赤い剣と銀の鈴 - たそかれの世界に暮らす聖霊の皇子は広い外の世界に憧れて眠る。

仁羽織

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大海原の小さな船

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 そんなこんなで、太平洋を航海しながらの旅もそろそろ陽が沈みはじめている。いつの間にか波も高くなってきていた。遠くに雲が集まって、それに夕陽が当たって美しい夕焼けが見える。すごく綺麗だ。アイオリアで見る夕陽と違って、どう言ったらいいかわからないけど、すごく美しい。

 「それでは、今日の探索もこれくらいにしましょうか。レイミリアさん、お願いします。」

 僕がそう言うと、レイミリアさんはもうすでに銀鈴を出していた。「リアライズ」と小さく声が聞こえる。するとたちまちのうちに周囲が白い輝きの中に消えていった。次の瞬間、あたりが真っ暗になった。

 すぐに目が慣れて、ここがアイオリアの地底湖だとわかる。壁にかかる白熱灯や、天上の垂れ下がる鍾乳石、湖の端に広く長く広がる砂浜は以前に比べてずいぶんと広がったような気もする。湖面に降りたクルーザーの側面に、波がざぶんと当たる音がした。今日も安全に着水が完了したらしい。

 「はい、到着。岸まで行ってから帰る?それともこのまま、ここから飛ぶ?」

 慣れたようにレイミリアさんはそう言うと、既に帰り支度の済んだ鞄を脇にぶら下げていた。

 「俺は今日はいいぜ。あそこに妹と長男が迎えに来てくれてるみたいだからよ。」

 ジョジロウさんはそう言って砂浜の方を指さした。言われてからそっちを見たら、既にその場所で息子さんと話をしている。また青の扉を使ったなって思った。

 「ミラクはどうする?お屋敷まででいい?」

 レイミリアさんにそう聞かれて、砂浜のジョジロウさんたちに手を振って挨拶をしながら、僕はこう答えた。

 「じゃあ、家の前までお願いします。」

 すると再び白い輝きが僕らを覆っていく…。次についたのは、僕の住む家の前だった。

 「それじゃまた明日ね。」

 レイミリアさんはそう言うと、今日三度目の銀鈴を使い自分の家へと帰っていった。道具の使い過ぎがどうとか言ってたのに、自分のことは相変わらず棚にあげちゃう人だな、と僕は思った。

 僕たちはこうやって、一日のうちおよそ八時間から十時間を探索の旅に費やしている。もう始めてから半年ぐらいは過ぎただろう。初夏にはじまった旅のはずなのに、もうすぐ十二月だ。いい加減見つかってもいいのに。

 僕らが捜しているのは太平洋にいるであろう精霊の姿だ。砂漠にいた風の精霊、ベントスのように、海にも精霊が存在している。
 パパっと見つけて名前をつけて、次へとっとと進めたい。だけど銀鈴で一発で見つけられると思ったのに、漠然と海の精霊の場所へって言って銀鈴で飛んでも、見つけられるのは毎回青い海と広い空だけ。他に方法も思いつかないで、こうして毎日クルーザーに乗って、海で遊んで帰ってきている。

 そもそもを言えばこれも、父上があんまりにも曖昧なことしか教えてくれないのが悪い。「海で水の精霊を取って来ておくれ。」だけであとは丸々お任せだとか。そんなので真面目にできるかっていうの!

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