王子様を放送します

竹 美津

文字の大きさ
429 / 717
本編

情報屋、検証、終了!

しおりを挟む

広場のモニタースペースは、撤収がいつでも出来るよう、アシスタントが片付けられるものから片している。既に今は4時に。お仕事を検証し終えた子供達は、続々と広場に戻ってきて。

ここまでだよ、と3時の懐中時計がジリリと鳴った時。

『チーム王子』は、ぷらぷら帰り寄り道お土産買い食いで、あ、と皆して時計を持ってたネクターのポッケを注目した。ゴソゴソ出して、チン、と竜頭を押して止め、カメラも寄って、鳴ったから帰ろ帰ろと、肉の串を最後グイッと頬張り、ゴミ箱に良い子にゴミを捨て。街の人々に手を振りながら、一角ロバのロプ、ラプ、ネプも名残惜しく引き車貸し屋に返して。ブヒヒン、とすりすり、3ロバも別れを惜しんでくれ。
「ししょう~!いっぱい、じょうほう、うれた!」
ニコニコと帰ってきた。

『チームジェム』は、アイリスのお茶屋『葉の雫』を出て、しばらくしたらジリリリリ。結局お金使い果たしちゃったな、なんて言いながら、それでも満足げに戻って来たけれど。
「ただいまー。」
「帰って来たよー!」
むっふっふっふ、と立ちはだかるは、竜樹の筆頭護衛たる王弟マルサ。
「良く帰ってきたな、チームジェム。最後の一働きだぞ、街の危ない奴らについて、まるっとぜ~んぶ、知ってる事をこのマルサに話すと、今なら金貨3枚あげちゃうぜ。」
ニンニンと腕組みをし、早々にとっ捕まって、柔らかに、情報を吐け!吐くのだ!された。
「まじ!?」「気前いい!」「売った!」「こんな近くにお客さんが。」

『チームエルフ』は、イーヴのお店『酔い処イーヴ』で、今後のお店、のんある居酒屋経営について。活発に美しいエルフ達と、意見を交わしている所で時計のベルが鳴った。
「あ、困った。情報料全く誰からも、もらえてない。」
ロテュス王子が、はた、と口元に手を当てて、ふむ、と考えて。
「イーヴさん?」
振り返る。
「!は、はい!!な、なによ?」
美形のエルフに囲まれて、これからの事を目を白黒、何とか飲み込んだイーヴは。
「お店を一新するための情報、私たちから買ったって事にしません?今なら銅貨1枚で売っちゃう。ね、ね、1枚で良いから。」
ロテュス王子のぶっ込み提案に、何だな、アムーレのお金強請りより、随分謙虚だな、と嫌な風に慣れていたので。
「な、なんかお金いるのね?良いわよ、お店のことが、全くの夢だったにしたって、こんないい気持ちにさせてくれたんだから、銀貨1枚払います。」
きっぷのいいところを見せて、ふっくらしたお胸からお財布、ぎゅむと生温かい銀貨を出し。チームエルフに、わぁ!と歓声、囲まれてあたふたした。

「少しだけど、稼げました~!」
うふっ、と。転移でさっくり帰ってきて、だから帰還も他のどこのチームより一番に早かったのだが、ひゅいん、パラパラ、と竜樹達のいる場所に降り立って。
頬をポッポと、竜樹にするりと抱きつき、ぎゅーむぎゅーむとした相変わらずの。いやいや、今までより、もっと嬉しそうで親密なロテュス王子に、他のエルフ弟妹達はニコニコ。
「ロテュス兄様を頼むわよ?」
ウィエ王女の笑顔の睨み上げに、竜樹が、ウンウン、と神妙に頷いて、ルムトンとステューが悔しがるという様式美がまた、展開された。
ちなみにウィエ王女ちゃんは、ステューとお食事してくれるそうです。

