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季節は春。
住宅地の至るところに桜の花が咲いている。
桜に興味がある人は桜の写真を撮ったり、立ち止まって花見を楽しんだりしている。
だが僕は桜などにまったく興味ない。現在僕が尋常ではない興味を抱いているのはゲームだけだ。早く帰って買ったばかりのRPGをやりたい。
その願望を一刻も早く叶えるために僕は自宅に向かって早足で歩いていた。
「止まりなさい」背後から声をかけられる。
僕は足を止め、立ち止まり、振り向く。
小学生くらいの女の子がいた。綺麗なロングの髪に気の強そうな顔。どこぞの有名校の制服のような服を着ている。
「何かご用でしょうか?」
思わず敬語を使ってしまう。
僕は女の子が苦手だった。僕みたいなオタクが女の子と話していると犯罪者に間違われる可能性があるからだ。臆病者の僕にとってその可能性が生じる状況に陥るのは嫌だった。
「私の奴隷になりなさい」
少女は唐突に言った。
「はっ?」
「私の奴隷になりなさいって言ったのよ」
「・・・冗談ですよね?」
「冗談じゃないわ。私は本気よ。本気で私の奴隷になりなさいって言ってるの」
「・・・帰っていいですか?」
「ダメよ。私の奴隷になるって言うまで帰さないわ」
「・・・それじゃ、キミの奴隷にならないと帰れないってことじゃないですか」
「そうよ。早く帰りたいなら私の奴隷になりなさい」
少女は不敵な笑顔を浮かべながら言う。
「僕に選択権はないんですか?」
「ないわ。あなたは私の奴隷になることが運命によって決められているのよ」
「酷くないですか?その運命」
「ときに運命は残酷なものなのよ。凡人にはその運命を変えることはできないわ。残念ながらあなたは凡人。だから運命を変えることはできないわ。つまりあなたは私の奴隷になるしかないってことよ」
「・・・理不尽だと思います」
「人生は理不尽に満ちているわ」
この女の子は重度の中二病をこじらせているのかもしれない。
「優人。今、失礼なこと考えたでしょ?」
「どうして僕の名前を知ってるんですか?」
「私は何でも知ることができるのよ。そういう力が私にはあるのよ」
僕の中のこの少女は重度の中二病をこじらせている説の信憑性が高まった。
「また失礼なこと考えてるでしょ。身分をわきまえなさい。あなたは奴隷。そして私は主人なのよ」
「まだ奴隷じゃないです」
「もう奴隷なのよ。運命的にはね」
「僕は運命なんて信じない主義なんです」
「中二病みたいなセリフ言わないで」
「運命を語るのも立派な中二病だと思うんですけど」
「とうとう失礼なセリフを言ったわね」
「僕の運命は奴隷というセリフも失礼なセリフだと思うんですけど」
「私の失礼は許されるのよ。主人だから」
不条理なことを堂々と言う少女。やはり中二病か。
「日本には奴隷制度はないと思うんですけど」
僕は正論を言う。
「ふふっ。馬鹿ね。日本にも奴隷制度はあるわ。ブラック企業で働く社員いるでしょ。安い給料でこき使われる社員。あの社員たちも立派な奴隷よ。日本にも奴隷制度はあるのよ」
確かにブラック企業で働く社員は奴隷のように見える。
「それに上流階級では人を奴隷のように使っている人がたくさんいるのよ。昔の貴族のようにね」
「・・・」
「私は上流階級の人間よ。だから他人を奴隷にする権利があるの。強制的にね」
「僕は奴隷になりたくないです」
「頑固ね。私のような超絶美少女の奴隷になれるなんて光栄極まりないことなのに」
この子はもう病気レベルの中二病なのかもしれない。どこぞの国の独裁者気取りなのかもしれない。さっきから僕の本能が警鐘を鳴らしている。その警鐘の音がどんどん大きくなっている。走って逃げようかと思う。
