【悪奴1】悪徳奴隷商と王の息子の息子

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六章

26.プリンと革命王

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「ちっ!!」

ハルトが苛立ちを露わにしながら、室内に入ってくる。


「おかえり、ハルト」
「っライ!?…え……もう帰ってたん…だ…」
「あぁ」

オレが室内に…、ハルトと共に寝泊りしている部屋にいるとは思わなかったんだろう。
そうだな。オレがこんなに早く仕事を切り上げて、戻ってくる事は珍しい。
荒れた感情を見られてしまったばつの悪さからか、ハルトの表情が複雑なものになっている。

「くはっ……」

その様子が微笑ましくて、つい口から笑みが漏れる。


「ハルト」

入り口付近で動きをとめてしまったハルトに、こちらへくるよう手招く。

「何……ライ」
「ほら」

素直にこちらへきて、横の空いた椅子に腰掛けたハルトに、オレは仕事場から持ってきた器を差し出した。

「こ、これは!!」
「ここのところ、お疲れの王様に差し入れだ」
「まさか、まさか!!!!?」

「なんでそんなに驚いてんだよ。普通のプリンだぞ?」
「普通じゃないよ!?これもちろん、ライの手作りだよね!?」
「そうだが」

仕事の合間の息抜きに作ったものだ。オレがそういう事をするのは、ハルトも知っているはずなのに。何をそんなに驚いているやら。
中々手を出そうとしないハルトを見て、どうしたと思う。

「なんだ、いらないのか?」

……ああ、そうか。
ひとさじすくって自分の口に入れる。そうだよな。毒見は必要だ。

「ほら、即効性の毒は入ってないぞ」

ごくりと喉を鳴らして、嚥下して見せる。
うん、いつもの味だな。オレは口内に広がる甘さにたいして、なんて事ない感想を抱く。
まぁ…当然か、手順も計測も特に変えていない。

「遅効性については、信用して貰うしかないが…」
「ぺろ!!?ぺろってした!?」
「なんだよ、オレが口つけたのは嫌か?」

オレが毒見したプリンを、再びハルトへ差し出すが、やっぱり口をつけようとしない。なんだよ?…口をつけたのじゃないと、毒見の意味がないだろ?
すくい、ハルトの口まで持っていくが、ぱくぱくと何度も口を開け閉めするだけで、一向に食べようとしない。

「?」

あぁ。しまった……。薬毒耐性の高いオレじゃ、毒見役の意味がないのか。
悪いな、ハルト。

「今、別の毒見役を呼…」

そういい、ハルトから遠ざけようとした手が…スプーンごと一気に引っ張られてしまう。

「うわ!?」
「はむっ!」
「ぉお…」

そんなスプーンまで食うような勢いで、口に入れなくても…。逃げないぞ?プリンは。

「ぅうううううう!おおおおおおおいしいいいいいいいいい」
「そうか?」

いつも通りの味だったが?

「まぁ…甘いものは、疲れていると旨く感じるよな」
「ライはこのプリンの価値がわかってない!!」
「はぁ?」

価値も何も、素人が隙手間に作ったもんだぞ。なんでそんなに目…血走らせてんだよ。怖えよ。

「ライのプリン…ううん。お菓子の価値が、皆の間でどれだけ高いか知ってるの!?」
「いや、知らねえ」

作ったら基本、そこにいる奴らで勝手に食え…で放置してる。そもそもオレにとっては、作る間の時間…息抜きの方が重要だからな。過程が大事であって、結果として出来たものには興味が薄い。

「恐ろしい…。流石は天然人たらし」
「はぁ?」

なんなんだよ。

「あぁ…それを…それだけの価値のあるものを…戦う事なく一人じめ出来るなんて…あぁああ王になってよかった」
「いや、大げさだろ」

オレはハルトにまだ掴まれている手を、奪い返そうと引っ張る。

「っ」

だがハルトが無駄にしっかりと掴んでいるせいで、外せなかった。
それどころか、外そうとした弾みでバランスを崩し、もう片方の手に持っていたプリンの器の中に、指が入ってしまう。

「あ…くそ、ハルトが手を離さないから…」

指についたプリンを捨てる訳にもいかず、器をいったん机に置いてから、口に入れ舐めとった。

「…ん…ふ……。まったく…お前は」
「………………」
「おい、ハルト?」

まだ手を離さないのかよ。いい加減にしろ。

「いただきます」
「はぁ?」

別にプリンは好きに食ってくれて構わな…。ひぁああ!?

