えっ? 平凡ですよ??

月雪 はな

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6巻

6-2

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「ヴィオ、このドレス、すごくいいじゃないですか!」

 私が乗り気な返答をすると、図案をのぞき込んだお母様達から反論の声が上がる。

「確かに可愛らしいけれど、初花の儀で着るには、ちょっと地味すぎないかしら? 他のご令嬢達は、もっと華やかなドレスを着ると思うわ」

 すると、ジルひい祖父様じいさまも言葉を重ねます。

「リリアナ様がいくら美しくても、ドレスが地味だとあなどられんかのう?」

 いえいえ、私の顔面偏差値は平均なので決して美しくはありません。
 ただ、ドレスのせいで周囲の皆さんから侮られてしまうのは困りますね。

「リリアナお嬢様には、もっと華美なドレスのほうが似合うと思います。このドレスを見たら、ミーナも落ち込んでしまいますよ」

 エレン、そこまで言わなくても……このドレス、そんなに地味かな?

「うーん、皆さんが言うほど、このドレスは地味じゃないと思いますよ? 生地きじの色と刺繍の色によっては、すごく綺麗になると思うんですよね。あっ、そうだ! 花は刺繍じゃなくて、ぞう……いえ、なんでもありません」

 つい、こちらの世界にはないものを口にするところでした。私は、慌てて口を閉ざします。
 けれど、すかさずヴィオが声を上げる。

「リリアナ様、今、何か言いかけていましたよね? ぜひ、このヴィオにお聞かせください」

 そう言ってにっこり笑ってみせるヴィオだけど、目が笑っていません。
 こっ、怖い。ですが、ここでひるんではだめです。

「いえいえ、何も言おうとしていませんよ」
「リリアナ様は先ほど、自分にできることはなんだって協力すると言ったのに……早々に裏切るのですね」

 うっ、裏切るだなんて……
 ヴィオ、そんなに悲しそうな顔をしないでください!
 うぅ、確かに協力すると言った手前、反論できそうにありません。
 仕方ない、腹をくくりましょう。
 なら、さほど影響力もなさそうだし大丈夫だよね?
 私は覚悟を決めて口を開きました。

「……このドレスの刺繍ししゅう部分ですが、実際に花や花弁をつけても可愛いかな、と思ったんです。それなら刺繍する必要がないので、スカート部分の生地きじをチュールにしてもよさそうです」

 チュールは、目の細かいレース生地。重ねればボリュームも出ますし、軽いから踊りやすいと思うんです。
 ヴィオは、私のアイディアに首をかしげました。

「えっと……生花をそのままドレスにいつけるってことですか? となると、使用するのは薔薇ばらになりますね。確かに、刺繍よりも生花のほうが立体的で、華やかなドレスになるでしょう」

 私達が暮らすシェルフィールド王国は、美と愛と豊穣の女神様が守護する国。薔薇は、この女神様の聖花せいかとされていて、国花でもあります。王国内には薔薇が年中咲き乱れていて、切り花の状態でも二、三週間は枯れることがないんです。

「確かに、生花もいいですね。でもお花はいつかしおれてしまうので、一度しか着られないドレスになっちゃいます。それではもったいないでしょう? だから、造花をドレスに使うのはどうかと思ったんです」
「造花?」

 そう、こちらの世界には造花がないんです。
 シェルフィールド王国にはあちこちに薔薇が咲いていますし、切り花にしても長持ちしますからね。誰も造花を作ろうとはしなかったのでしょう。

「造花というのは、本物に似せて作った花のことです。布を使って作るから、枯れることがないの」
「……布を使って、花が作れるんでしょうか?」

 ヴィオは造花の作り方がわからないようで、目をまたたかせています。

「まず布を花弁の形に切って、それを染色します。そのあと、道具を使って一枚一枚の形を整えていって、最後に花弁をまとめると造花の完成です」
「なるほど……確かに試してみる価値はありそうですね。生花を使うよりはるかに手間暇はかかりそうですが、枯れないことを考えると利点はあります。まずはその造花を作ってみて、ドレスにかすかどうかを決めましょう」

