魔王がやって来たので

もち雪

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閑話

向日葵の恋模様

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 私が初めて本家に行ってた時――。
 
 お母さんは「向日葵ひまわり、あの方達がフィーナ様とみなと様よ」と私に向かってそう言った。
 
「貴方も今年から本家で勉強を教わるのだから、ちゃんとお二人の言う事をよく聞いてね」

「わかったわ」

「本当にお二人と喧嘩なんてしないでね! お二人はお兄ちゃんとは違うのだから、図々しい事も言わないでね」
 
「もう、わかったっていってるじゃん」
 
「本当にわかっているのかしら? お母さんは本当に心配よ……」
 
 お母さんにいつも「髪は白銀に近い金色で、黙っていれば人形さんの様に可愛らしいお顔なのに、なんで向日葵ひまわりとお兄ちゃんはすぐに喧嘩になるのかしらね?」など、私たち兄妹に二人の愚痴をよく言ってたから、それはお兄ちゃんが性格が悪いだけでしょう?と、思ってきたけれど……。

 後日、見事不安は的中する。さすがですお母さん!




 桜の季節になり本家に行き始めて、一番、最初に驚いたことは、フィーナ様とみなと様が双子ではない事だった。お正月の挨拶の時は、いつも二人はセットで扱われていたし、そしていつも二人は一緒に居た。
 そして二人とも白銀の髪に、大人しく、大人に従順で、優等生って感じで少し近寄りがたい感じ何から何まで一緒だった。

 
 でも、本家で勉強して近くにいるとやはり違いは見えてくるもので、難しい問題に私がうーんうーんうなっていると……。フィーナ様はその問題に使われている解き方を使った基本問題を探し出し、まずそれを私にやらせ答え合わせの時にどこが大事か教えてくれてから最初の問題を解かせる方法だった。あれは効率を重視したのかよくわからないけど時間的にはロスが少なかったように思う。
 
 うーんよくわかないけど……。
 
 みなと様は、もう一度解き方を教えて、まだうーんうーん言ってる私の横でちょこんと座って見ている。
 なんか湊様は結構気が長いと言うかのんびりしてる事が多かった。

 だから私が二人についていくと待っててくれるのが湊様で、疲れない様な道を選んだり、休憩を入れてくれるのがフィーナ様だった。そして3つ上のお兄ちゃんとお姉ちゃんを困らせ、ついていくのが私だった。
 
 えっと……私の兄については年子の私を置いていくし、意地悪を言うし本当に敵だった。まぁ……兄には兄で良い所はあるんですけどね――。




 
 そして10歳のお正月の時、二人の縁談話がみなと様のおじい様から出た。

 その瞬間、その場は氷ついた様に静まり返り、肝心のお二人ともきゃー嬉しい! や恥ずかしい……って感じでもなく凄く――凄く――戸惑っていた。だから「だめだめ! 湊おにぃちゃんは私と結婚するの!」って思わず言ってしまった。

 見事に私は、湊様のおじい様を見事怒らせてしまい……、母に「あの時は本当に生きた心地はしなかったわよ」と、今でも言われる始末ではある。
 
 その出来事については、今でも顔から火だ出るくらいに恥ずかしい事でもあり、そして二人の事を助ける為に動けた自分を凄く誇らしく思っている。

 最高の瞬間は?と聞かれたら、はいみなとお兄ちゃんにプロポーズした時ですって、答える自信はある! 

 あっ……でも、その後にお母さんに怒られてから、別棟に入った時に、ふたりが私に向けて「ありがとう」って言ってくれた時の笑顔も捨てがたいかもしれない。



 
 そんな充実した私の子供時代も……4年前のフィーナ様のご両親の葬儀があった、あの日。

 私の大切な二人は離れ離れになってしまったことで……少し陰りをみせる。みなと様は本当の自分を探し出す様に本家の勉強や、家業の勉強に取り組み。私達、狐の中で自分の場所を広げていってる。
 
 …………でも、何か違う。
 
 そこに私が居ないのはおかしいと思う。自惚れではなく結構しっかりしているフィーナ様と違いみなと様は今、結構無理していると思うからだ。

 それから……少ないながら白銀しろがねの血が入った私は間違えたりしない。諦めたりもしない。だから、とりあえず明日、本家に行ってどうすればみなと様に会えるか聞いて、難しいなら、うーんとりあえず行動しょう!
 
 私は、私の恋を諦めたりしないのだから。

 つづく
 
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