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第15話 女王
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次の日
予想とは違いモンスター達に攻め込まれることはなかった。俺は千里魔眼を使用してモンスター達が何をしているのか探る。
町中に視界を移動させると、そこには巨大な神輿のようなものを担いでいる屈強なオーク達の姿があった。
そのオーク達は脂肪の分を全て筋肉に変えたかのような体つきをしている。
数は100にも満たないほどだが、昨日襲撃してきた連中よりも厄介そうに見える。
(あれが本隊か…)
そして、奴らが担いでいる物の上には信じられないほどの肥満体で巨体のオークがいた。あれが群れのリーダーか何かなのだろう。
すると、少し離れた道から自衛隊の車両が何台か走ってきていた。自衛隊がオークの群れに気付いたのか、降りて武器を取り出した。
(あの武器はショップで買えるやつだな)
ショップで買える剣やら斧やらを持っている、たしか3000MPぐらいだったはずだ。それなりにMPにも余裕があるらしい。
眺めていると、1人のハイヒューマンである自衛隊が俺が視界を置いているとこに顔を向けて目が合った。
(なんだ、感知系のスキルか何かか?)
そう思っていると、そろそろ戦闘が始まりそうになっていた。俺は念の為、すぐに駆けつけられるように屋上へ移動する。
「あ、ヒロキさん。どうしました?」
「ん、少し気になることがあってな」
そう言って俺は座り千里魔眼を使用して、先ほどの場所まで視界を移動させる。もう戦闘は始まるところだった。
オークの集団は自衛隊を見つけると、静かに担いでいた物を降ろして、リーダーを守るように前方へ並んだ。
自衛隊側もすでに戦闘態勢に入っており、剣や斧、メイスを構えてオークたちと対峙していた。
屈強なオークたちが咆哮を上げ、一部リーダーの護衛を残して一斉に突撃を開始する。
対する自衛隊もそれに怯むことなく行動を開始した。
まず後方にいる自衛隊員数人が魔法の火球や氷の矢、尖った岩を放った。
何体かのオークが魔法に直撃して傷付くが、まるで効いていないかのように構わず突進する。
すると自衛隊側から岩の巨人が現れた。それはオーク達へ突進して攻撃を開始する。
さすがの屈強なオークも岩の塊にはどうすることもできず、何体か殺される。
(なるほど、土の傀儡のような召喚系のスキルかと思ったが、ただ土魔法の制御を維持し続けて操っているのか)
その証拠に1人の自衛隊員が両手を上げて魔力を放出し続けている。耳が尖っているのを見るとエルフなのだろう、豊富な魔力を活かした強力な戦術だ。
すると、今までただ見ているだけだった、リーダーの肥満巨体オークが脂肪がだらけきった腕を持ち上げ、人差し指を立てた。
そして一瞬にして4m程の氷塊を創り上げ、それを岩の巨人へぶつけた。
岩の巨人はその攻撃に耐えきれずにバラバラになって崩れ落ちた。
(魔法を使うモンスターか…!それもとんでもない腕前だぞ)
魔法を放った肥満オークは汗だくになっている、かなり無茶をした一撃だったのかと思ったが、ただ腕を持ち上げるのに疲れただけのようだ。
岩の巨人が消えたことでオーク達は勢いついて突進した。
体格の良い髭が伸びているドワーフの自衛隊員が最前線に出て片足を振り上げ、力強く地面を踏みつけた。
するとアスファルトの地面に亀裂が入るのと同時に、オーク達がよろめいて跪いた。どうやら立っていられないぐらい揺れているようだ。
その隙に、近接武器を持つ自衛隊員達が突撃して屈強なオーク達を次々と始末していく。まだ揺れによる影響はあるだろうに大したものだ。
近接武器の自衛隊員と魔法を扱う自衛隊員の攻撃によって、オーク達の数がどんどん減っていく。
すると肥満オークが動き出した。両腕を持ち上げ、氷柱のような先が尖った氷をいくつも創り出して放った。
複数のオーク達を巻き込みながら尖った氷が自衛隊員に迫ろうとするも、光る透明な壁に防がれた。
(結界か…?あの氷魔法の威力も高いだろうに中々の強度だな)
「なんだありゃ、氷?」
「随分大きい気が、ヒロキ様?」
「ん、どうした……あれは」
眷属に声をかけられ、視界を戻す。
すると上空に巨大な氷塊が浮かんでいた。先程の氷塊より3倍はありそうだ。
(なるほど、あの氷柱はブラフであれが本命だったか)
俺は戦斧を肩に担いで、脚に力を入れて勢いよくジャンプした。建物の屋根や屋上を何度か飛んで巨大な氷塊に接近していく。
(…斧で叩き斬っても巨大なまま落下してしまうか。この動きの感じからすると、鬼の身体はおそらくあのサイクロプス相当の身体能力を追加している。ならば…)
巨大な氷塊が落下し始めた。自衛隊も気付いたのか何枚か結界を展開するが、難なく割れて突破されていく。
氷塊近くの建物まで行けた俺は、力強く飛び込んで、氷塊にドロップキックを叩き込んだ。
轟音と共に、氷塊にはクレーターが出来上がる。
そして真下に落ちていたのが、俺が横から叩き込んだことで軌道が変わり、肥満オークの元へ落ちていった。
肥満オークはあたふたと氷塊の制御を取り戻そうとするが遅く、そのまま護衛のオーク達と共に氷塊にすり潰された。
〔MP +6000〕〔MP +200〕〔MP +193〕〔MP +201〕…
俺は体制を立て直して、翼を羽ばたかせながら地面に着地する。
そして自衛隊と対面した。
「……」
「……」
お互いの間に沈黙と緊張が流れる。そして俺は口を開いた。
「こいつのドロップ品は貰うぞ?」
予想とは違いモンスター達に攻め込まれることはなかった。俺は千里魔眼を使用してモンスター達が何をしているのか探る。
町中に視界を移動させると、そこには巨大な神輿のようなものを担いでいる屈強なオーク達の姿があった。
そのオーク達は脂肪の分を全て筋肉に変えたかのような体つきをしている。
数は100にも満たないほどだが、昨日襲撃してきた連中よりも厄介そうに見える。
(あれが本隊か…)
そして、奴らが担いでいる物の上には信じられないほどの肥満体で巨体のオークがいた。あれが群れのリーダーか何かなのだろう。
すると、少し離れた道から自衛隊の車両が何台か走ってきていた。自衛隊がオークの群れに気付いたのか、降りて武器を取り出した。
(あの武器はショップで買えるやつだな)
ショップで買える剣やら斧やらを持っている、たしか3000MPぐらいだったはずだ。それなりにMPにも余裕があるらしい。
眺めていると、1人のハイヒューマンである自衛隊が俺が視界を置いているとこに顔を向けて目が合った。
(なんだ、感知系のスキルか何かか?)
