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43-1 忙しい一日
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本日一日アデレードとペイトンは別行動をとる。ノイスタインに到着した日の晩餐で決定していた。
まず、アデレードは朝から卒業式用のドレスの調整にレイン服飾店へ向かう。
レイン服飾店はバルモア家御用達の店でアデレードも幼い頃から長年ドレスをオーダーしてきた。
輿入れの際もこの店で仕立てた。
アデレードの採寸も着こなしの癖も全部把握している。
そのためバルモア夫妻はアデレードの卒業式用のドレスもレイン服飾店へ依頼した。
が、流石に最後の調整は実際に試着してみないとわからない。
アデレードには再三に渡り帰国を促す手紙を送っていたが梨の礫であったため、バルモア夫妻はギリギリになってもよいように卒業式の前日に予約を入れておいた。
「貴女がもっと早く帰国の予定を知らせてくれればギリギリにならずに済んだのよ」
晩餐の席で母親のナタリアにお小言を言われたアデレードは「帰って来ただけ褒めて欲しいわ」などと思ったけれど火に油を注ぐだけなので神妙な顔をしてふんふん頷いていた。
しかし、全然悪びれていない内心はバレバレだったらしい。
「貴女って子は本当に……」
ナタリアが諦めたように息を吐くのをやはり黙って聞いていた。
それから、セシリアとディアナに観劇の誘いを受けた。
ノイスタインでは先週から月桂樹が封切りされている。
以前セシリアには手紙で月桂樹を鑑賞したことは伝えていた。
しかし、ノイスタインでの公演ではアデレードの好きな俳優がダリル役を演じるため絶対に行きたがるだろう、と二人はアデレードの帰国を待ってくれていた。
バルモア家は劇場のボックス席を年間購入して、顧客や従業員の福利厚生に使用しているため、チケットは簡単に入手できる。
それで三人の都合が合う今夜の公演を選んだ。
なのでアデレードは、朝からドレスを調整して、昼は肌と髪のケアのため美容サロンへ向かい、夜は月桂樹を観に行く算段だ。
一方ペイトンは、昼間はバルモア家とフォアード家が共同で立ち上げた事業を見学するため義父のエイダンに同行し、夜は友人を訪ねる予定だ。
三年前にノイスタインの伯爵家へ婿に入った学友がいるらしい。
だが、そんなに突然会いに行って大丈夫なものだろうか。
もしかしてこちらに気を遣ったのかも、とアデレードは当日の朝になって、
「四人まで収容可能なボックス席なんで旦那様が一緒に来ても問題ないですよ」
とペイトンを誘った。
グラテナホテルのお気に入りの朝食をご機嫌に頬張っている最中にふいに思いついて告げたのでペイトンからは、
「え?」
と当惑した反応が返ってきた。
「今夜の公演です」
「あぁ……いや、姉妹で積もる話もあるだろう。遠慮しておくよ。それに僕も友人に会うのは久しぶりだしな」
「旦那様、月桂樹好きじゃないですもんね」
公演時間は二時間半ある。それが理由で断ったわけでもないだろうが、好きでもない演目を二度も観るのは苦痛だ。
お互い予定は決まっているのだし余計なことを言わなければ良かった、とアデレードは思った。
「……君はあの話が好きだな」
「そうですね。それに今回のダリル役をするのが昔から好きな役者なんですよ」
「この間もそう言っていたな」
「はい」
アデレードは、気を取り直して食事を続けた。
チョコレートのコンフィチュールをたっぷり塗りつけていると、
「月桂樹か……」
ペイトンが誰に言うでもなくぽつりと呟いた。
「え?」
顔を上げるとペイトンの表情が妙に深刻に見えて、今度はアデレードが当惑した。
(今、そんな暗い顔するような話をしてた?)
