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次の日。
「えっと確かこの辺だったか……」
俺は非番をいいことに、城内の私設図書室に足を運んでいた。ここには歴史ある文献から大衆娯楽まで手広く取り揃えてあるのだ。どうしてそれを城の一側近である俺が使えるのかというと、暗殺計画の遂行に必要だからと、王妃のネミア様にお願いしたからだ。案外簡単に申請は通った。
「あ、あった」
ちょうど棚の最上段に発見したのは、この国の歴史を綴った本だった。
しかし高いな。
「……せーの、よいしょぉ」
誰も見てないのをいいことに脚立を使わず思い切りジャンプする。しかし、俺の右手はあと数ミリのところで空を切った。くそう、元の体だったらもう少し身軽に動けるのに。
ラフェリトに転生してまもない俺は、ジャンプして高所のものを取るのさえ苦労していた。
でも俺はめげないぞ、よし、もう一度。
「そりゃっ」
今度はギリギリ指が触れた。そこから器用に端っこをつまむ。
バッチリだ。
そう思ったところで予想外のことが起きた。
「やばっ」
本が手元から跳ねるように滑り落ちたのだ。そしてそのまま頭の上に落下してこようとしている。
「と、と、と、お、うわっ」
更に最悪だったのは、その体制から体がバランスを崩し後ろに倒れそうになったことだ。このまま倒れたら脳震盪は免れない。絶対痛いだろうな。
回想するには取るに足りない走馬灯が頭の中を駆け巡ろうとした時だった。
「大丈夫か?」
とすんと俺の体を誰かが受け止めた。
「お、王子」
金髪碧眼の美青年が何とも絶妙なタイミングで俺を支えていた。
「何やってんだよ」
「ははは、すんません。ありがとうございます」
「ったく」
そう言って俺の顔を呆れたように見下ろす。
「まるで王子様みたいですね」
「馬鹿いえ。正真正銘の王子だよ」
「….…でしたね」
この時の王子様とは、お伽話に出てくるお姫様を助けていそうな王子様示したつもりだったけど、自分でも何言ってんだと思ったのでそのまま言葉を飲み込んだ。
「で、ここで何を?」
「いやあ、急にこの国の歴史を知りたいな、なんて……」
嘘はついてない。
俺はそれを読んで、この王子の置かれている立場を理解しようとしたのだ。
「その、料理の本でか?」
「料理……? あっ」
地面に落ちて乱雑に広げられていたそれは、確かにお料理の本だった。色とりどりの野菜達が美しくページを飾る。
「……」
「お前が読みたかった本はこっちだろ? よっと」
そう言って王子は身軽な感じで飛び上がると、あっさりと必要としていた本を取ったのであった。俺がやりたかったのはこれだよ、これ。
「ほら」
「う……ありがとう……ございます」
この人、顔もいいのに運動神経もいいなんて、ズルくないですかね。
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