『チーム女子』は、丁度、商店街のお買い得情報もほぼ伝え終えて、貼っていたお得内容の紙も外して、木箱にまったり座ってお喋りしていてベルが鳴った。律儀に鳴ってから帰り支度である。
満足のいく結果に、最初潤んだ涙のマテリアも、意気揚々。お母さんカメラマンのブリュムも、ここまでの娘の奮闘を無事、カメラに収めて、ほくほくと帰ってきた。
そしてエルフのロテュス王子とくっついてチーム女子を迎えた竜樹に。
「竜樹様!カメラとは、何て素敵なものなんでしょう!あらゆるものを、映像に写し取って、はい、と手のひらに差し出す事ができる。私、カメラが欲しいです、売って下さい!」と興奮して告げた。
まあまあ、えーと購入先はですね、とタカラに詳細を聞いている竜樹を他所に、女の子達は。ルムトンとステューに。
「ステュー隊長!ルムトン副隊長!」
「皆に向けて、商店街でお客さんを呼び込んで話す時の話し方、教えてくれてありがとう、ございました!」
「とってもたすかりました!」
「やっぱり上手よね、ルムトン副隊長。真似っこしてみたの、私。」
「わ、私もやったのよ。」
と囲んで、キャアっと華々しく沸いたので、デレデレニコニコしたぽんぽこルムトンと、ウンウンと頷くステューがそこにあった。

『チーム貴族と荒野へ向かう者達』は、エルフの次に早く広場へ帰ってきたが。
やり遂げて、そして仲良しに微笑み合うその様子は、落ち着いて誇らしげ、曇りの一点もなかった。
迎える竜樹やルムトン、テレビクルーやスタッフ達も、お帰りお帰り!良くやったね!と温かく彼らを迎えた。
カメラマンをやったリオン夫人も感慨深げに、重かったカメラをよいしょと持ち直して、良くやったね、エフォール。と口パクで称えた。


さて皆が集まった所でまた本番。
本日のまとめである。
ルムトン副隊長とステュー隊長が、さあさあ、これで今日最後だからね、疲れたけど気合い入れていこう、がんばろ!と子供達に声をかけ、「はーい!」と元気なお返事。
3、2、1、キュー!

「はーい子供達、検証を終えて皆帰ってきました~わーわわわわぁ~!」
「良くやったね!頑張りました。」
ルムトン副隊長とステュー隊長が囃せば、エェへへ、と照れ笑いの子供達。それぞれに良い顔をしている。
情報屋の本日の講師、モルトゥも、うんうんと、何だか穏やかな顔である。
「では、今日の感想をチームごとに聞いていこう。皆、情報屋やってみて、どうだった?難しかったり、困ったり、面白かったりした事あった?お金は稼げましたか?」

『チーム王子』
「中々、情報屋で稼ぐのも難しいって事が、わかった。」
「広場で立って聞いてても、全然うまくいかなかったよね。」
「ニリヤが泣いちゃったりもしたし。」
「もうげんきだよ。ぼくも、いんたびゅ、がんばった!」
「ね!新聞社に行ったんだよね!」
「結果的に、お土産も買えて、お肉の串やポテトも食べられました!」
「すてきな出会いもあった•••。」
ポポッ。

「そうだぞ!羨ましいじゃん!余裕の買い食い!」
「俺たちにお土産はないのかよ~!」
ルムトンとステューに、ふりふり身体を捩られて突っ込まれ、にへへと笑う王子達であった。
モルトゥの評価は。
「王子達だけあって、情報の取り扱いについて、その危険も含めて考えられた上で。変に怯えたり、流されずに利用できたところが、良かったと思う。情報屋になるのはお勧めしないが、これからも立派に情報を扱っていけるだろう。」
高評価で、顔見合わせ、ハイタッチ!の王子達。

