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51.美しく変身しちゃって相手がドキッなんて展開は都合によりカットします
しおりを挟む~次の日~
コンコン コンコン
ノック音が聞こえる。まだ眠いのになぁ。
うっすらと目を開けるとそこは見慣れない天井。どこだっけ、ここ。……ああそうだ、宿屋だ。
確か昨日はベルさんと少しだけ花嫁選びの話をした後、オススメの宿屋まで案内して貰ったんだっけ? 何だか記憶が曖昧だなぁ。疲れてたからかな。
とりあえずノックされてるみたいだし、開けておくか。
「はいはい……?」
ガチャ
「ルセリナ様おはようございます!!!!!!」
「ひっ」
な、なんだこの妙に存在感のある女性達は。
いち、に、さん、よん、ご……五人もいるぞ。日曜朝の戦隊シリーズじゃあるまいし。
「我々は本日ルセリナ様のお支度を担当させていただく者でございます」
「お、おう……」
「あら、どうかされました? ヒューベル様からお話があったかと思いますが」
う、うん。そうだっけ。あー、おぼろげだけどそんな事言っていたような気もするような、しないような。
「ルセリナ様でお間違いありませんよね?」
「は、はい」
「じゃあ問題ありませんね!」
「え」
いや、問題あるよ。まだ全然ピンと来てないよ。何なら前の話読み返してご覧よ。全然そんな事触れてなかったって。あ、あ、あ、ちょ、ちょ、ちょっと待って。
「ま、まだ寝起きで、部屋にそんないきなり入られると困っ……」
「美しさは時間との勝負でございます! ご安心ください、寝起きでも我々のサポートは万全です!」
何気に話がかみ合ってないな!
「さあ取り掛かりますわよ。二号、三号は顔の手入れを。四号、五号は髪を!」
「分かりました」
「服の方は私、一号にお任せください」
いや、本当に戦隊シリーズかよ……ってそうじゃなくて!
う、う、うわあああああ。人に、人に囲まれるぅぅぅ。
===
「とてもお美しいですよ、ルセリナ様」
「そりゃどうも」
「それではいってらっしゃいませ!」
バタン
「……」
いやはや酷い目にあった。人にいいようにされるってこんなにも苦痛なものなんだね。どうせ変身するなら戦隊ヒーローの方じゃなくて、魔法のステッキを一振りすれば解決する魔女っ子系にしてくれれば良かったものを。そうだよ、そのための魔法じゃないか。
「おはよールセリナちゃん。うん、とても素敵……」
「あの、ベルさん」
「ん?」
「その手のセリフはこの手の展開にあるあるなのでとりあえず今回は割愛して」
「あるあるなんだ」
あるあるだよ。
「今回はもう一つ別の視点から切り込んでいいでしょうか?」
「面白そうだね。どうぞ?」
「この手の変身は魔法で対応出来なかったのですかね?」
この世界は私の元居た世界と違って魔法が使えるんだ。そのくらい出来る魔法使いが存在したっていいだろうさ。
「出来ないんじゃない」
「出来ない?」
馬鹿な。
「だってそれって変身・変化・変装を相手に施せる魔法ってことでしょ。その魔法の習得に時間をかけるより、自分の技能を上げたほうが早いもん」
「……」
そういえばそうだった。
この世界の人達、魔法使える癖にあまり極めたりしないんだった。
「そもそも俺、魔法極めた人自体、あまり見たこと無いし」
目の前にいるけどね。
「それよりも今日は一日頑張ろうー」
「……おー」
次は偽装魔法に加えて変身魔法も練習しとこ。
いや、こんな状況二度とあってたまるか。
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※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
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