MAXコーヒーから始まる糖度MAXなこじらせ魔法使い達

琉水 魅希

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第1章 MAXコーヒーが繋いだ奇跡

第9話 痛車に自分の二次創作のキャラ描くってどうよ?

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 車に戻ろうとMAXコーヒー片手に振り返ると、MAXコーヒーを片手に持ち大きなキャリーバックを片手に引いている女性に目が留まった。
 2ヶ月ほど前公園で見かけた女性だとわかった。
 少し髪型は違うけど、コスプレを始めた自分には分かった、あれはウィッグだ。
 女性の場合、直すのが大変だしべた付いたまま帰宅する人は少ない。
 その場合にどうするか、帽子を被るか違和感のないウィッグを被るかの2択だと。

 「どうしました?何か困ってるように見えたのですが…って突然でしたよね。2ヶ月ほど前公園で一度お会いしたと思うのですが。」
 真人には公園の彼女とコスプレ会場で会った彼女が同一人物だとこの時点では気付いていない。
 ウィッグに気付いておきながら…にぶちんめっ

 彼女は少し顔を赤らめ…
 「あ、はい。実は電車が人身事故で止まってるみたいで…りんかい線と東武線と両方とも。ゆりかもめは使い辛いですし。タクシー乗り場もいっぱいなのでどうしようかと迷っていたところで…」
 声をかけられたのです、と。

 「島の脱出すら困難と…それなら俺車なんで送りましょうか?」
 って何を言ってるんだ。名前も知らないのに不審者丸出しだろ俺?

 「あ、はい。」
 肯定しちゃったよ彼女。どうするの?送り狼とか警戒しないの?目的地と違うところに行くかもとか警戒しないの?

 「ってそうですよねーいきなりじゃ嫌ですよねー」
 ってここで俺が否定してどうするよ。心の中で既に理解しちゃってるのに。

 「って良いんですか?ろくに会った事もない、過去に偶然会っただけの人物に警戒とかは。」

 「ヲタクに悪い人はいません。」
 と、そう思ってるらしい。

 「まぁ、全部がそう思ってるわけではないのですが、会話していて悪い人という感じはしませんし。お互い良い大人ですしそのあたりは弁えてるのではないかと。」

 そりゃそうだ。偏見かもしれないけど、若ければこういった時に邪な事を考えてしまうかもしれないけど、俺童貞だしそんな度胸ないし。

 「それよりも真逆方面だったら別にいいですよ、さすがに悪いですし。」

 「確かに、流石に仙台とか名古屋だったら無理ですね。」
 って、家まで送る気かおれは、普通島脱出して最寄の駅とかだろう。

 「あ、栗橋です。東武線の南栗橋駅のすぐ近くです。傍に済生会病院があって便利なんです。」
 あ、これ家まで送るパターンになってる。ってかウチから近いじゃん。

 「マジで?俺反対側です。駅の反対側。それなら家の近くまで送りますよ。実は今日電車の予定が連れの影響で車で来たんです。」

 あれ?少し残念そうな表情になったぞ、なんでだ?