『チームジェム』
「久しぶりに街を歩いたけど、俺たち役に立ってたんだな、って分かって良かったな。」
「ウン。アイリス達に引き継ぎも出来そうだしね。」

えっ、と驚くオランネージュは放っておいて。

「布屋のプティフールも助かったし、何か竜樹とーさが織物会館とか言って、うまいことできそうなのも、良かった。」
「街の情報あつかうのは、得意だけど、情報屋、ってまでは出来なかったかも。」
「すごく走ったり動いたりして、疲れました。情報屋って、体力も要るんだね。」
最後のは片足が不自由なネフレである。全く全くお疲れ様である。
「カッコよかったよ!チームジェム!」
「街の何でも屋さんだったね!」
ルムトンとステューは褒め称え。
情報屋モルトゥの評価は。
「情報屋とは言えないかもしれないが、必要な情報を、鮮やかに入手して、お金に変える実践が出来ていた。今回のチームの中で、一番、雑多な情報に敏感に取り組んで、親しんでいたのは、このチームだったかもな。なかなかの健闘だった、と言っておく。」

『チームエルフ』
「何だか、あまり皆さん情報は教えてくれなかったな~。」
「情報を入手するって、難しいですね。」
「ナンパ、ばっかし。」
「最後、銀貨1枚稼げたから、良かったわ!」
ルムトンとステューより。
「ウィエ王女ちゃんとお食事が出来るなら、何でも良いです。」
「ナンパの皆と同じ事になってんじゃん、ステュー。まぁ、美しさは罪だったね。それでも、イーヴのお姉さんと、良いお話しが出来て、万々歳だったんじゃないでしょうか。」
「エルフってスゲェな、って思ったよね。ヒモのいる酒場の女主人を、こんな短時間で、幸せに導いちゃうんだもんね。」
「幸せの押し売り、どんどんやってって欲しいですねぇ。」
モルトゥからは。
「エルフは美しさで目立ち過ぎて、最初からハンデがあったけど、最後には何とか情報料が貰えた所は、評価したい。というか、店一軒まるっとエルフの世話にしてる、ってどうなんだ。情報料貰うより、これから月々の給料が、あの人数のエルフ達で貰える、ってスゲェんだぞ。どれだけ売り上げあげる気なんだよ!」

『チーム女子』
「食材の情報あつめるの、とっても楽しかったわ!」
「マテリア様、すごく嬉しそうだった!」
「最初、情報を説明しても、あんまり聞いてもらえなくて、大きい声で、面白く、ポンポン!て風にリズムでお話しするとかコツがあるんだなあ、って初めて知ったわ。」
「情報屋さんて、何でも出来なきゃなのよね。集める、交渉する、伝える。頭使うわ。」
「このシエルにかかれば、難しい情報屋でも、何とかなるってものだったわよ!」
「街中の情報、知れて、人の役にも立って、楽しかったなぁ。」
ルムトンとステューより。
「街中で話すの、最後の方は結構サマになってたよ!」
「もう、もう、ってジリジリしちゃったよな。見てらんなくて、最初。」
「それでも、どんどんやれるようになってった。女の子達も、お仕事、充分に活躍できるな、って俺は思ったね。」
「女の子ならではの、細やかな情報収集があったしね!」
モルトゥより。
「最初は苦戦したが、俺の見本を、あんな風に少し変えて工夫して、面白く楽しく情報屋やれたのは良かったと思う。結構稼げてたし、女の子達が可愛くて一生懸命なのに、お金払っちまう、って所もあるにしろ、それも含めて情報ってやつだから。有利に働いて今後も期待できると思う。俺の仕事が奪われそうだな、何か。お手柔らかにな。」
お仕事検証、確かに頑張った、のもあるし。女の子には、モルトゥだって何となく優しくしちゃう、ってもんである。