 ヴィオの言葉に、私はうなずきました。これで話がまとまりそうだと思っていたのだけれど――

「あとは、相手役の服装も見ておく必要がありますね。できれば雰囲気を合わせたいところですし。リリアナお嬢様、初花はつはなの儀でのお相手役はどなたなのですか?」
「相手役?」

 ヴィオの言っていることがわからず、私は首をかしげる。
 もしかして、ダンスを踊るときの相手のことでしょうか。けれど、そればかりは当日にならないとわかりませんよね?
 私が目をぱちくりさせていると、お母様がぽんと手を叩いた。

「それもそうね。すっかり失念していたわ。当日の服装をうかがってみて、わかり次第ヴィオに知らせることにするわ。それでいいかしら?」

 ……えっ?

「助かります」
「えっ、ちょっと待ってください! そのお相手って、私と一緒に踊る方のことですよね? もしかして、すでに決まっているんですか!?」
「ええ、当たり前じゃない、リリアナちゃん。初花の儀には、女性一人じゃ行けないのよ。男性が付き添わないと、会場にも入れないの。だから、リリアナちゃんはその付き添いの相手と踊ることになるわ」

 当然のように、そう答えるお母様。
 えぇーーーーーー! そんな情報、初耳だよ!! ダンスの相手って、現地調達じゃないの!?

「それじゃあ、私の相手はどなたなんですか?」

 私は、ゴクリと喉を鳴らして尋ねる。

「ふふ、誰だと思う?」

 えぇ! まさかのクイズ形式ですか? ヒントをお願いします!!

「えっと……他の皆さんは、どのような方と踊るんでしょう?」
「大抵は、親族が多いわね」
「じゃあ、お父様――」
「ダメよ。ルイスは私と一緒に行くのだから」

 私の声をさえぎって、にっこり笑うお母様。
 お父様には普段から踊りの練習に付き合ってもらっているし、気が楽だったのにな。他に、親族の男性といえば……

「ラディは……ダメですよね」

 次なる私の回答に、皆が一斉にうなずく。
 うぅ、そうですよね。弟のラディはまだ七歳。一緒に行けるわけがないよね。
 でも、他の親族なんて思い浮かばないよ。
 私が考え込んでいると、ヴィオが口を開いた。

「他には、婚約者や男友達と一緒にいらっしゃるご令嬢も多いそうですよ」
「男友達は、カイルとアル君しかいません。その二人は……」
「無理ですね、平民ですし」

 カイルとアル君の姉であるエレンが、スッパリと言い切る。
 そもそも、私には貴族のお友達がいません。ぼっちなんです。
 婚約者だって、これから探すところですし……
 うわぁ、自分で言ってて悲しくなってきた。

「お母様、まったく見当がつきません。一体、どなたなんですか?」

 白旗をかかげた私に、お母様はにっこり笑って答えました。

「ふふ、実はね、私もまだ知らないのよ」
「「「「えっ?」」」」

 お母様の言葉に、その場にいた全員が驚きの声を上げる。

「おっ、お母様、どういうことですか!?」

 だって、さっき当日の服装を聞いてみるって言ってましたよね。それって、明らかに相手を知ってるときの言い方ですよ!?

「うふふ、心配は無用よ、リリアナちゃん」

 いやいや、心配するよ。
 いぶかしく思ってお母様をじっと見ると、にこにこしながら言葉を続けます。

「今ね、リリアナちゃんの相手役にどなたかいい方がいないか、私のお友達に紹介を頼んでいるの。そのお返事待ちの状態なのよ。でもとっても信頼できるお友達だから、安心してちょうだい! リリアナちゃんは大船に乗った気でいてね!!」

 自信満々に胸を張るお母様。
 そう言われても、不安はぬぐえないよ。
 とはいえ、ぼっちの私に伝手つてなんてありません。ここはお母様を頼るしかないわけで――
 どうか、それが泥船どろぶねではありませんように。
 私は、静かにそう願ったのでした。


