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第605話
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――さぁ、見せて! もっと!
ふわわは表には出さないが非常に興奮していた。
ヨシナリは銃を構えた。 つまりは逃げずに向かって来る事を意味している。
接近戦は機体のコンディション的にも技量的に不利と分かっているのに勝つつもりで向かって来る。
明らかに策を用意しているのは明白。
なら自分がやる事はその全てを粉砕する事で接近戦では敵わないと分からせる事。
こちらはハクサンゴンゲンと武装の大半を失ったが、得物はまだ残っている。
それで充分。 対するヨシナリは両腕、片足を失っている。
エーテルで補填している上、パンドラを全力で稼働させている以上はもう長くない。
接近戦に応じる理由の一つだろう。 だからと言って油断は禁物だ。
マシンスペックは機体の寿命を燃やしている分、ヨシナリの方が圧倒的に上。
加えて得意距離での戦闘なので総合力は互角。 どちらが勝ってもおかしくない勝負だ。
ヨシナリがバースト射撃しつつ銃身にセットされたエネルギーブレードを展開。
それを見てふわわは我慢できずに突っ込む。
ヨシナリは上昇しつつも逃げる気はないのか迎え撃つつもりだ。
間合いを即座に潰し、両手に小太刀を構えて右で斬りかかろうとしたが、それよりも早くヨシナリはエーテルで補填した片腕をブレードに変化させての刺突。
上体を僅かに傾けて躱し、そのまま懐に入るが銃撃。 エネルギーウイングを用いての旋回。
背後を取るのに合わせてヨシナリも旋回。 蹴りが飛んでくる。
壊れていない方の足。 またクレイモアを狙っているのは明らかだ。
攻撃範囲は既に把握している。 何の問題もない。
傾けながら膝を当てて跳ね上げようとしたのだが、膝を当てた瞬間に千切れ飛んで真横へ。
事前に切断してエーテルの鎧で隠していたようだ。 起爆。
咄嗟に旋回で回避行動。 躱しきれずにあちこちに被弾するが、ふわわも既に攻撃に入っていた。
コックピット部分を狙った刺突。 エーテルで構成された手の平で受け止められる。
刃が中ほどまで突き刺さった所で拳を握られて固定された。
銃口を向けられるが、巻き取る動き――モタシラがやった動きそのままに手首を落とす。
お返しとばかりに膝が飛んでくるが、馬鹿正直に喰らってやる訳には行かない。
ヨシナリの機体はエーテルを操作する事で形状を自在に変化させられる。
つまりは接触部分をブレード等に変化させてそのまま致命傷に繋がる危険があるのだ。
――殺気が漏れとるよ。
膝が持ち上がる前に残った小太刀で切断。 同時に固定された小太刀は諦めて手放す。
四肢はエーテルで補填する事で再生は可能だが、重要パーツが集中している胴体はそうはいかない。
狙うのは胴体のみ。
ジェネレーターかコックピット部分を破壊すれば終わりなのはヨシナリ本人が誰よりも理解しているはずだ。
決めてやると思いつつもどう凌ぐのかを期待している自分が居た。
エーテルの鎧を厚くして致命傷を避ける? それとも躱す?
袈裟の一撃はブレードに変形させた腕で受けずに巻き取ろうとしてきた。
モタシラの動きの模倣。 オリジナルに比べるとクオリティは低いが充分に通用するレベルだ。
これに関してはトルーパーであるなら簡単な処理方法があった。
腕の関節――肘をロック。 これで小太刀は抜けない。
太刀筋が安定しなくなるが、カウンターは無効化できる。
ブレードがふわわの腕に引っかかるように止まった。 そのまま小太刀を振りきる。
刃はホロスコープの肩から入って斜めに両断――手応えがおかしい。
どうしてといった疑問は置き去りに機体の奥から溢れる殺気に反応して上半身を傾ける。
ホロスコープの胴体を突き破るようにブレードが突き出されたからだ。
肩を僅かに掠める。 現れたのは二機目のホロスコープ。
それを見て正体を悟った。
ベリアルが使っていた分身の応用でエーテルの鎧だけを前に出して本体はその真後ろに居たのだ。
気付かなければ今ので終わっていた。 その事実にゾクゾクとしたものが背筋から脳へと突き刺さる。
気が付けばふわわは声を上げて笑っていた。
ヨシナリが脱ぎ捨てたエーテルの鎧からブレードを剥ぎ取って投げつけ、再度斬撃。
旋回で躱してくるが足を失っているので姿勢が安定していない。
先回りして刺突を繰り出す。 肩を捉えるが、致命傷には至っていない。
ヨシナリは両腕をブレードに変形させて斬撃で返す。 技量を手数で埋める気だ。
パンドラでブーストしているだけあって回転が異様に早い。
右の斬撃、左の刺突、右足での薙ぎ、旋回しながら左での後ろ回し蹴り。