「逃げても無駄よ。飯島優人。私、あなたの自宅の場所知ってるから」
僕のフルネームを知っているのだから僕の自宅を知っている可能性も高い。
「それに逃げないほうがいいわよ。逃げた瞬間、痴漢って言うから。痴漢で警察に捕まりたくないでしょ」
脅してきた。
なんて女だ。
こいつは本当にヤバい女かもしれない。
でも逃げれば痴漢にされてしまう。
自分が警察に捕まる映像が浮かぶ。警察署に連れていかれ、強面の警官に取り調べをされる。自白を強要される。気弱な僕は罪を認めてしまう。そんなストーリーが脳裏に浮かんだ。
嫌だ。冤罪で痴漢犯にされたくない。もしそうなったら人生終わりだ。
「僕は痴漢なんてしてない」
「今はね。でもすぐに痴漢犯になるわ」
少女は不敵な笑みを浮かべながら自信たっぷりに言う。
「ならない。僕は痴漢なんてしない」
「ふふっ。あなたは痴漢犯になる運命なのよ。私の奴隷になることが運命によって決まったときから痴漢になる運命も決まっていたのよ」
「決まってない」
決まっているわけがない。痴漢になる運命も奴隷になる運命もこの女の妄想だ。中二病的妄想だ。僕はゲーム好きで中二病的なところがあるけど、この女ほど酷くはない。
「決まってるのよ。それを証明してあげるわ。今すぐにね」
そう言ったあと、少女はスカートの裾を両手で掴んだ。
そして掴んだままスカートを捲りあげた。普通なら少女のパンツが見えるはずだった。でもパンツは見えなかった。見えなくて当然だ。少女はノーパンだったのだから。
見えたのはマン筋だ。陰毛もシミもない綺麗なマン筋だ。僕の目はそのマン筋に釘付けになってしまう。生まれて初めてみる生のマン筋だった。ネットのエロ動画やエロ画像でマン筋を見たことがある。だが生のマン筋を見たのはこれが初めてだった。
少女のマン筋を見た瞬間、僕の運命は決まった。
住宅地の至るところに桜の花が咲いている。
桜に興味がある人は桜の写真を撮ったり、立ち止まって花見を楽しんだりしている。
だが僕は桜などにまったく興味ない。現在僕が尋常ではない興味を抱いているのはゲームだけだ。早く帰って買ったばかりのRPGをやりたい。
その願望を一刻も早く叶えるために僕は自宅に向かって早足で歩いていた。
「止まりなさい」背後から声をかけられる。
僕は足を止め、立ち止まり、振り向く。
小学生くらいの女の子がいた。綺麗なロングの髪に気の強そうな顔。どこぞの有名校の制服のような服を着ている。
「何かご用でしょうか?」
思わず敬語を使ってしまう。
僕は女の子が苦手だった。僕みたいなオタクが女の子と話していると犯罪者に間違われる可能性があるからだ。臆病者の僕にとってその可能性が生じる状況に陥るのは嫌だった。
「私の奴隷になりなさい」
少女は唐突に言った。
「はっ?」
「私の奴隷になりなさいって言ったのよ」
「・・・冗談ですよね?」
「冗談じゃないわ。私は本気よ。本気で私の奴隷になりなさいって言ってるの」
「・・・帰っていいですか?」
「ダメよ。私の奴隷になるって言うまで帰さないわ」
「・・・それじゃ、キミの奴隷にならないと帰れないってことじゃないですか」
「そうよ。早く帰りたいなら私の奴隷になりなさい」
少女は不敵な笑顔を浮かべながら言う。
「僕に選択権はないんですか?」
「ないわ。あなたは私の奴隷になることが運命によって決められているのよ」
「酷くないですか?その運命」
「ときに運命は残酷なものなのよ。凡人にはその運命を変えることはできないわ。残念ながらあなたは凡人。だから運命を変えることはできないわ。つまりあなたは私の奴隷になるしかないってことよ」
「・・・理不尽だと思います」
「人生は理不尽に満ちているわ」