『チーム貴族と荒野へ向かう者達』
「情報、自分達がお話して思ったりを伝えたけど、お役に立てたなら良かったな、って思った!」
「お悩み相談、いっぱいだったね。」
「皆、何かに悩んでるんだなあ。」
「中には、今日の夕飯何にしたら良いと思う?なんてのもあったね!」
「そういう、小さな悩みや、大きな悩みまで、色々あって、何とか対処していくのが、その道筋が、とても大事だって思ったよね。」
「またやりたいです!」
「ミゼおばあちゃまとお話出来て、助けられたのも、嬉しかった。」
感嘆するルムトンとステューより。
「チーム荒野は、スゲェよ。何か俺、考えさせられちゃった。」
「愛しい世界って、ほんとだね。俺たちも、嫌な事だってあるけど、今までやってきたことを、全部嫌いになんて、なれないし。」
「今まで知り合ってきた人たちがいて、その出会いも、貴重で嬉しい事だったな、って、しみじみ思ったよね。」
「素敵な振り返りを、ありがとうチーム荒野!」
モルトゥより。
「一番効率よく情報をやり取り出来てたのは、このチームだと思う。出会いとかって、俺、ケッて思うけど、やっぱ、いや、いいか•••。その、俺だって生まれてきて、嬉しかった記憶がない訳じゃないし、その、クソッ、小っ恥ずかしいな。まあ、何か、このチームに、悩みを相談しちまいたくなる気持ちは、何か分かるよ。あと、歌で集客してたのは、良いアイデアだと思う。ちょっと羨ましいくらいだ、あの歌声。」

総評として、モルトゥが、咳払いをしつつ。
「全体として、子供達皆、情報屋頑張ってお金を稼ぐ事が出来たと思う。俺、検証するは良いけど、最初からちゃんとお金をもらう事が出来るだなんて、思ってなかった。侮ってたな。情報屋って、工夫すればするほど面白い、どんな風にでもやれる仕事なんだけど、今日はそれを、ちょっとだけ伝えられた、いや、結構伝えられたと思う。子供達、良く頑張ったな。その、がんばった。うん。まあ、俺だって褒める事はある。」
ルムトンがすかさず纏め。
「という事ですけれどもね。今日は情報屋モルトゥさんに、講師になって教えてもらいました。ありがとうございました!皆、拍手~!!」
わー!パチパチパチ!!!
照れ臭そうに頭を掻くモルトゥに、皆で惜しみない拍手を。

「情報屋、面白い、難しい、複雑な仕事だったよね。」
「ウンウン、ステュー。本日のお仕事検証は、これでお終い。お仕事No.001、情報屋、検証、終了~!!!」

ぱっ
ひら ひらひら。

両手を上げたルムトンとステューが、驚いて目をパッチリ。
子供達の目の前、人数分、青い可愛らしい花が、ひらひらぱらりと降ってきて。

「かみさまの、おはな!」
「今日のは、青いね!」

わぁ、と拾う子供達。
竜樹がニリヤの手元の花を覗き込んで。
「これ、知ってる。花畑に行った事があるんだ。ネモフィラ、ってお花に似てる。」
花言葉は、可憐、どこでも成功、あなたを許す、である。

ぶるるらる
竜樹がメッセージグループ、神々の庭をチェックする。

ランセ
『竜樹、良くやったね。お仕事検証、まずは情報屋をやってくれるなんて。この情報神、ランセから、喜びとお礼のお花だよ。』

竜樹
「ありがとうございます!見てて下さったんですね。子供達、がんばりました。」

ランセ
『見てた見てた。子供達、よくがんばった。人は、神々のお花を、大事にしてくれてるみたいだね?この情報屋の検証の記念に、子供達に1人1輪ずつ、お花をあげてみたよ。保存して、取っておけるんだろう?いつでもこの、ネモフィラの花を見て、どこでも成功できるように、これからも情報と仲良く、上手く付き合っていってね。』

