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1>>スキル判明

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 この国では10歳でスキル鑑定を行う。
 産まれた全ての人がスキルを持って生まれるからだ。
 その為、どんなスキルを持っているかでその後の人生が決まる。

 今のこの国の王配は元平民だったが持っているスキルが【統一者】だった為にあれよあれよという間に貴族の養子となり王女の婚約者となった。そして王女には兄が2人も居たにも関わらず争う事なく3番目の子供である王女が女王へとなった。
 女王のスキルは【愛される者】で、上の兄2人のスキルは【つるぎの刻】と【算術眼さんじゅっがん】というどちらも人を導くスキルでは無い事から本人たちの意思で妹に王位を譲ったとされている。
 この国では王族でもそれなのだ。
 その下の者たちが自分の持っているスキルで人生が決まると思っても仕方のない事だろう。

 貴族などは特にその傾向が顕著だった。嫡男のスキルが役立たずだと分かると直ぐに爵位継承者から外される。スキルで独り立ち出来る者は喜んでそれを受け入れるが、そこまで悪いスキルでは無いのに弟の方が良いスキルだと分かり次期当主の座を追われた者は不満を募らせ弟を貶めようとする事もあった。

 スキルで平和を維持させている世界でもあるが、スキルがあるからこそ争いが起こる世界でもあった。


 リファージ男爵家の末っ子グランもそのスキルの所為で人生が変わった者の一人だった。

 兄は2人居て、長男ドランのスキルは【器用】、次男ディランのスキルは【根性】という世界的にもよくあるスキルであったが比較的好意的に受け入れられるスキルだった。
 だから三男のグランも同じ様なスキルになると誰もが思っていた。
 父アランは【遠目】で、母ミラルダは【水滴】という水を生み出せる地味だが有能なスキルを持っていたので母だけはグランだけでも自分のスキルの影響を引き継いでくれればなと密かに期待していた。

 しかしグランが10歳になり、スキル鑑定した結果を見て、家族全員が絶句した。

 ▫グラン・リファージ

 ▫スキル:【 草 】

 今までにたくさんのスキルを見てきたスキル鑑定士でさえも絶句して確認の為に4度ほど鑑定をやり直してくれたが結果は変わらずグランのスキルは【草】だった。

 草? くさ?? KUSA???
 疑問符で頭の中が満たされたグランにスキル鑑定士が困惑した顔で話しかける。

「……グランくん……スキルを使ってみてくれるかい?」

 言われた言葉が理解出来ずにグランは泣きそうな顔でスキル鑑定士を見返した。

「……どうやって……?」

「うーん……使い方は人それぞれなんだけど……大抵は手を前に出して心の中で念じれば、顕在けんざい的なスキルならば何かしら変化が起こるはずなんだ」

「…………やってみます」

 グランは鑑定士の言葉を聞いて、心配気な家族が見守る中スキルを使ってみた。

 ポンッ

 グランのかざした手の下の床から草が一本生えた。

「「「「「…………」」」」」

「……」

 皆が無言で見守る中、グランは泣きそうな顔で更に手に力を込めた。

 ポンッ ポンッ

 一本ずつ生えた草が2本増えた。

 グランのスキルは正に【草】だった。



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