魔王がやって来たので

もち雪

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はじめての異世界

初めての魔法の授業

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 次の日もぬいぬいは、オリエラ王女とやって来た。
 
 小学2年生みたいな見た目のぬいぬいは、奥さんの手製のサンドイッチを持って。

「これ妻の手作りサンドイッチ、みんなでどうぞ、だと」
 驚く僕を見てオリエラ王女は言った。

「ハヤトの世界には、ぬいぬい師匠みたいな可愛い種族はいないの?」

「いないですね」

「ぬいぬい師匠の奥さんのあるるさんも、大人なのにすごく可愛いの」
 オリエラは、頬に手を当て夢みるように言う。

「年相応だろう? 」

「区別付かないよ――みんな可愛すぎて、もう困るよ」

「勝手に困ってろ」

「でも、ぬいぬい師匠は、育休中も魔法の事ばっか考えてるから、あるるさんに仕事へ行って、て怒られちゃったんだよね」

「ぬいぬい師匠は、もうちょっとあるるさんに優しくしてもいいのに」

「優しくしてる!」

「えっどんな風に? 」

「あるるに聞け」

「そうやってすぐ誤魔化すんだから」
 気づくと二人は思い思いの場所に座って居た。オリエラは大きソファーの上に、ぬいぬいは、キッチンにサンドイッチを置いたのち、自分の水筒のお茶を飲んでいた。




「今日は、魔法の授業をする」

「ハヤトは、魔法の経験は?」

「あの……僕は、どうなるとかって決まりました? 」

「俺は知らん 」
「私も知らん 」
 オリエラは、腕を組みそういった。

「真似をするな」
 
「はい……師匠」
 
「ちょっと待ってろ」
 そいうとぬいぬいは、勇者の間から出てしばらくすると兵士を二人連れてきた。

 僕とオリエラが対面に座り、その間に兵士が両脇に立っている。僕とオリエラは、右手どうしで手首をつかんでいるかたちになった。

「行くぞ、オリエラの水の魔法を通せ」

「はい」
 僕の手の中を冷たい感覚が通っていく。その時、手に水色の紋様もんようが薄く渦巻く。

「水色」ぬいぬいが、そう言い。衛兵が紙に記入する。

「はい」
 
「うん?うん??」
 オリエラがそう言うと、ぬいぬいが困った様にあごを、触る。

「これは、吸われてるな……」
 
魔紋まもんの量、色、動きが変わったらすぐに二人を引き離して」
 
「わかりました」
 衛兵達に緊張が走る。

 その時、紋様の動きが止まり、黒色に変わり逆流するように流れる。

「離せ! 」
 ぬいぬいの声とともに衛兵が、動く。

「お前は止める様に思え」

 ぬいぬいが、叫びにも似た声で僕を指さし言い放つ。

「手、離れました! 」

「えぐいよもー黒はないよ――黒は――」
 
 オリエラは、そのまま大きなソファーにねっころがった。

「姫、大丈夫ですか? 」
 兵士が心配そうに、彼女をみつめて問いかける。

「大丈夫です、おかげさまで何もありませんでした」
 オリエラは起き上がってそう言った。

「でも……突然現れた後輩が、私よりも魔力が凄くて凹みました」
 
 そいうとオリエラは、ふたたびソファーに、横になった。そこで兵士が、微笑ましいような顔で彼女を見つめる。
 
「うーん魔紋は、吸収、反発あり、そして属性は、黒、オール型少し緑が強い、だな」

「レポートが書けたら、上に提出頼む。以上だ、ご協力感謝します」

 そう言い、ぬいぬいが頭を下げると、兵士は敬礼をして出ていった。

「で、おまえさんの、属性がわかりましたよ」
 さっきまで、オリエラが、座っていた椅子にぬいぬいが腰を掛ける。

「最初に通したのが、水の魔法。身体は、結構な割合で水の割合が多いので、水の魔法にはだいたいの人間は耐性がある」

「その水魔法を、お前のマナは吸収しようとした」

「まぁ、これはまれにある」

「だが、吸収した魔法を踏み台にして違う魔法で攻撃しようとした」

「才能があればこれは、まれに出来るようにはなる」

「だが、魔紋が黒くなるほど、すべての魔法の凝縮して体にためておけるマナはそうはない」

「黒の魔法は、暗黒の魔法とかと関係があるのですか?」
 僕は、ゲームの知識の中から聞いてみる。

「俺の魔法は、自然学の方が専門だから、そっちは専門外」
 お手上げと言う様にぬいぬいは、手をあげる。




「お姫様の機嫌が直ったら、この後は社会見学へ行くぞ」

「師匠――どこ行くの?」
 オリエラは、ソファーに寝転がりながらそう言うと、ぬいぬいは、そんな事は気にしないで……。
 
「魔法学校へ行こうと思ったが……こいつは、やばいから山へ行く」

「あ……その方がいいかもね? 」
 そんなわけで、僕は山に行く事になった。

 つづく
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