竜樹
「ありがとうございます!ランセ神様!子供達も喜びます!」

ランセ
『テレビ局にも、情報の発信地って事で、出演者や、地道にスタッフやってくれてる人たちの分全部とはいかないけど、1輪。飾ってくれたら、そして情報について、常に思い、考えて、良く伝えてくれたら嬉しいな。』

竜樹
「はい!確かに承ります。テレビ局に飾りますね。」

ランセ
『頼んだよ!今日は良い日だ!とっても嬉しい。皆に祝福を!ではね!』

竜樹
「はい!ランセ神様!祝福とお導き、ありがたく!」

いいねを5000貰えた。
ご祝儀いいねである。


ほほほええええ!
驚き恐れ多くも有り難く。
大人達がワッと沸き、子供達はニコニコ、お花を抱きしめる。今日のがんばりを、きっと皆、忘れない。
タカラが、お花、萎れない内に保存ケースを用意しますから、一旦この時止め鞄に入れさせて下さいな、と回収する。
はーい!!と元気よくお返事の子供達は、それぞれ鞄に寄り集まって入れていくと、検証しゅうりょう~!しゅくふく、してもらった!と嬉しそう。

お花を手にした子供達の映像で締めくくられた『アンファン!お仕事検証中!』。
第一回は、特番扱いで3時間ぶち抜き放送、編集をあっという間に済ませて、3日後には放送された。

夜9時。放送を終えたばかり、月明かり。今は、サーっと砂嵐、終えたテレビは、ふつんと切れて、ただ静かな夜が戻ってきた。
その番組をじっと見た、荷運び達。モルトゥのいた荷車通りの、フロンの家の前、皆のテレビ広場では。
フロンの父ちゃん、ジュイエが、木箱に座り、焦茶髪に額の縛り布の端をたらんと垂らし、ガックリと項垂れていた。

「モルトゥ、ただボーっとしてるだけに見えて、あんな工夫で仕事してたんだ•••。」
初めて知った。

テール親分も、腕組み、ううんと唸る。
「俺たち、大分誤解してたな、情報屋の仕事。」
他の荷運び達も。
「そういや、モルトゥのお父ちゃんが亡くなっても、変わらず生活していけてたんだもんな。ちゃんと稼いでたんだよな。」
「俺たち、随分、ちゃんとしろとか、貶してきた、んだよなぁ。」

シロクマ獣人の子供、デュランの友達フロンは、新聞寮に遊びに行っているから、その前後、モルトゥの思った事も知っている。
「モルトゥは、荷運びの父ちゃん達じゃあ、たくさん食べるデュランをやしなえない、って。おもったんだって。ほかのこたちも、ぜったいに、ごはんをたべさせないときは、なかったって。ムチしたのはいけなかったけど、モルトゥなりに、がんばってたみたい。」
おれたちの、荷車通りの、おやのいないこどもたちを、やしないたくて。
「今は、たつきさまと、神さまに、ダメ!されたから、ムチしないし、これからたつきさまのタメにはたらくんだし、父ちゃんたちも、ごめんねしたら?」
今まで、ひどい事言って、ごめん、って。

明日は荷運び達の商会の、立ち上げ日である。制服も配り、荷運び達の、引越しや大きな商会などからの案件の運送と、一般からの荷物の運送の担当分けや実験も経て、華々しく始動する予定の前夜。
彼らには、心にしこりが、ちょこっと出来たようである。

侍従で、荷運び達の仕事に寄与する情報を持ってきては、披露し意気を高めていたユミディテは、ふふふ、と笑った。
身体一本やりな荷運び達が、伝票を確認する練習で、どれだけ頭を使うのが大変か知った後。荷物を運ぶ工夫はそれぞれで持っていたけれど、壊れ物を大事に運ぶノウハウ、割れ物のシールを貼ること、荒れていない道のルート、共有すべき事柄を集めて広め勉強してきたからこそ、自分達のやり方以外の者に、今、思いが至る事が出来たのだろう。
それは、彼らの成長なのである。

