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ふたたび動き出す世界
なにか
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「ふぅ――お茶もご馳走になったし、そろそろ本題の話でもするか?」
魔王は、椅子に座り背筋を伸ばして、両ひざの上に手を置く。まるでCMで、見たドラマの戦国武将の様だ。
「こちらこそ、ご馳走様でした。 本題と言うとフィーナさんの話ですね」
面接に来た就活の学生の気分になりながら、魔王へ挑む。
「で、フィーナについては、どうだ? 最近の若者の意見を率直に聞きたい」
魔王の3つの目がこちらを向いている。彼は、常に何かを警戒しているのか、額の目は2つの目とは違うどこかを見ている事が多いが今回は全ての目がこちらを向いているのだ。
(少し、緊張して手が自然に震えるなぁ……。でも、ここは腹を割って話さなければいけないだろう……)
「はい! とても良い娘さんで交際をしたいと考えております」
(魔王の目が今までにないほど泳いでいる……でも、すぐに殺されないくて良かった……)
魔王は、目の前の静かに飲み干し、体制を整えなおす。
「そうか……」
魔王の心情を立て直したのちに、発した『そうか……』の一言は彼女の上司として、父親役として深みが増している様だった。
(むしろ、そうであって欲しかった。)
「最初に、貴様にあった日の夜の、あの子の様子を思い返して見れば無理からぬ事よ」
(うーん、どんな様子だったのか聞いてもいいものだろうか?)
「あの実際どんな様子だったのでしょうか?」
様子を見ながら聞くと、魔王は珍しく机に肘を、つきそこに顔を乗せ、遠い昔を思い出すように語りだした。
「あの時のあの子は、まるで昔なくした宝箱をみつけたかの様にこっそりと……そして少しの笑みを絶やさずに、いくつもの仕事をしておったぞ」
「ここから我の昔話であるが、フィーナにも関係のある事なのでよく聞くように」
僕に聞かせるように、夢物語を語るように魔王の話は始まった。
「魔界では、それぞれの魔族が独立して小さな国家を気付いておる。その中に彼女の種族、狐の種族がおった」
「ここの昔話でも、多くの狐が登場するか?」
魔王は、ふと僕の顔を見て問いかける。
「そうですね……、化け狐に、九尾の狐に、大国の妃になってその国を滅ぼしかけたものまで、いろいろいますね」
「ふむ、魔界でもだいたい狐は化け、策を講じる」
魔王は静かにうなづく。そしてまた思い出すように窓の外を見ながら話しだすのだった。
「どの狐もだいたい人間に近い生活をしているように、書かれていると我は記憶しているが……。彼女の種族もそうだった、人間に近いため、人間界近くに住み魔界にはない、素晴らしいものを狐達は集めてる。だから我は、興味を持ちある男に近づいた、名前は白煙といい。狐と言うよりは、古狸という風貌だったが目の奥底だけはとてもギラギラとさせた奴だった」
「その男は、権力に強い関心を持つようだったが、そんなものは魔界のどこにでもおる。だからその男に話をつけてもらい、狐の中で一番の力を持つ、白銀狐当主に顔をつないで貰った」
(白銀狐の当主……)
「もしかしてその人はフィーナの親戚筋では? 」
「彼はフィーナの父親だ」
魔王は、今度は僕の顔を見ずに答えた……。
「フィーナの父親の両親は既に亡く、身体の弱い弟と住んでいた。我は、そこにその男と父親に似て隙の無い娘、白雪と共に向かった」
「その日にはフィーナの母親となる許嫁も来ていて、これからよろしくお願いしますと丁寧に頭を下げていたよ。だが、帰り間際、娘の白雪が席を帰ってきたら――何故かは、その時はわからなかったが全てが変わっていた。」
「そうお前と会った時の、あの子の様に」
魔王は、そこまで言うとまた席を、正しく座り直し静かにお茶を飲む。僕の知らない何かがあって、僕には魔王をいつもの魔王とは認識出来ない。それは、魔王の思い出なのか、強い思いなのか、それともその両方なのか?
