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19.告白
「夢を……見たんです」
私は意を決して口を開いた。あの夢のことを話そうと思ったのだ。何故だか分からないが、彼に聞いて貰いたかった。きっとこの人は私の話を最後まで笑わずに聞いてくれる、そんな気がしたから。
===
「それで……家族に言われたんです、お前が真面目馬鹿で良かったって」
「……」
私が話を続けている間、彼は何も言わなかった。それでも、耳を傾けてくれているのはなんとなく分かった。
「変ですよね、こんな事で不安になるなんて。夢の中での出来事のはずなのに。でも、私の中ではそれが現実のような気がして……」
「……」
「自分でも可笑しいのは分かっているんです……それなのに何故か馬鹿真面目という言葉が頭の中から離れなくて……」
私が話している間、彼はずっと窓の外を見ていた。私の方を見ることはなかった。それでも別に良かった。ちゃんと聞いてくれているだけで、私は満足だった。だからこそ、この話は一旦終わりにしようと思った時、彼はポツリと言った。
「君が真面目馬鹿で良かったよ」
「え?」
突然口を開いた彼に驚いて、私は思わず聞き返す。馬鹿真面目? 彼は今確かにそう言った。
「あ、あの……」
何故そんな言葉を。恐怖と不安が渦を巻く。すると彼はそんな私の様子に構わず続けた。
「だってそうだろ? 仮にそれが現実に言われたことだと仮定しよう。だからこそ君は今ここにいるんだ」
「……」
「そうじゃなかったら、今もまだ君は家族に振り回されて、今頃もっと酷い目にあってたかもしれないだろ」
「それは……」
「逆にそれが単なる夢だったとしても、僕は君に会えたんだ。少なくとも一人はここに救われてる。だから君は真面目馬鹿のままでいい。そのままの君でいいんだ。少なくとも僕はそう思うね」
こんなにまどろっこしい言い回しをしているのに。
何故か彼の言葉が、ストンと私の胸の中に落ちていくのが分かった。そして同時に、私の心に渦巻いていた不安が消えていくような気がした。彼はきっと、私の家族と対面して、そこで私が何を言われたとしても、同じように返してくれるのだろう。
「ありがとうございます」
「別にお礼を言われるような事は言ってないよ。僕はただ思ったことを言っただけだし」
相変わらず、窓の外を見たまま彼はそう言った。その横顔をそっと盗み見る。彼の瞳には、流れるように過ぎ去っていく景色が映っていた。
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