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本編
はんたいことば
しおりを挟む「カンセがコリエ嬢を愛人にするために、魔法使いシャルム君を奴隷契約して、転移でギフトの御方様や王子様方まで、呼び寄せた、とは•••。」
オルビット伯爵家の当主ドネが、冷や汗かきながら、呆然と呟く。
「何故だ!コリエ嬢にお願いすれば良いだけの話が、何故こんなことに!」
「あら、私、そのお話、お断り致しましたのよ。」
コリエは、ニコニコとお茶を飲みながら、悪意もなく返答をする。
「ふむ。嫌だなあドネさん。ドネさんは、喉が渇いた俺たちを、館に寄せて下さった。それだけですよね。」
だから、魔法使いシャルム君を奴隷契約なんかで縛らないし。
コリエさんも、愛人なんて言わず、無事に帰して下さいますよね?
ニッコリ竜樹が、お茶を啜りながら言うと、「その通りでございます!」ドネさんは従う一択である。
「どれい、てくびいたいの、わっかとれるの?」
ニリヤが、コクコクとぬるくしたお茶を飲んで言う。
「取ってもらわなきゃなぁ。」
「これ、俺の魔法じゃ解除できないんです。はめた時の魔法のつくりはわかるけど、解除の仕方、わからなくて。」
グスン。魔法使い犬耳シャルムは、まだ涙を拭きながら、手首の戒めをチャラリと鳴らした。
「はんたいことばで、かいじょできたら、いのにねぇ。」
ニリヤが、両方のほっぺに手を当てて、良い事思いついた!って顔してる。
「ぬりゅん・やりに」
「私は、るーわとえ・たーくね、だ!」
「私、じゅーねんらお。」
「わ、私、私?でぃ、でぃ、」アルディ王子が、えーと、となっている。ジェム達は、それを見て、おれむじぇー、とか、しぇろー、とか反対言葉で遊んでいる。ちょっと前に子供達の間で流行ったから、竜樹も知っていた。
「はたなかたつき、きつたかなたはー。ハハハ。」
「魔法の成立から、反対に順々に、ほごす?」
魔法使いシャルムが、はた、と止まって。むにゃむにゃむにゃ、むにゃー!と判然としない言葉を呪文に呟きながら、ほわっと光を手から発生させて、戒めのあたりをすりすりした。
ガチャン、ごとり。
「外れたー!!!」
おおお。
犬耳ぴこんと、シャルムが驚いて飛びすさった。
そしてドネ伯爵が、ひとまずホッとした。
戒めは、片方だけだったので、一つをマルサが押収した。
「良かった良かった。まぁ、建前はさておき、次男のカンセさんに調べはいくと思いますよ。だって、奴隷の輪っかとかどこで手に入れたとかあるからね。ドネさんは、捜査に積極的に協力する事で、お家を守るといいです。オランネージュもネクターもニリヤも、アルディ王子だって、うやむやにして、犠牲者ほっとけないだろ?騎士団もね。」
「うん!ほっとけない!」
「絶対ダメだよ!」
「許せないよ。」
「うん!みんなの国とモメないようにも、しないと•••。」
「それは大丈夫じゃないかなぁ。奴隷契約解除したシャルム君を、ワイルドウルフのお国の扱いに、戻せば、シャルム君て俺たちを呼び寄せたりできちゃうすごい魔法使いだから、うちの国がワイルドウルフを信用してる、いい証拠になるだろ。」
「でも、またシャルム君使って、ワイルドウルフの国の悪い人が、やなこと企んだら、どうしよう。」
モミモミ。手を揉みながらアルディ王子が、目を伏せる。
ふーむ。
そうなのだ。
使わなくても、手段を持つと、利用されがち。それはわかる。
「シャルム君は、しばらくアルディ王子の部下になって、チリ魔法院長に魔法を習うといいんじゃないですか。言いなりにならないくらい、魔法に繊細に強くなって、うちの国ともワイルドウルフの国とも、魔法で誓約を交わせば、強いられてもできなくなりますからね。」
ミランが(ミランもタカラも、その場にいた関係者はごっそり転移させられていたのだった)カメラから目を離さずに言う。
「なるほど。そんな方法が。」
「騎士団の方にも連絡いったかな?」
オランネージュが、言いながら、コクンとお茶を飲み干した。
騎士団の1人が、捜査を始めるために応援を呼びに行ったのである。
「まぁまぁ、ドネさん、そんなにしょげずに。と言っても無理があるか。俺たちはどうしてようかな。迎えが来るまでは、遊んでようかぁ。」
竜樹がのんびりとくつろぎ。
「カンセを呼んでこなくても?」
ショボショボ、とドネ伯爵は竜樹に聞いてくる。
「油断してるとこに、急に捜査が入る方がいいでしょ。そしたら、大々的に遊んじゃおっか!」
「クフフ。遊んじゃお!遊んじゃお!そして捜査までの間、混乱させちゃお!」
オランネージュが、腹黒笑い。
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