青い扉と銀の鈴 - 世間知らずのお嬢様と魔王討伐の生き残りと魔王の息子とが出逢った頃の物語

仁羽織

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セケンシラズとショタとオジサンとが会話して噛みあわないのは偶然?

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 黒衣のオジサンはすでにテントの中に入って休んでいる。私はなかなか寝付けなくて、テーブルの前の椅子に座って星空を見ていた。お子様も同じような気分だったらしく、目の前の椅子にちょこんと座って、マグカップに入れたホットミルクを飲みながら話していた。

 「こうして砂漠で星空を見られる日が来るなんて、思ってもみなかったな。」

 寒さしのぎのために体にまとった毛布がやけに温かい。

 「僕もです。まさかこんなところで、こうして人間の方々とこんなにもたくさんの話ができるなんて、思ってもみませんでした。」

 お子様の目が、焚火の灯りでキラキラと輝いて見えた。見上げるその瞳の睫毛まつげがとても長いことに驚いた。

 「ねえ、君。なんで学校、我慢して一年間通ったの?」

 「逃げるのが嫌だったからです。それと、クラスに母に似た女の子がいました。だから、かもしれません。」

 「へえ、けっこうオマセなのね。」

 「これでも僕、もう三百年も生きてますので。」

 「そっか…。それは切ないね。」

 「…はい。」

 三百年も生きている、ということは、人に恋をしてもそれが叶うのはほんの一瞬ということなんだろう。十年も前にあこがれた女の子は、今はもう大人になっているかもしれない。なのに彼はいまだに小学生くらいにしか見えない。それは切ないな、と思った。


 「さっき、僕が馬車の中に入ったあと、あの人と話をしていましたよね。」

 「ええ。」

 「僕、聞く気はなかったんですが、つい聞こえてしまって…。」

 「そっか…。」

 星空を見上げているお子様の目に、悲しみの色が浮かぶのが見てとれた。

 「そんなこともあるんですね。僕をイジメていた子も、あのままだったら同じようなことになっていたんでしょうか?」

 「どうだろう。たぶん、まったく同じにはならなかったかもだけど…。」

 「僕には正直、いじめる側のことまで思いやる余裕なんてありませんでした。陰湿いんしつで計算高く大人の目を盗んで仕掛けてくる彼らに、腹を立てこそすれ、思いやる気持ちなんてもてませんでした。」

 「そうよね、私だってそんなふうに思えなんかしないと思う。」

 「どうしたらやめさせられるか。それしか考えずに行動して、結局は暴力に訴えて、なのに力では全然かなわず、それでも食らいついていただけでした。」

 「頑張ったね…。」

 この子は本当に頑張ったなと思った。自分にはできなかったから…。

 「けれど、さっきの話を聞いてそれで本当によかったのかと、そう思ってしまいました。」
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