今、若いフィーナが里を離れ、魔王のもとで暮し、働いている。その暮らしを思い浮かべると、魔王をいつもと違う雰囲気する何かは……悲しみや後悔からくるものだと言う事はたやすく想像出来た。
つづく
魔王は、椅子に座り背筋を伸ばして、両ひざの上に手を置く。まるでCMで、見たドラマの戦国武将の様だ。
「こちらこそ、ご馳走様でした。 本題と言うとフィーナさんの話ですね」
面接に来た就活の学生の気分になりながら、魔王へ挑む。
「で、フィーナについては、どうだ? 最近の若者の意見を率直に聞きたい」
魔王の3つの目がこちらを向いている。彼は、常に何かを警戒しているのか、額の目は2つの目とは違うどこかを見ている事が多いが今回は全ての目がこちらを向いているのだ。
(少し、緊張して手が自然に震えるなぁ……。でも、ここは腹を割って話さなければいけないだろう……)
「はい! とても良い娘さんで交際をしたいと考えております」
(魔王の目が今までにないほど泳いでいる……でも、すぐに殺されないくて良かった……)
魔王は、目の前の静かに飲み干し、体制を整えなおす。
「そうか……」
魔王の心情を立て直したのちに、発した『そうか……』の一言は彼女の上司として、父親役として深みが増している様だった。
(むしろ、そうであって欲しかった。)
「最初に、貴様にあった日の夜の、あの子の様子を思い返して見れば無理からぬ事よ」
(うーん、どんな様子だったのか聞いてもいいものだろうか?)
「あの実際どんな様子だったのでしょうか?」
様子を見ながら聞くと、魔王は珍しく机に肘を、つきそこに顔を乗せ、遠い昔を思い出すように語りだした。
「あの時のあの子は、まるで昔なくした宝箱をみつけたかの様にこっそりと……そして少しの笑みを絶やさずに、いくつもの仕事をしておったぞ」
「ここから我の昔話であるが、フィーナにも関係のある事なのでよく聞くように」
僕に聞かせるように、夢物語を語るように魔王の話は始まった。
「魔界では、それぞれの魔族が独立して小さな国家を気付いておる。その中に彼女の種族、狐の種族がおった」
「ここの昔話でも、多くの狐が登場するか?」
魔王は、ふと僕の顔を見て問いかける。
「そうですね……、化け狐に、九尾の狐に、大国の妃になってその国を滅ぼしかけたものまで、いろいろいますね」
「ふむ、魔界でもだいたい狐は化け、策を講じる」
魔王は静かにうなづく。そしてまた思い出すように窓の外を見ながら話しだすのだった。
「どの狐もだいたい人間に近い生活をしているように、書かれていると我は記憶しているが……。彼女の種族もそうだった、人間に近いため、人間界近くに住み魔界にはない、素晴らしいものを狐達は集めてる。だから我は、興味を持ちある男に近づいた、名前は白煙といい。狐と言うよりは、古狸という風貌だったが目の奥底だけはとてもギラギラとさせた奴だった」
「その男は、権力に強い関心を持つようだったが、そんなものは魔界のどこにでもおる。だからその男に話をつけてもらい、狐の中で一番の力を持つ、白銀狐当主に顔をつないで貰った」
(白銀狐の当主……)
「もしかしてその人はフィーナの親戚筋では? 」
「彼はフィーナの父親だ」
魔王は、今度は僕の顔を見ずに答えた……。
「フィーナの父親の両親は既に亡く、身体の弱い弟と住んでいた。我は、そこにその男と父親に似て隙の無い娘、白雪と共に向かった」
「その日にはフィーナの母親となる許嫁も来ていて、これからよろしくお願いしますと丁寧に頭を下げていたよ。だが、帰り間際、娘の白雪が席を帰ってきたら――何故かは、その時はわからなかったが全てが変わっていた。」
「そうお前と会った時の、あの子の様に」
魔王は、そこまで言うとまた席を、正しく座り直し静かにお茶を飲む。僕の知らない何かがあって、僕には魔王をいつもの魔王とは認識出来ない。それは、魔王の思い出なのか、強い思いなのか、それともその両方なのか?
今、若いフィーナが里を離れ、魔王のもとで暮し、働いている。その暮らしを思い浮かべると、魔王をいつもと違う雰囲気する何かは……悲しみや後悔からくるものだと言う事はたやすく想像出来た。
つづく
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