斬撃を躱し、刺突をいなし、薙ぎは切って落とし、回し蹴りは上体を傾けて躱す。
ヨシナリの気配から僅かな焦りを感じる。 パンドラの制限時間、当たらない攻撃。
焦るなという方が無理な話だが、ふわわは知っていた。 こんな時にこそヨシナリは強く輝くのだと。
闇雲に攻撃を繰り出す? 焦っている今ならなくはないが、ヨシナリであるなら当てる為の何かを仕込んでいるはずだ。 それを読み切った時、自分の勝ちが確定する。
攻撃の切れ目がないので迂闊に反撃できないが、徐々に動きに目が慣れて来た。
後、三手ほどでこちらから仕掛ける。 その前に何を狙っているのかを確かめないと。
以前、接近戦に自信はないと言っていたが、今のヨシナリの動きはふわわに通用するレベルだった。
モタシラだけでなくベリアルとの特訓にも力を入れていたというだけあってかなりの物だ。
刺突と巻き取りの動きはモタシラから、機動を活かした全身を武器として使う挙動はベリアル、エネルギーウイングを使って体全体を回転させて斬撃の威力に乗せるのはツェツィーリエの動きを参考にしたのだろう。
一つ一つの繋ぎは甘いが、個々のクオリティは高い。
単純な物真似で終わらない点もふわわからすれば評価に値する。
――それに切り札があるのもウチも同じやしな?
三手。 狙いは読み切れないが時間切れだ。
動きの速さに目も慣れた。 名残は惜しいが決着をつける。
ヨシナリの近接の組み立ては堅実で比較的、隙の少ない両腕のブレードによる斬撃を防がせた後に大きな動きでの攻撃を繰り出す。
狙うのはここ。 左の刺突をわざと大きな動きで躱す。
反撃はないと判断したヨシナリが機体を旋回させて蹴りを繰り出そうと動いた瞬間。
――ここ!
合わせてカウンター。 回って足が出る瞬間に飛び込んで体ごと小太刀を突き出す。
胸に飛び込む形になるがこれで――
ふわわは表には出さないが非常に興奮していた。
ヨシナリは銃を構えた。 つまりは逃げずに向かって来る事を意味している。
接近戦は機体のコンディション的にも技量的に不利と分かっているのに勝つつもりで向かって来る。
明らかに策を用意しているのは明白。
なら自分がやる事はその全てを粉砕する事で接近戦では敵わないと分からせる事。
こちらはハクサンゴンゲンと武装の大半を失ったが、得物はまだ残っている。
それで充分。 対するヨシナリは両腕、片足を失っている。
エーテルで補填している上、パンドラを全力で稼働させている以上はもう長くない。
接近戦に応じる理由の一つだろう。 だからと言って油断は禁物だ。
マシンスペックは機体の寿命を燃やしている分、ヨシナリの方が圧倒的に上。
加えて得意距離での戦闘なので総合力は互角。 どちらが勝ってもおかしくない勝負だ。
ヨシナリがバースト射撃しつつ銃身にセットされたエネルギーブレードを展開。
それを見てふわわは我慢できずに突っ込む。
ヨシナリは上昇しつつも逃げる気はないのか迎え撃つつもりだ。
間合いを即座に潰し、両手に小太刀を構えて右で斬りかかろうとしたが、それよりも早くヨシナリはエーテルで補填した片腕をブレードに変化させての刺突。
上体を僅かに傾けて躱し、そのまま懐に入るが銃撃。 エネルギーウイングを用いての旋回。
背後を取るのに合わせてヨシナリも旋回。 蹴りが飛んでくる。
壊れていない方の足。 またクレイモアを狙っているのは明らかだ。
攻撃範囲は既に把握している。 何の問題もない。
傾けながら膝を当てて跳ね上げようとしたのだが、膝を当てた瞬間に千切れ飛んで真横へ。
事前に切断してエーテルの鎧で隠していたようだ。 起爆。
咄嗟に旋回で回避行動。 躱しきれずにあちこちに被弾するが、ふわわも既に攻撃に入っていた。
コックピット部分を狙った刺突。 エーテルで構成された手の平で受け止められる。
刃が中ほどまで突き刺さった所で拳を握られて固定された。
銃口を向けられるが、巻き取る動き――モタシラがやった動きそのままに手首を落とす。
お返しとばかりに膝が飛んでくるが、馬鹿正直に喰らってやる訳には行かない。
ヨシナリの機体はエーテルを操作する事で形状を自在に変化させられる。
つまりは接触部分をブレード等に変化させてそのまま致命傷に繋がる危険があるのだ。
――殺気が漏れとるよ。
膝が持ち上がる前に残った小太刀で切断。 同時に固定された小太刀は諦めて手放す。
四肢はエーテルで補填する事で再生は可能だが、重要パーツが集中している胴体はそうはいかない。
狙うのは胴体のみ。
ジェネレーターかコックピット部分を破壊すれば終わりなのはヨシナリ本人が誰よりも理解しているはずだ。
決めてやると思いつつもどう凌ぐのかを期待している自分が居た。
エーテルの鎧を厚くして致命傷を避ける? それとも躱す?
