王子様を放送します

竹 美津

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本編

サンテ!みんなの健康2

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広場前大画面、そしてテレビのある場所では、今日も今日とて放送が流れる。

『サンテ!みんなの健康、です。第二回となります今日は、明日の医療シリーズ、神経再生術を取り上げます。本日いらしていただいたのは、パンセ伯爵家のエフォール君です。こんにちは。』

『こんにちは、初めまして、エフォールです。』

『君付けで呼んだりしてごめんなさい、でも、親しみが湧いて、他人事より身近にエフォール君の身体のことも見てもらえるかな、と思いますので、どうぞお許しください。』

『大丈夫です、よろしくお願いします。』
『はい、こちらこそよろしくお願いします。』

空色のセット、テーブルに花、車椅子のエフォールに、司会の女性がにこやかに話しかける。エフォールは、自分の分身のクマちゃんを握って、少し緊張しているようだ。

『エフォール君の、身体は、どういった状態だったのですか?』

『ぜんそくと、下半身麻痺があったのです。腰から下が動かなかったです。話に聞くと、生まれた時、お医者に取り落とされて、それで神経が傷ついてしまったのだそうです。』

『なるほど。ぜんそくは、アルディ王子殿下も治療してらっしゃるように、治療を?』

『はい。そちらは、日々癒しの魔法や、浄化、リラックスしたりで、対処できてきました。喉を潤す、軽い薬湯も飲んだりします。』

『そちらは、前回の募集で、続々と地方の治療師や患者さんから、癒しの魔法の長期使用の例など集まってきて、どうやら安全なようだとか。皆様、貴重な情報をありがとうございます。昔から地方では、咳には癒し、とされていた実例もあると。実際に治療師が地方に赴いて、調査もしているとの事ですが、続々とぜんそくの患者さんに、癒しの魔法を使って炎症を抑える治療は広がっているようですね。』

『はい、何しろ、ぜんそくはとても苦しいですから、とにかく苦しさを抑えたいという気持ちは、すごくあります。』

『癒しの魔道具も、すぐには身体に影響はなかろうと、希望する人には売り出したそうですね。』

『はい、私も持っています。夜寝ている時なんかに、発作が起こっても、人を呼ばなくて済むので、便利です。』

『ぜんそくは、そのように長く付き合っていくと。そうして、下半身麻痺の事ですが、再生術を?』

『はい、神経再生術を受けました。身体の中を見られる、カラダすきゃなーという魔道具が開発されて、私の切れていた神経を見る事ができるようになりました。それで、そこを集中して再生して、繋げる事ができたんです。』

『その時の様子を、撮影されていたんですね。』
『はい、そうです。見てみて下さいーーー。』


「エフォール君、自分が出てるのを見て、どう?」
竜樹達は、午後、寮に集まってテレビ画面を出して、王子達、アルディ王子、ジェム達にエフォールと一緒にテレビを見ていた。
「不思議な気持ちです。緊張したけど、あっという間に終わりました。恥ずかしい事も、テレビに映ってたけど、これで助かる人が出る、って言われたし、そうなったら嬉しいから。それに、みんなに見てもらったら、歩くためのリハビリ、最後まで頑張れそうだし。」
「がんばろうね、私もがんばる!」
「はい!アルディ殿下!」
アルディ王子が、エフォールの腕をポンポン叩く。嬉しそうにして、エフォールも返事をした。
アルディ王子の片腕には、黒いクマちゃんのぬいぐるみが抱えられている。アルディ王子だけに贈られたそれは、ぜんそく仲間の印なんだとか。

羨ましがった小さい子、中には大きい子たちには、竜樹が、エフォールに正式にぬいぐるみ制作の依頼をした。1体につき、銀貨1枚を竜樹が出した。
そんなにいらないよ、小さいから1日1個くらいできるし、材料もそんなに使わないし。とエフォールは言ったが、これは人件費です、人が時間をかけて作るものには、それだけの価値があるんだ。そこを安く見積もったら、ダメだよ。と竜樹は子供達に教えた。

オランネージュは、「ね、猫ちゃんのぬいぐるみ、お願いしたいです。」と、竜樹とエフォールにそれぞれ上目遣いでお願いをした。



『ーーー解しの魔法は、壊して再生するとの事ですが、痛いですか?』

『痛み止めの薬湯を飲んで、効いてきてからやるのだけど、痛いまではないけど、グリグリっとした違和感、圧迫感はあります。まだ両足の指を全部解した所で、足首、膝、股関節なんかは残ってます。柔らかくなった関節は、毎日ちゃんと動かしてます。繋いだ最初の日より、もっとずっと動くようになりました。』

『筋肉もつけないとですね。』

『はい!そのために、これからできる温水プールも楽しみにしてます。』

『ここで、これからできる温水プールについてもお知らせします。リハビリや、もちろん遊びのためでもいいのですが、健康のために、温水プールを作る計画があります。水は常時浄化され、水温も管理された、室内型プール。ちびっこ用の浅いプールもありながら、大人も満足できる、大型施設です。利用料金はまだ決まっていませんが、なるべくどなたも利用しやすい料金にとのことです。工事は、魔法で一気に行うとか?今年の夏期までには、出来上がりますので、王都の皆さん、楽しみに!』

『もし、温水プールの事業がうまくいったら、地方でも作られるといいです。』

『そうなるといいですね。エフォール君、フリーマーケットに参加の予定もあるとか?』

『はい、竜樹様のお誘いで、このクマちゃんみたいなものを、編んで売ろうと思ってます。楽しい事も、やりながらです。』

『それがいいですよね。子供のフリーマーケットのお問い合わせは、今日から7日間、新聞にも詳しく情報が掲載されますが、王宮内フリーマーケット係まで。まずは申込書を郵送でもらうんですね。よろしくお願いします。』

『みんな、一緒にフリーマーケット、参加しましょう!』

『長くリハビリを続けるコツは、生活も楽しむ事かもしれませんね。神経再生術に関するお問い合わせは、王宮内テレビ局神経再生術係まで。それでは、サンテ!みんなの健康でした。』



「フリーマーケット、みんなはお店出すのかい?」
「私、なんかやってみたい!」
ネクターが張り切って手をあげる。

「いいねー。もし参加しない子がいたら、子供新聞部とテレビ番組として、報道員も募集してるんだけど。あと、会場で、子供新聞と、お菓子売らないかい?」

ジェムが、ふぉっ!となって、やるやる新聞報道員!と叫ぶ。
ぼく、テレビのほうどういんやるー!とニリヤ。
俺、売り子やりたいー、とか、それぞれやりたい事を言っていく。

「小ちゃい子は、お買い物でフリーマーケット連れてってあげるよ。何か作るならお手伝いしてもいいかもね。考えようね。そして、それまでに子供新聞を作り終えないとだ!文官達や、商店の人、ついでに騎士団にもアンケート取り終わったし、まとめるぞー!」

「がんばるぞ、おー!」
オランネージュが鬨の声をあげる。

「「「おー!!!」」」

子供達のやる気もマックスになった所で。


ぶるるるる。

「ん?あ、神様からだ。」

むむむ?何だろう?
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