 「お連れ様がいらしたのですね…」

 「あー、連れといっても会社の後輩の男ですよ。今日のサークルチケットと駐車券貰う代わりに行の荷物運搬とスペースの手伝いをしたっていうか。」

 すると少し彼女の表情が明るくなった気がした。

 「そうなんですね。でも意外でした。ちょっと話しただけでしたけど、まさか趣味が近い方だったなんて。そのおかげで今日帰れそうですし。」

 あ、うん。こちらも驚き。ここにいてキャリーケースという事はサークル参加だろうし、俺より濃いよね絶対。

 「それはお互い様です。って暗くなってますしとりあえず車に行きます?」

 「そうですね。冬ですからもう真っ暗ですし。」

 そんな中よく再会したよなって感じではある。

 喉が渇いて飲み物を買いに来ただけなのに大変なものをお持ち帰りすることになりました。いや、いかがわしい事を考えてるわけではないけど。

 駐車場に向かい歩き始める二人。

 「あ、荷物引きますよ。サークル参加されてたんですよね。」

 故に決して軽い荷物ではない事が推察される。実際キャリーケースでなければ持ち歩けない。

 「大丈夫ですよ。慣れてますし。」

 実際慣れているというのは本当だろう、でも男はこういう時格好つけたくなるものなのだ。

 「取ってどうこうしませんよ、俺もヲタですし戦利品含めて帰りに荷物が多くなるのは理解出来ますから。」

 「そうですか。ではお言葉に甘えさせていただきます。その代わり運転の事も含めて後でお礼はさせていただきますね。」

 そういって俺は彼女からキャリーケースを受け取ろうと手を伸ばした。

 「っ」
 
 他意があったわけではないのだが、彼女の手とキャリーケースを握ってしまった。タイミングミスってやつだ。

 「あ、ごめんなさい。タイミング早すぎました。」

 今度はきちんとキャリーケースだけど受け取る。

 小さな手だった。冷たかったが心地よかった。本当はもっと握っていたかった。でもそれを自覚した時自分の思考が痛かった。

 これだから童貞は…と真理恵さんに言われそうだ。

 その後二人とも無言で歩いた。気まずかったのはあるけれど、二人して中学生カップルみたいに何をどうしていいのかわからなかったのだ。

 そして駐車場にはすぐ到着。自分の車はすぐそこだった。

 「あ、今更だけど…車見て驚かないでくださいね。車見てやっぱやめると言われるの悲しいので。」

 彼女は「?」という表情を浮かべた。

 「あれです、俺の車」

 そこにはねこ○こソフト販売の銀○のキャラクター全章のあやめがそろっていた。ボンネット、左右のドア、トランクと。

 ただ、ボンネットのキャラだけは見覚えがない。

 「痛車くらいじゃ変には思いませんよ。確かに身近にいないので驚きはしましたけど。それよりも懐かしいですね、銀○。同じねこね○ソフトなら「みず○ろ」ならみたことありますけど、にゃう~んとか。雪希とか。進藤たんとか。」

 今進藤たんと言いましたか。

 「俺、ね○ねこの作品、銀○が好きなんですよ。儚いですしね。それで実際に会ったことはないですが、ネットでの知り合いとゲーム作ろうってなって、シナリオ書くことになってるんですけど、そこで誕生したのがボンネットに描かれてるキャラなんです。」

 「え?ゲーム作ってるんですか?それもシナリオライター…凄いです。」
 彼女は心底驚いている。そしてなんだか尊敬の眼差しで見られている気がする。

 「白銀 真希といってゲームの中のヒロインなんです。東海村にいる絵描きさんが見事に描いてくれたんで、せっかくなので痛車に組み込みました。」

 世間的には邪道だろう。商業作品の二次制作キャラを同じ舞台に上げるのは。

 だけど…俺には無下には出来なかった。

 「でも、完成は出来なかった。主催・シナリオ・絵描き・音楽みんな住んでる所が違うのでどうしても時間が合わなかったりで。」

 絵描きさんとはオンリーイベントで何度か会ったことがある。そこで直接ここはこうして欲しいと要望を伝えて、完成形をスケブに描いてもらったくらいだ。

 「だからこそ、邪道かもしれないけど、こうして形に残す事が自己満足だとしても…」

 彼女は真剣に俺の話を聞いてくれていた。なんとなく、自分の書いていた作中の真希に被って見えた。だからかもしれない、会ったばかりの彼女に声をかけたのは。

 というかそろそろ車に入れよ、寒いだろとツッコミがきそうである。

 「あ、寒いですよね、今車開けます。」

 

 荷物を車に積んでドアを開ける。もちろん助手席のドアを。

 「ありがとうございます。」

 それからは他愛のない話をした。

 この作品にはまってるとか。
 
 主にヲタの話を。

 島を出て埼玉県に入り、国道4号、正確には旧4号を進み越谷に入る。

 「少しお腹減りません?何か食べていきます?」

 「そうですね。コ○ケの日は基本少食なので…」

 といったところでびっくりドンキーがあったので入ることにする。

 「希望聞かなかったけど大丈夫です?」

 「大丈夫です、今は埼玉県民なのでびっくり○ンキーは知ってます。」

 大丈夫の基準はわからないが、失敗はしていないようだ。

 注文を待っている間、今更であるが自己紹介をした。

 「俺、越谷真人と言います。イベントとかではまこPと名乗ってます。」

 そういって、本名である会社の名刺と今日撮ったコスプレ名刺を彼女に手渡す。

 「あ、ありがとうございます。わ、私は…」

 そういって彼女が差し出してきた名刺は「金子友紀」という本名の名刺と、先程コスプレスペースで貰った「ゆきりん」さんの名刺だった。

 この世代のネーミングセンスにたいするツッコミは受け付けないが、二人とも本名をもじっただけの安直なものであるが、二人のこれまでを繋ぐには充分過ぎた。


 「えーーーーーーーーー」
 俺は思わず大きな声をあげていた。



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