袈裟の一撃はブレードに変形させた腕で受けずに巻き取ろうとしてきた。
モタシラの動きの模倣。 オリジナルに比べるとクオリティは低いが充分に通用するレベルだ。
これに関してはトルーパーであるなら簡単な処理方法があった。
腕の関節――肘をロック。 これで小太刀は抜けない。
太刀筋が安定しなくなるが、カウンターは無効化できる。
ブレードがふわわの腕に引っかかるように止まった。 そのまま小太刀を振りきる。
刃はホロスコープの肩から入って斜めに両断――手応えがおかしい。
どうしてといった疑問は置き去りに機体の奥から溢れる殺気に反応して上半身を傾ける。
ホロスコープの胴体を突き破るようにブレードが突き出されたからだ。
肩を僅かに掠める。 現れたのは二機目のホロスコープ。
それを見て正体を悟った。
ベリアルが使っていた分身の応用でエーテルの鎧だけを前に出して本体はその真後ろに居たのだ。
気付かなければ今ので終わっていた。 その事実にゾクゾクとしたものが背筋から脳へと突き刺さる。
気が付けばふわわは声を上げて笑っていた。
ヨシナリが脱ぎ捨てたエーテルの鎧からブレードを剥ぎ取って投げつけ、再度斬撃。
旋回で躱してくるが足を失っているので姿勢が安定していない。
先回りして刺突を繰り出す。 肩を捉えるが、致命傷には至っていない。
ヨシナリは両腕をブレードに変形させて斬撃で返す。 技量を手数で埋める気だ。
パンドラでブーストしているだけあって回転が異様に早い。
右の斬撃、左の刺突、右足での薙ぎ、旋回しながら左での後ろ回し蹴り。
斬撃を躱し、刺突をいなし、薙ぎは切って落とし、回し蹴りは上体を傾けて躱す。
ヨシナリの気配から僅かな焦りを感じる。 パンドラの制限時間、当たらない攻撃。
焦るなという方が無理な話だが、ふわわは知っていた。 こんな時にこそヨシナリは強く輝くのだと。
闇雲に攻撃を繰り出す? 焦っている今ならなくはないが、ヨシナリであるなら当てる為の何かを仕込んでいるはずだ。 それを読み切った時、自分の勝ちが確定する。
攻撃の切れ目がないので迂闊に反撃できないが、徐々に動きに目が慣れて来た。
後、三手ほどでこちらから仕掛ける。 その前に何を狙っているのかを確かめないと。
以前、接近戦に自信はないと言っていたが、今のヨシナリの動きはふわわに通用するレベルだった。
モタシラだけでなくベリアルとの特訓にも力を入れていたというだけあってかなりの物だ。
刺突と巻き取りの動きはモタシラから、機動を活かした全身を武器として使う挙動はベリアル、エネルギーウイングを使って体全体を回転させて斬撃の威力に乗せるのはツェツィーリエの動きを参考にしたのだろう。
一つ一つの繋ぎは甘いが、個々のクオリティは高い。
単純な物真似で終わらない点もふわわからすれば評価に値する。
――それに切り札があるのもウチも同じやしな?
三手。 狙いは読み切れないが時間切れだ。
動きの速さに目も慣れた。 名残は惜しいが決着をつける。
ヨシナリの近接の組み立ては堅実で比較的、隙の少ない両腕のブレードによる斬撃を防がせた後に大きな動きでの攻撃を繰り出す。
狙うのはここ。 左の刺突をわざと大きな動きで躱す。
反撃はないと判断したヨシナリが機体を旋回させて蹴りを繰り出そうと動いた瞬間。
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胸に飛び込む形になるがこれで――
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