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しおりを挟む俺はある日事故で死んでしまった。
ああ、俺よ! 死んでしまうとは情けない!
しかし神様はそんな俺にやり直しの機会をくれたようだった。
===
「おい……おい、聞いているのか?」
はて、さて、いつまで寝ていたのだろう。体が重い。というより意識が重い。
そんなことより誰かが呼んでいる。返事しなきゃ。
「は、はあ」
靄のかかったような意識をゆっくりと振り払うと、そこにはサラサラの金髪イケメン顔がこちらを覗き込んでいた。
「はあ、とはなんて情けない。さては全く聞いてなかったな」
呆れたようにため息をついたイケメン。
聞いていたも何も、俺は死んだはずじゃ……って。
「あっ」
「あ?」
ある。顔が。手が。体が。動く。しっかり。滞りなく。つまり俺は。
「生きてる!?」
「!?」
なんだ俺、生きてるじゃないか。死んでない。てっきり俺はもう駄目なものかと……。
「あーよかったよかった」
大きく背伸びを一つして、ほっと胸を撫で下ろした俺は、それから改めて目の前にいるイケメンの顔をじっと見た。
「ところでアンタは誰なんだ?」
医者か? 警察か? にしては随分派手な格好だ。まるで異国の王子様みたいな。というかこの場所も病院にしては随分と変わっている。応接間とか、面会室とか、そんな場所でもなさそうだ。
「……お前こそ誰だ」
「俺?」
相手が真顔で睨みつける。なんといってもイケメンだ。迫力が違う。
「俺は」
自分の名を名乗ろうとした時だった。
「……お前はラフェリトではないのか?」
「は……はい? らふぇ、りと?」
誰だそれ。まさか俺?
いやいや、この純日本人の俺がそんなカタカナ表記なお名前を持つとでも? そんな事あるわけがない。
「俺は――」
そう言って一歩前に踏み出した時だった。
はらりと自分の髪の毛が揺れて頬にかかる。ん? そんなに髪の毛長かったかな。しかもこんなサラサラした銀髪で……んんん?
「ちょっと、し、し、し失礼しますっ」
慌てて俺は部屋を飛び出した。
今の様子を確認しなくては!!
ちょうど部屋を出たところに窓ガラスがあって、そこで俺は自分の顔を確認した。
「なっ」
なんという事だろう。
肩までかかる銀色の長い髪。色白の肌。覇気の無い瞳。
そう、俺は全くの別人になっていた。
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