ヘヴン・グローリー

kawa.kei

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第25話 「紹介Ⅰ」

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 霜原しもはら 優矢ゆうや
 
 アビス・フォールの主人公。 高校二年生。 中肉中背のこれと言って特徴のない少年。
 学力は平均よりやや下、運動神経も水準としては似たような物。
 性格も内向的で何もなければ目立たない存在として学園生活を送るはずだが、彼の場合は幼馴染の存在のお陰でそうはならなかった。

 容姿に優れ、人当たりも良く、学力、運動神経も学年上位。
 男女問わず人気が高い絵にかいたような優等生に連れまわされる事で不本意ながらも人目に晒される事となった。 
 結果、何故こんな奴が彼女の傍にいるのかと疑問と相応しくないのではないか?といった妬みに晒され続ける。
 
 それ以外にも幼少期から様々な我が儘に付き合わされ、周囲は彼女を全肯定し「彼女がいて良かったな」と言われ続けた事で内向的な性格は卑屈に歪み、内心では幼馴染への憎悪を滾らせていた。
 この世で一番嫌いな存在は奏多と言い切れるレベルで嫌っている。

 そんな彼だったが、異世界の勇者召喚に巻き込まれて召喚される事となった。
 元々、員数外だった事もあり勇者の得られる恩恵を一切与えられずに世界迷宮という地獄に落とされた。
 そこで得た免罪武装によって生き延びはしたが、度重なる使用の代償に「原罪」と呼ばれる人間として構成する重要な全てを使い果たし、人としての生を終え免罪武装の機能に従い目的を果たす為の殺戮機構と化した。

 全てを終えた後、誰もいない世界で彼は朽ち果てるまで空を仰ぎ続ける。
 
 ・免罪武装

 世界迷宮と呼称される構造体の最奥に眠る規格外の武装群。
 ⅠからⅦとナンバリングされているが、実際には七つでワンセットなので、一つに触ってしまったが最後、他のも無理矢理ついて来る押し売り武器。 わざわざ入れ替えなくても内包した特殊能力が使用できたのはこの仕様のお陰。
 
 初期の攻撃力はゼロと殺傷能力はもちろん、破壊力すらない代物だが、使用者の対応する感情を喰らって性能を上げていく。 それによって使用者は徐々に感情を失い、最後は何の感情も抱けない廃人と成り果てる。 加えて、七つの能力値のステータスの累計上昇量が一定を越えると八つめの「地上楽園」という武器が出現。 これはそのままでは使用不可能だが、累計値が一億を越えると使用可能になる。

 同時に使用者の原罪――感情の発生源とも呼べる魂が完全に喰われるので、その時点で人としては死ぬ。 その後は免罪武装の名が示す通り、世界中からあらゆる罪を許す滅ぼす為に全ての生物を消し去って世界を浄化する装置と成り果てる。

 これは元々、世界の自浄作用を促す機構として存在する物で、勇者召喚の際に説明を行った精霊も当然ながらどういった物かは知っていた。 優矢にランダムと嘘を吐いて世界迷宮の最下層に放り込んだのは、地上楽園を作動させる為。 目的は世界の循環であり、生物の死によって豊かになる世界という土壌の成長を促す事にある。 結果として想定を遥かに越えた結果に終わり、精霊の思惑からも大きく外れてしまった。

 ・世界迷宮

 世界に三つ存在する大迷宮。 晶獣とカテゴライズされる魔獣が生息する魔窟。 
 非常に危険な場所ではあるが、晶獣の死骸から採取できる晶骸と呼ばれる素材は非常に貴重なので一攫千金を狙った命知らずが挑んでは無駄死にしている。

 この迷宮は結局なんなのかと言うと、生物が死ぬと内蔵魔力は霧散して世界の養分となる。
 ただ、霧散した魔力は全て回収される訳ではなく、一部が吸収されずに固まって物質化。
 それが集まったのがこの迷宮と晶獣の正体。 最低限の自我はあるが、本質的には水晶の塊なので原罪を持たない。 その為、免罪武装による殺戮の対象外となる。

 ちなみにランクが存在し、上から神晶、幻晶、魔晶。
 成り立ちが同じなので構造にやや差異はあるが、構成は同じなのでどの迷宮も最下層まで降りれば神晶帝と呼ばれる最大個体と免罪武装が配置されている。

 撃破に成功すれば最奥に存在する宝物殿に入れるようになり、自由に入退出できる指輪が与えられるがこれは入った時点で貰えるので優矢が持っていたのはこの仕様のお陰。
 指輪を三つ揃えれば世界の最奥に至り、そこに存在する知識にアクセスできる。
 
 召喚魔法陣など、出所の怪しい技術は何らかの形でここから漏れた。
 
 神野かみの 奏多かなた

 ヘヴン・グローリーの主人公。 優矢の幼馴染。
 容姿端麗、成績優秀、運動神経も抜群と絵にかいたような美少女。
 その姿に周囲は様々な期待を寄せ、重圧となって彼女に圧し掛かっていた。

 だが、それを苦にもせずに彼女はその期待に応え続ける。
 その裏には彼女のストレスのはけ口となる幼馴染の存在があったからだったが、自覚はしていなかった。 彼女の幼馴染――優矢に抱いていたのは「こいつは駄目な奴だから自分がついていないといけない」と言った傲慢とも取れる考え。 優矢自身もそれを漠然と感じていたので彼女を嫌悪する一因でもあった。

 表面上は無能な幼馴染を甲斐甲斐しく面倒を見ると外からも、自分自身もそう信じている。
 だが、根底にあるのは優矢に対する強烈な依存心だった。 優矢が自分に依存しているという事実を感じる事に依存する。 歪んだ考えで、優矢が本当に依存しているのなら最良といっていい関係性だったが、彼には彼女の性癖を許容できる寛容性はなかった。

 異世界に飛ばされ、優矢が居なくなった事でかなりのストレスを感じていたが、再会を信じて帰還を目指す事で精神の均衡を保っていたのでその歪みを正確に見抜いた者はいない。
 最終的にはそれが愛や恋だと錯覚していたが、当人にとってはそうだったので彼女の中では優矢は愛すべき人と認識した。

 召喚後に付与されたのは剣術、魔法など一通り揃っており、突出した物はなかったが何でも器用にこなせる万能型のスキル構成となっている。

 人族の王の要請に従って魔族を殺し、魔族国へと攻め入った所で最悪の形で優矢と再会。
 その後、免罪武装の傀儡と成り果てた優矢を救う為に奔走したが、最後まで彼の憎悪を理解できないまま憤怒の炎に呑み込まれた。

 ・勇者召喚
 
 異世界から魔法陣が付与するスキルと相性の良い人間をランダムに呼び出す。
 数十年に一度しか使えないのでかなり重要な儀式。
 転移元は一ヶ所しか対象に取れないので、適性のある人間がある程度集まった場所で発生しやすい。

 今回の場合は事故を起こしたモノレールの車両全体が対象となっている。
 その中から求める水準を満たした者をランダムで最大六名まで引き寄せ、魂を転送してこの世界へと送り込む。 中身を抜く形になているのでモノレールの中ではしっかりと全員分の死体が残っている。

 魔族、人族と全く同じ物が各一つずつ存在するが、魔族側の魔法陣は内戦が発生した際に破壊され、人族側の物も今回の一件で破壊され、もう異世界召喚は行えなくなった。

 ――行う人間もいなくなったのでどちらにせよ無理だが。
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