謎すぎてじっと見てしまう。
物思いに沈む美形は絵になるな、などとどうでもよい考えが頭に浮かぶ。
目が合うとペイトンは我に返った顔になり慌てて続けた。
「楽しんで来るといい。明日、迎えに行くから」
卒業式は二部構成になっている。午前中に学校の講堂で式典が執り行われ、午後からは卒業祝いと謝恩会を兼ねたガーデンパーティーが王立公園を貸切って行われる。
式には両親と共に制服を着て出席する。その為アデレードは今夜は実家に泊まる。
そして午後からのパーティーはドレスに着替えて参加する。恋人や婚約者にエスコートされて入場するのがステイタスだ。
「有難うございます。ビシッとタキシード着て決めてきてくださいね」
「僕がビシッとしても仕方ないだろ」
「仕方なくないです。私のこと馬鹿にしていた連中の鼻を明かしてやるんで」
アデレードがへらへら笑うと、
「君のドレスは何色なんだ?」
ペイトンは少し間を空けて言った。
「色ですか? さぁ? 今日これから見に行くので」
「そんなことあるか?」
ペイトンが呆れた声を上げる。
卒業式のドレスの色を前日になってまで知らないというのは確かに変かもしれない。
両親が最高の一着を見繕ってくれていることは間違いないので心配はしていない。恵まれていると思う。
だというのに、
(親不孝してるわよね)
とアデレードはこれまで考えたことのなかった両親の心情に思いを馳せた。
突然、隣国に嫁ぐと言って強硬したのに多額の持参金を用意して送り出してくれた。
レイモンドのことは何も気かずにいてくれた。
調べることは簡単だったのに、触れられたくないこちらの意思を尊重してくれたのだ。
自分のことばっかりでそういったことは何も考ていなかった。
アデレードはそわそわと落ち着かない気持ちになった。一度ちゃんと謝罪しなければならない。
「……どうしてドレスの色を聞いたのですか?」
後ろ暗さから気を逸らすようにアデレードはペイトンに尋ねた。
「いや……ポケットチーフくらい合わせようかと……」
ボソボソ答えるペイトンにアデレードは目を瞬かせた。
そういうのは嫌いな人だと思っていた。
(いや、そうでもないか)
一昨日は揃いのアクセサリーを着けて出かけたのだった。
ならば、またあれを着ければよいのでは? と一瞬過ったけれど「卒業式にガラス石なんて!」と言うであろうことが暗に想像できすぎてやめた。
最悪、お高い宝石をどっかで買ってくるかもしれない。
「じゃあ、同じ色のポケットチーフ用意しますね。そういうのもレイン服飾店で扱っているので」
「いいよ。自分で用意するから」
「でも、色がわからないじゃないですか。大体、旦那様はハンカチが売っている店だって知らないんじゃないんですか? 式は明日なんだし、伝言しているだけ無駄な時間でしょ」
「……催促したみたいじゃないか」
決まり悪そうにペイトンが言うのでアデレードは笑った。
「私の卒業式なので私が用意するのが筋ってもんです。旦那様の役目はビシッと決めてエスコートしてくれることですよ。宜しくお願いしますね」
アデレードが返すと、ペイトンはドレスの色が不明な以上自分に打つてはないと諦めたらしく、
「……じゃあ、頼むよ」
と頷いた。しかし、
「ちゃんとお礼はするから」
と往生際悪く言う。
「そんなのいいですよ。私、お金はあるんで」
「僕だってある」
「でも今回は私の勝ちー! わーい」
「わーいって……」
「わーいわーい」
アデレードがけらけら笑う。ペイトンはそれをじっと見つめていたが、やがて今度こそ観念して笑った。
まず、アデレードは朝から卒業式用のドレスの調整にレイン服飾店へ向かう。
レイン服飾店はバルモア家御用達の店でアデレードも幼い頃から長年ドレスをオーダーしてきた。
輿入れの際もこの店で仕立てた。
アデレードの採寸も着こなしの癖も全部把握している。
そのためバルモア夫妻はアデレードの卒業式用のドレスもレイン服飾店へ依頼した。
が、流石に最後の調整は実際に試着してみないとわからない。
アデレードには再三に渡り帰国を促す手紙を送っていたが梨の礫であったため、バルモア夫妻はギリギリになってもよいように卒業式の前日に予約を入れておいた。
「貴女がもっと早く帰国の予定を知らせてくれればギリギリにならずに済んだのよ」
晩餐の席で母親のナタリアにお小言を言われたアデレードは「帰って来ただけ褒めて欲しいわ」などと思ったけれど火に油を注ぐだけなので神妙な顔をしてふんふん頷いていた。
しかし、全然悪びれていない内心はバレバレだったらしい。
「貴女って子は本当に……」
ナタリアが諦めたように息を吐くのをやはり黙って聞いていた。
それから、セシリアとディアナに観劇の誘いを受けた。
ノイスタインでは先週から月桂樹が封切りされている。
以前セシリアには手紙で月桂樹を鑑賞したことは伝えていた。
しかし、ノイスタインでの公演ではアデレードの好きな俳優がダリル役を演じるため絶対に行きたがるだろう、と二人はアデレードの帰国を待ってくれていた。
バルモア家は劇場のボックス席を年間購入して、顧客や従業員の福利厚生に使用しているため、チケットは簡単に入手できる。
それで三人の都合が合う今夜の公演を選んだ。
なのでアデレードは、朝からドレスを調整して、昼は肌と髪のケアのため美容サロンへ向かい、夜は月桂樹を観に行く算段だ。
一方ペイトンは、昼間はバルモア家とフォアード家が共同で立ち上げた事業を見学するため義父のエイダンに同行し、夜は友人を訪ねる予定だ。
三年前にノイスタインの伯爵家へ婿に入った学友がいるらしい。
だが、そんなに突然会いに行って大丈夫なものだろうか。
もしかしてこちらに気を遣ったのかも、とアデレードは当日の朝になって、
「四人まで収容可能なボックス席なんで旦那様が一緒に来ても問題ないですよ」
とペイトンを誘った。
グラテナホテルのお気に入りの朝食をご機嫌に頬張っている最中にふいに思いついて告げたのでペイトンからは、
「え?」
と当惑した反応が返ってきた。
「今夜の公演です」
「あぁ……いや、姉妹で積もる話もあるだろう。遠慮しておくよ。それに僕も友人に会うのは久しぶりだしな」
「旦那様、月桂樹好きじゃないですもんね」
公演時間は二時間半ある。それが理由で断ったわけでもないだろうが、好きでもない演目を二度も観るのは苦痛だ。
お互い予定は決まっているのだし余計なことを言わなければ良かった、とアデレードは思った。
「……君はあの話が好きだな」
「そうですね。それに今回のダリル役をするのが昔から好きな役者なんですよ」
「この間もそう言っていたな」
「はい」
アデレードは、気を取り直して食事を続けた。
チョコレートのコンフィチュールをたっぷり塗りつけていると、
「月桂樹か……」
ペイトンが誰に言うでもなくぽつりと呟いた。
「え?」
顔を上げるとペイトンの表情が妙に深刻に見えて、今度はアデレードが当惑した。
(今、そんな暗い顔するような話をしてた?)