この女の子は重度の中二病をこじらせているのかもしれない。
「優人。今、失礼なこと考えたでしょ?」
「どうして僕の名前を知ってるんですか?」
「私は何でも知ることができるのよ。そういう力が私にはあるのよ」
僕の中のこの少女は重度の中二病をこじらせている説の信憑性が高まった。
「また失礼なこと考えてるでしょ。身分をわきまえなさい。あなたは奴隷。そして私は主人なのよ」
「まだ奴隷じゃないです」
「もう奴隷なのよ。運命的にはね」
「僕は運命なんて信じない主義なんです」
「中二病みたいなセリフ言わないで」
「運命を語るのも立派な中二病だと思うんですけど」
「とうとう失礼なセリフを言ったわね」
「僕の運命は奴隷というセリフも失礼なセリフだと思うんですけど」
「私の失礼は許されるのよ。主人だから」
不条理なことを堂々と言う少女。やはり中二病か。
「日本には奴隷制度はないと思うんですけど」
僕は正論を言う。
「ふふっ。馬鹿ね。日本にも奴隷制度はあるわ。ブラック企業で働く社員いるでしょ。安い給料でこき使われる社員。あの社員たちも立派な奴隷よ。日本にも奴隷制度はあるのよ」
確かにブラック企業で働く社員は奴隷のように見える。
「それに上流階級では人を奴隷のように使っている人がたくさんいるのよ。昔の貴族のようにね」
「・・・」
「私は上流階級の人間よ。だから他人を奴隷にする権利があるの。強制的にね」
「僕は奴隷になりたくないです」
「頑固ね。私のような超絶美少女の奴隷になれるなんて光栄極まりないことなのに」
この子はもう病気レベルの中二病なのかもしれない。どこぞの国の独裁者気取りなのかもしれない。さっきから僕の本能が警鐘を鳴らしている。その警鐘の音がどんどん大きくなっている。走って逃げようかと思う。
「逃げても無駄よ。飯島優人。私、あなたの自宅の場所知ってるから」
僕のフルネームを知っているのだから僕の自宅を知っている可能性も高い。
「それに逃げないほうがいいわよ。逃げた瞬間、痴漢って言うから。痴漢で警察に捕まりたくないでしょ」
脅してきた。
なんて女だ。
こいつは本当にヤバい女かもしれない。
でも逃げれば痴漢にされてしまう。
自分が警察に捕まる映像が浮かぶ。警察署に連れていかれ、強面の警官に取り調べをされる。自白を強要される。気弱な僕は罪を認めてしまう。そんなストーリーが脳裏に浮かんだ。
嫌だ。冤罪で痴漢犯にされたくない。もしそうなったら人生終わりだ。
「僕は痴漢なんてしてない」
「今はね。でもすぐに痴漢犯になるわ」
少女は不敵な笑みを浮かべながら自信たっぷりに言う。
「ならない。僕は痴漢なんてしない」
「ふふっ。あなたは痴漢犯になる運命なのよ。私の奴隷になることが運命によって決まったときから痴漢になる運命も決まっていたのよ」
「決まってない」
決まっているわけがない。痴漢になる運命も奴隷になる運命もこの女の妄想だ。中二病的妄想だ。僕はゲーム好きで中二病的なところがあるけど、この女ほど酷くはない。
「決まってるのよ。それを証明してあげるわ。今すぐにね」
そう言ったあと、少女はスカートの裾を両手で掴んだ。
そして掴んだままスカートを捲りあげた。普通なら少女のパンツが見えるはずだった。でもパンツは見えなかった。見えなくて当然だ。少女はノーパンだったのだから。
見えたのはマン筋だ。陰毛もシミもない綺麗なマン筋だ。僕の目はそのマン筋に釘付けになってしまう。生まれて初めてみる生のマン筋だった。ネットのエロ動画やエロ画像でマン筋を見たことがある。だが生のマン筋を見たのはこれが初めてだった。
少女のマン筋を見た瞬間、僕の運命は決まった。
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