そう思っていると、そろそろ戦闘が始まりそうになっていた。俺は念の為、すぐに駆けつけられるように屋上へ移動する。
「あ、ヒロキさん。どうしました?」
「ん、少し気になることがあってな」
そう言って俺は座り千里魔眼を使用して、先ほどの場所まで視界を移動させる。もう戦闘は始まるところだった。
オークの集団は自衛隊を見つけると、静かに担いでいた物を降ろして、リーダーを守るように前方へ並んだ。
自衛隊側もすでに戦闘態勢に入っており、剣や斧、メイスを構えてオークたちと対峙していた。
屈強なオークたちが咆哮を上げ、一部リーダーの護衛を残して一斉に突撃を開始する。
対する自衛隊もそれに怯むことなく行動を開始した。
まず後方にいる自衛隊員数人が魔法の火球や氷の矢、尖った岩を放った。
何体かのオークが魔法に直撃して傷付くが、まるで効いていないかのように構わず突進する。
すると自衛隊側から岩の巨人が現れた。それはオーク達へ突進して攻撃を開始する。
さすがの屈強なオークも岩の塊にはどうすることもできず、何体か殺される。
(なるほど、土の傀儡のような召喚系のスキルかと思ったが、ただ土魔法の制御を維持し続けて操っているのか)
その証拠に1人の自衛隊員が両手を上げて魔力を放出し続けている。耳が尖っているのを見るとエルフなのだろう、豊富な魔力を活かした強力な戦術だ。
すると、今までただ見ているだけだった、リーダーの肥満巨体オークが脂肪がだらけきった腕を持ち上げ、人差し指を立てた。
そして一瞬にして4m程の氷塊を創り上げ、それを岩の巨人へぶつけた。
岩の巨人はその攻撃に耐えきれずにバラバラになって崩れ落ちた。
(魔法を使うモンスターか…!それもとんでもない腕前だぞ)
魔法を放った肥満オークは汗だくになっている、かなり無茶をした一撃だったのかと思ったが、ただ腕を持ち上げるのに疲れただけのようだ。
岩の巨人が消えたことでオーク達は勢いついて突進した。
体格の良い髭が伸びているドワーフの自衛隊員が最前線に出て片足を振り上げ、力強く地面を踏みつけた。
するとアスファルトの地面に亀裂が入るのと同時に、オーク達がよろめいて跪いた。どうやら立っていられないぐらい揺れているようだ。
その隙に、近接武器を持つ自衛隊員達が突撃して屈強なオーク達を次々と始末していく。まだ揺れによる影響はあるだろうに大したものだ。
近接武器の自衛隊員と魔法を扱う自衛隊員の攻撃によって、オーク達の数がどんどん減っていく。
すると肥満オークが動き出した。両腕を持ち上げ、氷柱のような先が尖った氷をいくつも創り出して放った。
複数のオーク達を巻き込みながら尖った氷が自衛隊員に迫ろうとするも、光る透明な壁に防がれた。
(結界か…?あの氷魔法の威力も高いだろうに中々の強度だな)
「なんだありゃ、氷?」
「随分大きい気が、ヒロキ様?」
「ん、どうした……あれは」
眷属に声をかけられ、視界を戻す。
すると上空に巨大な氷塊が浮かんでいた。先程の氷塊より3倍はありそうだ。
(なるほど、あの氷柱はブラフであれが本命だったか)
俺は戦斧を肩に担いで、脚に力を入れて勢いよくジャンプした。建物の屋根や屋上を何度か飛んで巨大な氷塊に接近していく。
(…斧で叩き斬っても巨大なまま落下してしまうか。この動きの感じからすると、鬼の身体はおそらくあのサイクロプス相当の身体能力を追加している。ならば…)
巨大な氷塊が落下し始めた。自衛隊も気付いたのか何枚か結界を展開するが、難なく割れて突破されていく。
氷塊近くの建物まで行けた俺は、力強く飛び込んで、氷塊にドロップキックを叩き込んだ。
轟音と共に、氷塊にはクレーターが出来上がる。
そして真下に落ちていたのが、俺が横から叩き込んだことで軌道が変わり、肥満オークの元へ落ちていった。
肥満オークはあたふたと氷塊の制御を取り戻そうとするが遅く、そのまま護衛のオーク達と共に氷塊にすり潰された。
〔MP +6000〕〔MP +200〕〔MP +193〕〔MP +201〕…
俺は体制を立て直して、翼を羽ばたかせながら地面に着地する。
そして自衛隊と対面した。
「……」
「……」
お互いの間に沈黙と緊張が流れる。そして俺は口を開いた。
「こいつのドロップ品は貰うぞ?」
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