ぐ者は婚約者を迎える為の準備を、家を出る者は自分が入る新しい家との繋がりをより深める為の活動を始めている。独り立ちする者はより忙しくそして悩んでいる。どの立場の者でも遊んでいるほど暇ではない。
 子供気分で居る者以外は……。

 リゼオンはカレナとの関係を隠せていると思っているせいで余計に質が悪かった。
 マリーナの事はちゃんと婚約者として扱い、何かあればエスコートもちゃんとする。ただ態度や言葉に常に棘があった。プレゼントなど自分の家の侍女に流行りの物を選んでもらってそれを贈るだけだった。自分でマリーナの為に選んだ事など一度も無い。だがリゼオンは、俺に会える事がマリーナへの褒美になる・・・・・・・・・・・・・・・・・・のにプレゼントまで忘れずに贈っているんだから俺ほど出来た婚約者はいないだろう、と考えていた。
 婿入りしてやるのだから、準備はマリーナ側がして当然なので、自分は婚姻後にホブス伯爵家に行きそれから領地の事などホブス伯爵家のやり方を覚えればいいと本気で思っていた。
 だからリゼオンは自由に出来る時間を使って自分のお気に入りの令嬢と楽しんでいる。

 伯爵家へ婿入りすればマリーナに自分の自由を奪われるのだから、それまでの時間を自由に使うのは当然の権利・・・・・だとリゼオンは考えていた。


 リゼオンのそんな態度を、マリーナが自分の父親であるホブス伯爵家当主に相談した事が無い訳ではない。
 しかしマリーナの父からは
「婚姻後までその関係を続けるというのなら考える」
という返事が返ってきただけだった。その言葉を『学生時代の遊び・・ならば問題ない』と言われたと判断したマリーナは、それからはその事を話題に上げる事は無かった。
 当主が気にしていない事を、その娘であるだけで何の権限もないマリーナが騒いでもどうしようもないからだ。
 『気にするな』ではなく『時期が来れば考える』と父である当主は言ったのだ。婚姻前には父が結果を出すだろう。
 マリーナは父の結果が出るまではリゼオンの婚約者であればいいだけなので、そのように納得した。
 
 マリーナは柔らかい顔立ちのせいで誤解されがちだが中身はしっかりとした、
貴族の令嬢らしい令嬢・・・・・・・・・・だった。
  
 
 
 
     
感想 19

あなたにおすすめの小説

もう愛は冷めているのですが?

希猫 ゆうみ
恋愛
「真実の愛を見つけたから駆け落ちするよ。さよなら」 伯爵令嬢エスターは結婚式当日、婚約者のルシアンに無残にも捨てられてしまう。 3年後。 父を亡くしたエスターは令嬢ながらウィンダム伯領の領地経営を任されていた。 ある日、金髪碧眼の美形司祭マクミランがエスターを訪ねてきて言った。 「ルシアン・アトウッドの居場所を教えてください」 「え……?」 国王の命令によりエスターの元婚約者を探しているとのこと。 忘れたはずの愛しさに突き動かされ、マクミラン司祭と共にルシアンを探すエスター。 しかしルシアンとの再会で心優しいエスターの愛はついに冷め切り、完全に凍り付く。 「助けてくれエスター!僕を愛しているから探してくれたんだろう!?」 「いいえ。あなたへの愛はもう冷めています」 やがて悲しみはエスターを真実の愛へと導いていく……  ◇ ◇ ◇ 完結いたしました!ありがとうございました! 誤字報告のご協力にも心から感謝申し上げます。

王子が親友を好きになり婚約破棄「僕は本当の恋に出会えた。君とは結婚できない」王子に付きまとわれて迷惑してる?衝撃の真実がわかった。

佐藤 美奈
恋愛
セシリア公爵令嬢とヘンリー王子の婚約披露パーティーが開かれて以来、彼の様子が変わった。ある日ヘンリーから大事な話があると呼び出された。 「僕は本当の恋に出会ってしまった。もう君とは結婚できない」 もうすっかり驚いてしまったセシリアは、どうしていいか分からなかった。とりあえず詳しく話を聞いてみようと思い尋ねる。 先日の婚約披露パーティーの時にいた令嬢に、一目惚れしてしまったと答えたのです。その令嬢はセシリアの無二の親友で伯爵令嬢のシャロンだったというのも困惑を隠せない様子だった。 結局はヘンリーの強い意志で一方的に婚約破棄したいと宣言した。誠実な人柄の親友が裏切るような真似はするはずがないと思いシャロンの家に会いに行った。 するとヘンリーがシャロンにしつこく言い寄っている現場を目撃する。事の真実がわかるとセシリアは言葉を失う。 ヘンリーは勝手な思い込みでシャロンを好きになって、つきまとい行為を繰り返していたのだ。