「さあ、さあ!明日は商会の始まり日、お披露目初荷のお祝いですよ!モルトゥさんには、今度会った時、皆でごめんなさいしましょう!誰にも分かってもらえなかった、そんな気持ちが、彼を鞭、持たせたのかもしれないですね。でも•••まだ、間に合うでしょう?」

彼は、竜樹様の元にいるのだから。

「そして、きっと、これから幸せになるのですもの。」

さあっ、と荷運び達の頬に、朱がさす。そうだな、そうだ。
「竜樹様が付いてるんだから、モルトゥは大丈夫なんだ。」
「今度会った時、言おうよ。」
「言おう、言おう!」

俺たちが、間違ってたって。
情報屋、大事な仕事だって。
モルトゥに、助けられてたんだって。ありがとう、って。

決まれば荷運び達の心は、しっかと固い。
おー!と雄叫び、次の日、荷運びの式典に付いてったモルトゥが。荷運び達にぐしゃぐしゃにされながら謝られて、何だ何だよ!と照れ照れになるのを、ユミディテはまだ見ていなくても、充分に分かっていたのである。


しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

最底辺の転生者──2匹の捨て子を育む赤ん坊!?の異世界修行の旅

散歩道 猫ノ子
ファンタジー
捨てられてしまった2匹の神獣と育む異世界育成ファンタジー 2匹のねこのこを育む、ほのぼの育成異世界生活です。 人間の汚さを知る主人公が、動物のように純粋で無垢な女の子2人に振り回されつつ、振り回すそんな物語です。 主人公は最強ですが、基本的に最強しませんのでご了承くださいm(*_ _)m

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

「俺が勇者一行に?嫌です」

東稔 雨紗霧
ファンタジー
異世界に転生したけれども特にチートも無く前世の知識を生かせる訳でも無く凡庸な人間として過ごしていたある日、魔王が現れたらしい。 物見遊山がてら勇者のお披露目式に行ってみると勇者と目が合った。 は?無理

転生幼子は生きのびたい

えぞぎんぎつね
ファンタジー
 大貴族の次男として生まれたノエルは、生後八か月で誘拐されて、凶悪な魔物が跋扈する死の山に捨てられてしまった。  だが、ノエルには前世の記憶がある。それに優れた魔法の才能も。  神獣の猫シルヴァに拾われたノエルは、親を亡くした赤ちゃんの聖獣犬と一緒に、神獣のお乳を飲んで大きくなる。  たくましく育ったノエルはでかい赤ちゃん犬と一緒に、元気に楽しく暮らしていくのだった。  一方、ノエルの生存を信じている両親はノエルを救出するために様々な手段を講じていくのだった。 ※ネオページ、カクヨムにも掲載しています

わたくしが社交界を騒がす『毒女』です~旦那様、この結婚は離婚約だったはずですが?

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
※完結しました。 離婚約――それは離婚を約束した結婚のこと。 王太子アルバートの婚約披露パーティーで目にあまる行動をした、社交界でも噂の毒女クラリスは、辺境伯ユージーンと結婚するようにと国王から命じられる。 アルバートの側にいたかったクラリスであるが、国王からの命令である以上、この結婚は断れない。 断れないのはユージーンも同じだったようで、二人は二年後の離婚を前提として結婚を受け入れた――はずなのだが。 毒女令嬢クラリスと女に縁のない辺境伯ユージーンの、離婚前提の結婚による空回り恋愛物語。 ※以前、短編で書いたものを長編にしたものです。 ※蛇が出てきますので、苦手な方はお気をつけください。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

犬の散歩中に異世界召喚されました

おばあ
ファンタジー
そろそろ定年後とか終活とか考えなきゃいけないというくらいの歳になって飼い犬と一緒に異世界とやらへ飛ばされました。 何勝手なことをしてくれてんだいと腹が立ちましたので好き勝手やらせてもらいます。 カミサマの許可はもらいました。

処理中です...