Intrusion Countermeasure:protective wall

kawa.kei

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第437話

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 流石にAランク四人を含めた三十機を返り討ちにした事で仕掛けるのは危険と判断されたのか、以降は敵が来ることはなかった。 
 ヨシナリ達も消耗が大きかったので下手に仕掛けに行かずにそのまま待機。
 ただ、ベリアルとユウヤは戦い足りないと言わんばかりに去っていったが。

 「取り敢えずだが、予選は大丈夫そうだな」

 そう呟くとチーム数が5以下になったようで予選は終了となった。 
 戦闘終了に伴ってヨシナリ達はユニオンホームへと戻る。

 「予選突破お疲れです。 本戦もこの調子で頑張っていきましょう! ――という訳で早速いつもの感想戦やるので集まってください」

 そう言ってウインドウを可視化。 ついさっきの予選の映像をリプレイする。
 最初は基本的にベリアル、ユウヤ以外は全員で固まっていたので個々の戦闘というよりは全体の連携を俯瞰で見る形になる。 グロウモスが狙撃を行い、動揺した敵の只中にミサイルをばら撒くタヂカラオ。

 相手を動揺させてから畳みかけるやり方は上手い。 
 奇襲から立て直す前にふわわ、シニフィエの前衛が斬り込み、マルメル、ホーコートがフォローに入る。
 連携としての完成度は高かった。 前衛が敵を完全に崩し、どうにか反撃の体勢を整えた敵が動こうとしたタイミングでマルメル達中衛が仕掛ける。 

 マルメルは完全に相手を破壊したが、ホーコートは追い込むだけで精一杯だったようだ。 
 追いかけられて飛び出した敵機をタヂカラオがとどめを刺す。 文句のつけようがなかった。
 ヨシナリはほぼ見ているだけだったのだが、改めて見るとタヂカラオの存在が大きい。

 部隊の中心で全体を見て臨機応変に対応できる人員が一人いるだけでここまで違うのかと驚かされる。 最初の奇襲もその後の対応もタヂカラオの貢献は大きい。
 
 「いや、かなりやり易かったな。 ヨシナリがフリーだった事もあって横槍も心配しなくていいから前に集中できたしな」
 「やねぇ。 ヨシナリ君と同じぐらい指示出しができるんはありがたいなぁ」

 マルメル、ふわわの反応は良い。 グロウモスも頷いている辺り、好意的に捉えているようだ。
 その後は三つのユニオンの連合軍に襲われる事となるのだが、こうして見ると連中の本気度が凄まじい。 部隊を四つに分け、左右と空中の三方向から逃げ道を潰しながら進み、砲撃を繰り返す事で離脱を阻止する。 理想とも言える包囲殲滅を行う為の陣形だ。

 ただ、ヨシナリにはシックスセンスがあったので、相手の動きと狙いを早い段階で看破できたのは大きい。 正面からやっても負けるのが目に見えているので戦い方を考える必要があった。
 
 「こうして見ると酷いですね」
 「ってか、中堅クラスのユニオン様が徒党を組んでウチみたいな弱小を潰しに来るなんて大人げなくね」
 
 シニフィエはやや引き気味に、マルメルは呆れが混ざっている。

 「前のイベントで負けたのが相当に堪えたみたいだ。 だからと言って数で圧し潰そうとするとはあまり褒められた行いではないがね。 ――ところでヨシナリ君、彼等を潰す算段はいつ頃に付いたのかな?」
 「布陣を見た時ぐらいですね。 練っている時間もなかったので分かり易く各個撃破を狙いました」

 ヨシナリは映像を止めて戦場を俯瞰。 
 
 「左右から来ているのは『タヴォラロトンダ』ランカーを二人抱えているので、片方はふわわさん、もう片方を俺とマルメルで対応するつもりでした。 幸いにも全員の基本的な情報はある状態なので、組み合わせもこちらで選べる状況なのも追い風でしたね」
 「ふわわ君を先鋒に使ったのはその辺の見極めかな?」
 「はい、ふわわさんが仕掛けて地上に降りる。 敵は俺達を全滅させるつもりで来ているんだから無視はできない。 後は移動のスピードを見ればどっちに誰が居るのかが分かります」

 映像ではウィルがふわわの方へと向かっていくのが見えた。

 「フィアーバは機動性に振っていないと聞いていたので、速度を見ればウィルって事が分かったのでそのままふわわさんにお任せする形になりました。 これでAランクの位置が全員割れたので本隊はグロウモスさんとタヂカラオさんを残して全員で潰しに向かう事になります」

 ふわわには撃破できないなら足止めで充分と言っておいたが、彼女が足止めに甘んじる訳がなかったのである意味読めた展開だった。 ふわわは単騎でも機能するのが強みの一つなので容赦なく敵の一団を丸ごと押し付けたという訳だ。

 「フィアーバが逃げ出すとは考えなかったのかい?」 
 
 タヂカラオの質問にヨシナリは苦笑。

 「それならそれで問題はなかったんですけど、わざわざ人数を揃えて仕掛けに来るような連中が引き際の見極めが上手くできるか怪しいと思いません?」
 「はは、確かに。 僕にも経験があるから中々に耳の痛い話だな」
 「――まぁ、そんな訳で俺は最初から全滅を目標に設定していました。 迎え撃てる分、こっちに地の利がありますからね。 フィアーバに関してはベリアルとユウヤに情報を貰っていたので勝ちまでのルートは簡単に組み立てられました」

 グロウモスの高出力のレーザーとマルメルのハンドレールキャノンによる足止め。

 「ってか俺のハンドレールキャノンはともかく、グロウモスのレーザー防ぐのは相当だな」
 「例の空間歪曲を利用したシールドらしいぞ。 燃費が最悪らしいから使わせるだけでも割と効果はある」
 「そうなのか? とにかく防御させるように立ち回れって事だったけど……」
 「こっちはシックスセンスがあるからな。 エネルギー流動が丸見えなんだよ。 ――で、ジェネレーターに適度に負荷を与えて離脱という選択肢を奪いつつ、手数で押し込む」

 『星座盤』の位置は西の端、『タヴォラロトンダ』は北と南に分かれて移動。 
 『ベクヴェーム』は東――フィールドの中央付近に陣取って砲撃を繰り返してきていた。
 『カヴァリエーレ』は正面から来ていたので、正直一番厄介なのは彼等だ。

 北側はふわわがウィルを返り討ちにして決着。 
 二機程、撃ち漏らしたが結局追いついて撃破していたので結局、全滅させていた。
 レーザーを使用した事で位置が割れたグロウモスを狙って来るのは目に見えていたので、ここでタヂカラオが守りに入る。 期限はグロウモスがフィアーバを狙えなくなるまで。

 そうなると彼女はコンシャスへの対処に回るからだ。
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