謎すぎてじっと見てしまう。
物思いに沈む美形は絵になるな、などとどうでもよい考えが頭に浮かぶ。
目が合うとペイトンは我に返った顔になり慌てて続けた。
「楽しんで来るといい。明日、迎えに行くから」
卒業式は二部構成になっている。午前中に学校の講堂で式典が執り行われ、午後からは卒業祝いと謝恩会を兼ねたガーデンパーティーが王立公園を貸切って行われる。
式には両親と共に制服を着て出席する。その為アデレードは今夜は実家に泊まる。
そして午後からのパーティーはドレスに着替えて参加する。恋人や婚約者にエスコートされて入場するのがステイタスだ。
「有難うございます。ビシッとタキシード着て決めてきてくださいね」
「僕がビシッとしても仕方ないだろ」
「仕方なくないです。私のこと馬鹿にしていた連中の鼻を明かしてやるんで」
アデレードがへらへら笑うと、
「君のドレスは何色なんだ?」
ペイトンは少し間を空けて言った。
「色ですか? さぁ? 今日これから見に行くので」
「そんなことあるか?」
ペイトンが呆れた声を上げる。
卒業式のドレスの色を前日になってまで知らないというのは確かに変かもしれない。
両親が最高の一着を見繕ってくれていることは間違いないので心配はしていない。恵まれていると思う。
だというのに、
(親不孝してるわよね)
とアデレードはこれまで考えたことのなかった両親の心情に思いを馳せた。
突然、隣国に嫁ぐと言って強硬したのに多額の持参金を用意して送り出してくれた。
レイモンドのことは何も気かずにいてくれた。
調べることは簡単だったのに、触れられたくないこちらの意思を尊重してくれたのだ。
自分のことばっかりでそういったことは何も考ていなかった。
アデレードはそわそわと落ち着かない気持ちになった。一度ちゃんと謝罪しなければならない。
「……どうしてドレスの色を聞いたのですか?」
後ろ暗さから気を逸らすようにアデレードはペイトンに尋ねた。
「いや……ポケットチーフくらい合わせようかと……」
ボソボソ答えるペイトンにアデレードは目を瞬かせた。
そういうのは嫌いな人だと思っていた。
(いや、そうでもないか)
一昨日は揃いのアクセサリーを着けて出かけたのだった。
ならば、またあれを着ければよいのでは? と一瞬過ったけれど「卒業式にガラス石なんて!」と言うであろうことが暗に想像できすぎてやめた。
最悪、お高い宝石をどっかで買ってくるかもしれない。
「じゃあ、同じ色のポケットチーフ用意しますね。そういうのもレイン服飾店で扱っているので」
「いいよ。自分で用意するから」
「でも、色がわからないじゃないですか。大体、旦那様はハンカチが売っている店だって知らないんじゃないんですか? 式は明日なんだし、伝言しているだけ無駄な時間でしょ」
「……催促したみたいじゃないか」
決まり悪そうにペイトンが言うのでアデレードは笑った。
「私の卒業式なので私が用意するのが筋ってもんです。旦那様の役目はビシッと決めてエスコートしてくれることですよ。宜しくお願いしますね」
アデレードが返すと、ペイトンはドレスの色が不明な以上自分に打つてはないと諦めたらしく、
「……じゃあ、頼むよ」
と頷いた。しかし、
「ちゃんとお礼はするから」
と往生際悪く言う。
「そんなのいいですよ。私、お金はあるんで」
「僕だってある」
「でも今回は私の勝ちー! わーい」
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