「え、な、な、な!?んぁ…ちょ…くすぐったっ」

オレの指にもうプリンはついてないのに、ハルトの舌が…指を這う。口に含んで…溶かすように、しつこくねぶられ、軽く歯も立てられる。

「くっ……おい……やっ…め」

なんかむずむずしてきた。まるで自身が菓子にでもなったような、そんな錯覚がした。

「ハ…ハルト…おい…プリンは…まだ…あるから…そっち…を」
「は……は…」
「~~~~」

「は~…そうだよね。疲れている時には甘いものだよね」
「…っ…っ…だから、プリン…食えって」
「それも食べる。でもまずこっち」
「むぐ!?」

オレの口の中にも、プリンはもうないってのに!?さっきからなんだよ。あっ…ぅん……。

「…ふ…ぁ…ぁあ…んくっ…」
「はぁ…」
「ん!?…あっ…やぁっ……ふっ」

キスをされ、体の力が抜けてきたところで、抱かれハルトの上に移動させられた。

「お…い…」

一つの椅子の上に、抱き合った大の男が二人。不安定だろ…と思うのに、オレが身じろいでもびくともしない安定感が保ちやがった。ちくしょう…。生意気な。

「……はぁ~~ライから甘い匂いがする」
「…そりゃ…プリン作ってたからな。おわ!?お前!?何す!?」

かじと、服の上から肌を噛まれる。ていうか…下も…なんか…あたって……。…ちょ…やめ…。

「んん!?ひ…ぁ…」

思わず上がる声に、ハルトはにやりと笑う。

「こんなにライから甘い匂いがするって事はさ…ライってば、すっごく甘いんだろうね」
「は!?バ…バカじゃねえの!?」
「いや、甘いよ。間違いないって、だって」
「は?……くっ…あ」
「声だけでも、こんなに甘いんだもん」
「あん!?や…やだ…って…よせ………ん……あ!?」

また別のところを服の上から噛まれた。

「う…~~~」
「はっ」

ぐ…と腰を寄せられ、ハルトの陰茎がさらにあたる。

「ひぅん!?」

明らかに硬くなってきているそれを感じてしまい、顔に熱が集まった。

「ハ…ハルト」
「うん…ライ…たっちゃった…」
「う…」

そ、そうか…。いやっていうか…さっきからだよな……ぅ…。
ま…まぁ…その…疲れていると、そう…そうなりやすいって聞くし。

「え…とその…するのか?」
「したい…けど…今日は我慢するよ…」
「……ひゃ!?」

我慢するといったくせに、またぐいと擦りつけられ、刺激が与えられる。

「あっ…あぅ…」
「ふふ…ライも硬くなってきた…」
「そ、そりゃ…刺激されれば…どうしても」
「ん」

餌を求める雛のように、ハルトが下から、オレにキスしようと首を伸ばす。

「ん?」
「~~~~~」

ぎりぎりで、とまっていた口にせがまれ、最後はオレから顔を寄せた。

「んぅ!?ふ…あっ」
「はっ」

すぐ深くされたキスは、あっという間に呼吸を奪う。

「ふ……ッ」
「…………は~~~~…ライ……我慢するから…もう少しこのままで…このままでいさせて」
「………ん……」

相変わらずハルトとのキスは、オレを酸欠にする。足に力が入らない。
力が入らないから…だから…このままでいるのは仕方がない。

「ライ…プリン…ありがとう」
「…ん」
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