幼馴染が最優先な婚約者など、私の人生には不要です。

たると
恋愛
シュタイン伯爵家の長女エルゼは、公爵子息フィリップに恋をしていた。 彼の婚約者として選ばれた時は涙を流して喜んだが、その喜びもいまは遠い。 『君は一人でも大丈夫だろう。この埋め合わせは必ずする。愛している』 「……『愛している』、ですか」 いつも幼馴染を優先するアルベルトに、恋心はすっかり冷めてしまった。

【完結】あなたにすべて差し上げます

野村にれ
恋愛
コンクラート王国。王宮には国王と、二人の王女がいた。 王太子の第一王女・アウラージュと、第二王女・シュアリー。 しかし、アウラージュはシュアリーに王配になるはずだった婚約者を奪われることになった。 女王になるべくして育てられた第一王女は、今までの努力をあっさりと手放し、 すべてを清算して、いなくなってしまった。 残されたのは国王と、第二王女と婚約者。これからどうするのか。

あなたの思い通りにはならない

木蓮
恋愛
自分を憎む婚約者との婚約解消を望んでいるシンシアは、婚約者が彼が理想とする女性像を形にしたような男爵令嬢と惹かれあっていることを知り2人の仲を応援する。 しかし、男爵令嬢を愛しながらもシンシアに執着する身勝手な婚約者に我慢の限界をむかえ、彼を切り捨てることにした。 *後半のざまあ部分に匂わせ程度に薬物を使って人を陥れる描写があります。苦手な方はご注意ください。

王子に婚約破棄されて国を追放「魔法が使えない女は必要ない!」彼女の隠された能力と本来の姿がわかり誰もが泣き叫ぶ。

佐藤 美奈
恋愛
クロエ・エルフェシウス公爵令嬢とガブリエル・フォートグランデ王太子殿下は婚約が内定する。まだ公の場で発表してないだけで、王家と公爵家の間で約束を取り交わしていた。 だが帝立魔法学園の創立記念パーティーで婚約破棄を宣言されてしまった。ガブリエルは魔法の才能がある幼馴染のアンジェリカ男爵令嬢を溺愛して結婚を決めたのです。 その理由は、ディオール帝国は魔法至上主義で魔法帝国と称される。クロエは魔法が一番大切な国で一人だけ魔法が全然使えない女性だった。 クロエは魔法が使えないことに、特に気にしていませんでしたが、日常的に家族から無能と言われて、赤の他人までに冷たい目で見られてしまう。 ところがクロエは魔法帝国に、なくてはならない女性でした。絶対に必要な隠された能力を持っていた。彼女の真の姿が明らかになると、誰もが彼女に泣いて謝罪を繰り返し助けてと悲鳴を上げ続けた。

【完結】マザコンな婚約者はいりません

美豆良ゆい
恋愛
伯爵令嬢シェリーは、婚約者である侯爵子息デューイと、その母親である侯爵夫人に長年虐げられてきた。 貴族学校に通うシェリーは、昼時の食堂でデューイに婚約破棄を告げられる。 その内容は、シェリーは自分の婚約者にふさわしくない、あらたな婚約者に子爵令嬢ヴィオラをむかえるというものだった。 デューイはヴィオラこそが次期侯爵夫人にふさわしいと言うが、その発言にシェリーは疑問を覚える。 デューイは侯爵家の跡継ぎではない。シェリーの家へ婿入りするための婚約だったはずだ。 だが、話を聞かないデューイにその発言の真意を確認することはできなかった。 婚約破棄によって、シェリーは人生に希望を抱きはじめる。 周囲の人々との関係にも変化があらわれる。 他サイトでも掲載しています。

【完結】私の事は気にせずに、そのままイチャイチャお続け下さいませ ~私も婚約解消を目指して頑張りますから~

山葵
恋愛
ガルス侯爵家の令嬢である わたくしミモルザには、婚約者がいる。 この国の宰相である父を持つ、リブルート侯爵家嫡男レイライン様。 父同様、優秀…と期待されたが、顔は良いが頭はイマイチだった。 顔が良いから、女性にモテる。 わたくしはと言えば、頭は、まぁ優秀な方になるけれど、顔は中の上位!? 自分に釣り合わないと思っているレイラインは、ミモルザの見ているのを知っていて今日も美しい顔の令嬢とイチャイチャする。 *沢山の方に読んで頂き、ありがとうございます。m(_ _)m