「……なんだか疲れちゃった。でも、どんなドレスになるのか楽しみだな」

 自室に戻った私は、扉に寄りかかりながら微笑ほほえんだ。
 前世では、成人する前に命を落としてしまった私。できることなら、振袖ふりそでを着てみたかったなぁ、と思う。
 もちろん、この世界で着る予定のドレスだって楽しみです。
 初花はつはなの儀のことを思うと不安もあるけれど、やっぱり嬉しいって気持ちが大きいみたい。
 そのとき、ふとあるアイディアが浮かびました。
 私は自室の扉の鍵をかけて、窓際に置かれた机へ向かう。
 それは、引き出しのついた普通の机。引き出しを開けてみても、中はからっぽです。
 けれど――
 私は引き出しを閉めて、そこに手を添えたまま目を閉じました。そして小さな花のつぼみを思い浮かべ、その花びらが一枚一枚開いていく様子を想像しながら、そっと詠唱えいしょうをはじめます。

「お願い。秘密よ、現れて」

 すると手を添えていた引き出しに、ひんやりと硬いものが浮かび上がった。目を開けてゆっくり手をどかせば、そこには銀色のじょうが光っている。

「成功だね。あとは……」

 私は胸元に手を伸ばし、首から下げていた細いチェーンを服の上に引っ張り出した。
 チェーンの先についているのは、鈍色にびいろの鍵。ただ、ブレード部分はつるんとしていて溝がられていません。
 私はその鍵をギュッと握りしめて、再び目を閉じる。

「最後の鍵を開けますか。……お願い、秘密の扉が開きますように」

 詠唱えいしょうを終えて目を開けると、鈍色の鍵はまばゆい光を放つ鍵に変わっていた。
 私は光り輝くその鍵を引き出しの鍵穴に差し込み、ゆっくりと回す。カチリと小さな音がして、秘密の引き出しが開いた。
 その中には、三冊の本が入っている。重ねられたそれらのうち、真新しい本を手に取って、机の上に広げた。

「さて、描きますか!」

 机に置かれたペンを取り、私は真っ白なページにさらさらと絵を描いていく。
 しばらくの間、夢中になってペンを動かした。
 やがて……

「うふふ、できました!」

 満足した私は、机にペンを置いてにっこり笑う。
 とそのとき、扉からトントンとノックの音が聞こえてきた。

「お姉様、入ってもよろしいですか?」
「お姉様、いーい?」

 双子の弟妹ていまい、ラディとレティですね。
 他の人であれば、決してこの部屋に招き入れることはない。だけど、可愛いラディとレティだけは特別。
 二人は、小さい頃から秘密を共有してきたんだもの。

「いいわよ。ただし、秘密を守れる?」

 私が尋ねると、扉の向こうから興奮した声が聞こえてくる。

「お姉様、秘密のお時間中なのね! もちろん守るわ! だからお願い、レティをお部屋に入れてください。ラディもお姉様とのお約束を守るわよね?」
「ええ、もちろん秘密を守ります! だから見せてください、お姉様!!」

 私は椅子から立ち上がり、ゆっくり鍵を開ける。そして扉を開けば、そこには、キラキラと顔を輝かせているラディとレティの姿があった。

「じゃあ、指切りで約束ね」

 私は二人と視線を合わせるようにかがみ、両手の小指を立てました。
 ラディとレティも小指を立てようとしましたが、手に持っていた紙が邪魔だったみたい。それを片手に持ちかえて、小さな小指を私の小指に絡ませてくる。

「「「指切りげんまん、嘘ついたら針千本呑ーます、指切った!」」」

 三人で小指を揺らしながら、楽しく歌う。
 これは、私達の秘密の儀式。
 こちらの世界には、指切りという習慣がありません。昔、ミーナちゃんにも指切りを教えて、ずっと親友だよって約束しました。といっても、あのときは歌まで教えなかったけど。
 その後、ラディとレティに指切りを教えたとき、思わず歌ってしまったら、すごく気に入ったみたい。歌の意味は、とっても怖いんだけどね!

