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15.一位宣言
しおりを挟む銀杏並木を三人で歩く。
仲直りをした私とフィーネ、そしてルドルフは自宅への帰路についていた。
「それにしても、レオンに変な風に思われちゃったわね」
用事があるからと先抜けしたレオンを思い出し、深くため息が漏れる。
教室での謎の懺悔。やはりどう考えても、彼にとっては違和感だっただろう。
「まあ、なんとかなるんじゃないかな?」
能天気に答えたのはルドルフだった。
「どこから来るのよ、その自信」
なんとなくだったらただじゃ済まさない。
私は鋭くルドルフを睨んだ。
「テストの順位がどうとかいう話だろ? じゃあ僕も少しは関係がある」
「どの辺が?」
「エレナさん」
「何?」
耳打ちしたのはフィーネだった。
ちょっと気取った感じの兄を上目遣いで見ながら、再び話を続けた。
「あのテスト、お兄様が一位ですよ」
「え?」
一位? ルドルフが?
「嘘でしょ?」
「本当です。どうして一緒に掲示板見てたのに覚えてないんですか」
「いや、だって、ねぇ?」
自分が二位という怒りのあまり、その辺はもう眼中になかったというか。
「まあその話は一旦置いておくとして」
私にはもう一つ、決定的に納得いかない点があった。
「ルドルフって普段、そんなに勉強出来るタイプじゃなかったわよね?」
テストは今回に限らない。過去にいくらでもあった。けれど、フィーネの名前は見ることがあっても、ルドルフが一位はおろか上位に食い込んだ時なんて見たことも無かった。
それが突然一位になることなんてありえるだろうか。
「ああそれ」
ルドルフはぽんと手を叩いた。
「フィーネを一位に輝かせるためなら、自分は引き立て役になって当然だろ?」
「じゃあまさか」
「うん。敢えてその辺の成績に甘んじた」
「ちなみに私が一位だったのも、お兄様に教えて貰っていたからなんですよ?」
「それは違うよ。フィーネの努力の成果さ」
「なっ……」
じゃあ私は二位ではなく、実質三位?
翻弄されていたのか、この兄妹に。
「……許せないわね」
「許せない? 僕に勉強を教わっていたフィーネがかい?」
「違う」
それは私の目でも確認した通り、彼女自身の努力の成果だ。私が言いたいのはそこじゃない。
「私が許せないのは、一位になれる実力を持っていながら、ずっと手を抜いていた貴方よ。ルドルフ」
「なるほど」
彼は澄ました笑みを浮かべた。悪いと思ってないな、こいつ。
「決めた」
「ん?」
「私、意地でも一位になるわ」
「!」
フィーネが嬉しそうな顔を浮かべた気がした。でも今はどうだっていい。
「一位になって、貴方が間違っているってこと証明してあげる!」
「まあ、頑張りなよ」
陽が沈みかける夕暮れ時、私は声高らかに宣言したのだった。
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