「はい、お部屋にどうぞ!」

 部屋に招き入れると、二人はパタパタと机に向かった。
 一目散に駆けていく姿は可愛いけれど、二人とも、手にしていた紙をヒラヒラ落としています。
 私は再び鍵をかけて、二人が落とした紙を回収しながら近寄っていく。
 必死に背伸びをして、開かれたページを見ていたラディとレティ。私が後ろに立つと、同時にパッと振り返りました。

「ヒラヒラして綺麗なドレスね、お姉様! お姉様が描くドレスはいつ見ても綺麗!!」

 お姫様願望の強いレティは、指を組んで夢見るようにつぶやく。

「うふふ、ありがとう、レティ。でも、このドレスのことはいつも通り秘密にしてね」

 そう、先ほど私が夢中で描いていたのは、ドレスの図案。振り袖をイメージしながら描いてみました。
 もっとも振袖ふりそででダンスを踊るのは無理なので、ウエストから下はふんわり広がるフレアスカートです。袖の部分も改良し、薄い生地きじ羽衣はごろもみたいに羽織はおるタイプにしました。踊っている途中に落ちてしまわないように、背中と手首で固定させています。
 このドレスを着てクルリと回れば、スカートと袖の生地が広がって綺麗だろうな。もっとも、これはこの世界にあってはいけない図案なんだけど――

「今日はドレスの図案なのですね。お姉様がこれを着れば、きっと綺麗でしょうね。それなのに、もったいないです……」

 ラディは、どこか残念そうな口調で言う。
 うふふ、お世辞だとわかっていても、人間められると嬉しいものです。

「褒めても何も出ないですよ……と言いたいところですが、今日は特別に他のページも見せてあげます」
「わあ! 僕、乗りものがいっぱい描かれたページが見たいです!」
「わかりました。ラディは男の子だものね」

 私は先ほど拾い上げた紙を机に置き、引き出しの中から本を一冊取り出してパラパラとページをめくった。やがて目当てのページを見つけて、ラディに見えるよう広げる。

「はい、どうぞ。空飛ぶ飛行機に、うんと速く走ることができる列車よ。ラディは、乗りものが大好きだものね」
「わぁい! ありがとうございます、お姉様!!」

 ラディは瞳を輝かせながら、乗りものが描かれたページを見つめます。
 そう、この本は私の前世の記憶を記した日記みたいなもの。
 この世界にはないものを簡単に広めてはいけない。これからは平凡に生きる――そう誓ったものの、時にはやっぱり、こうしたほうがいいのに、ああしたほうがいいのに、と思うことがあります。そのたびに、私の中にはモヤモヤが溜まっていきました。
 そこで、私は日記をつけることにしたんです。
 前世の記憶を頼りに、この世界にもあったらいいと思うもの、懐かしいもの、好きだったもの――気のおもむくままに、いろんな情報を書き連ねてきた。
 そんな日記も、今や三冊目に突入。随分ずいぶん、色々と書いたものです。
 日本語で書いているから、他の人が見ても意味は理解できないはず。けれど、もしものときのために細心の注意を払わないと。
 そこで、自室の引き出しに魔法をかけて、厳重に保管しているんです。昔は苦手だった魔法も、今では上達しましたからね。
 ちなみにこの日記の存在を知っているのは、私、ラディ、レティの三人だけ。
 なぜ二人が秘密を知っているのかというと、これは私が迂闊うかつだったからです……
 ラディとレティが今より幼かった頃、どうせ意味もわからないだろうと、私は二人の面倒を見ながら日記を書いていました。すると、いつの頃からか「お絵かきして」とねだられるように。
 これはまずいと二人の前で日記を書かなくなったのですが、今度は「お絵かきしてー!」と大泣きされてしまい……結局、毎回二人の前で日記を書くことになったんです。反省。
 今では一人の時間に日記を書くことが多くなったものの、こうしてたまに日記を見せてあげています。
 夢中でページを見つめる二人を眺めていると、レティが不思議そうに首をかしげました。

「ねぇ、お姉様。どうしてお姉様はこのドレスを作らないの? お姫様みたいで、とっても素敵なのに。このドレスを着たら、素敵な王子様が絶対に現れると思うわ……」

 レティは相変わらず乙女チックですね。
 微笑ほほえましくて、思わず笑みがこぼれる。

「ねぇ、レティ。私とした約束を覚えてる?」
「うん、ちゃんと覚えているわ。秘密のご本のことは、誰にも言っちゃダメなんでしょ」
「その通り。だから、本に書かれていることも秘密にしなくちゃいけないの。もしこのドレスを作ったら、内容がバレてしまうでしょ?」

 すると、レティは納得したようにうなずいた。私がにっこり笑うと、ラディが私の服のすそを引っ張ります。

「お姉様。僕もお姉様とした約束をちゃんと覚えていますよ。僕とお姉様は、お外に出るとき、必ず変装をしなくちゃいけないんですよね」

 そういえば、それも大事なお約束の一つでしたね。

「偉いわ、ラディもきちんと覚えているのね。本の存在と私達の外見は、秘密にしなくちゃいけないの。もしバレたら、家族が離ればなれになってしまう可能性だってあるわ。それは嫌でしょ? これは仕方がないことなの。忘れないでね」

 そう。これは仕方がないこと。
 レティの外見は、金髪に、琥珀アンバー色と紫水晶アメジスト色のオッドアイ。一方、ラディの外見は、銀髪に、紫水晶色と琥珀色のオッドアイ。
 銀髪に紫水晶色の瞳は、この世界セイルレーンを創り出した創造神様のまとう色。かつて創造神様以外でその色をまとっていたのは、シェルフィールド王国でアルディーナ大公爵家をおこしたアルディーナ様だけでした。
 だけど、この時代には二人も存在しています。
 一人は私。もう一人がラディ。
 ラディはオッドアイですが、それが神の色の組み合わせであることに変わりありません。
 私は、ラディの柔らかな銀髪をでる。すると、ラディは嬉しそうに笑った。

「あぁーー! ラディだけズルい! お姉様、レティにもなでなでして!!」
「はいはい。レティにも、なでなでしましょうね」

 レティの輝く金髪をでてあげれば、満足そうに目を細めます。
 もう、甘えたさんなんだから。
 ――この幸せな時間がいつまでも続いてほしい。
 そしてこの可愛い弟妹ていまい達が、悲しみや苦しみを味わうことがないようにと、心から祈る。
 今ならば、お父様とお母様が私に色々なことを隠していた気持ちがわかります。今度は二人のために、お姉ちゃんがしっかりしなきゃですよね!

「お姉様、どうしたんですか?」

 ラディとレティは可愛らしく小首をかしげている。

「うふふ、きっと大人になったらわかるよ。それより二人とも、この紙のこと、忘れてない?」

 私は机の上に置いた紙を取り上げて、二人の目の前に突きつける。さっき、ラディとレティがヒラヒラ落としていった紙です。

「あぁーー! 忘れてた!!」
「ゔっ!」

 ラディとレティがそれぞれ声を上げる。

「これ、シリウス先生からの宿題でしょ。二人ともしっかりやらなくてはダメよ」
「「お姉様、お願い! 教えて?」」

 ラディとレティは瞳をうるませながら、上目遣いで懇願こんがんしてくる。
 うっ、なんて破壊力。
 しかも、ダブルコンボなんて最強でしょ! 可愛すぎるよ!!

「……わかりました。だけど、答えは教えませんよ? あくまでも手助けするだけです」
「「やったぁーー! ありがとう、お姉様!!」」

 飛び跳ねて喜ぶ二人を見ながら、私は日記を机の引き出しにしまう。

「これは、秘密にしなくてはいけない」

 そう詠唱えいしょうすると、引き出しのじょうがすぅっと消え、私の胸元に下げられた鍵は輝きを失った。

「……さぁ二人とも、宿題をやりますよ!」


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