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はじめての異世界
あるるのサンドイッチ
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「じゃ、行くかと言う声と共に僕達は部屋の外へ出た」
ぬいぬいは、兵士に外出したいと伝えると――。
「兵士は、しばらくお待ちください」
といい城の方へ、走って行ってしまった。
「えっ? 師匠、前持って連絡しておいたんじゃないの? 」
と言うとオリエラが言うと「いや」と頭の後ろで腕組みし暇を持て余したようぬいぬいが答える。
「し――しょう……私の外出許可だけで、三日はかかるのに……ハヤトも一緒じゃ、今日は絶対無理だよ」
オリエラを頭を抱えて座り込んだ。その後、ぬいぬいとオリエラの軽口を聞いてると……。
トントン
不意に勇者の間の扉が、ノックされた。
「はい!はい!」
オリエラが僕より先に、扉を開けて顔を出す。
「おい……オリエラ……」
ぬいぬいが呟く。扉の先にはレンがいた。
「オリエラ王女、相手が誰かわからない内に、扉を開けのは危ないですよ」
「そしてそもそも、ここはハヤトの部屋です。王女であるからこそ、ハヤトの事も尊ばねばなりません」
「はい」と、オリエラは言うと……。
「ハヤト、ごめんなさい」
彼女は頭を下げて謝った。
「俺は、謝る程の事じゃないと思うぜ」
ぬいぬいが声をあげる。
「王女が簡単に謝ると、王女を侮る者が出てくる」
「師匠……」
「だから、人の部屋で勝手にやるな」
「はい……」
「だが……」
「俺はお前の師匠だから、お前が俺に勝手やっても半分は許してやる」
「こいつはお前の弟弟子だから、お前がこいつの面倒をみてやる分には、構わないじゃないか?」
「もしくはお友達って奴だ」
「なっ!ハヤト」
そこで、みんなの視線が僕に集中した。
「姉弟子、よろしくお願いします」
と、言って僕が頭を下げると……。
「姉弟子って言い方は可愛くないよ――」
「贅沢いうな」
「可愛さは大事だよ――」
と、また二人は軽口を、いい始めるのだった。そんな二人のやり取りを見ていると……、ぬいぬいとオリエラは、なんやかんやでいいコンビだと、僕は思った。
「ところで、レンさんは何故こちらに?」
「君達が、外出したいと言ったから、私がお目付け役に選ばれたよ」
「お前それを早く言えよ、まぁいい行くぞ!」
ぬいぬいは、素早く出発の用意をし始める。それを見て僕とオリエラも慌てて準備を始めるのであった。
馬車の用意などは、レンさんが手配していたらしくスムーズに出発する事が出来た。
「おい、レン昼食はとったか?」
「午前中の会議が終わったと思ったら、兵が来たからね――。まだだよ」
「もー師匠は、レンさんにまで迷惑かけて――」
「だが、あるるのサンドイッチを、食べ事が出来るのだからそっちの方がいいだろ」
「そうだね、あるるさんの料理は、どれも美味しいかなね」
レンは笑顔で同意する。レンさんは、あるるさんとも親しい間柄の様だ。
「そうだろうとも」
いつもは、少し仏頂ずらのぬいぬいは、笑顔でそう言った。あるるさんのサンドイッチは、イチゴジャムのサンドイッチ、ハムとチーズサンドイッチやポテトサラサラダのサンドイッチまでいろいろあった。
「師匠は、何を手伝ったの? 」
オリエラは、美味しそうにサンドイッチをほおばりながら、ぬいぬいに問いかけた。
「イチゴジャムのとポテトサラダを手伝ったんだが……あれじゃないか?ポテトを蒸かして、柔らかくして、他の材料を入れる工程で……魔法の配合について考えるだよなぁ……何故か」
「まぁあるるも慣れたもので、すぐ魔法の事考えていたでしょう? って最近は言うんだが……」
「水に火を混ぜると水蒸気になるけれど、植物系の魔法でじゃがいもをこうやりつつ、他の属性の魔法で美味しくなるけど、それを何か攻撃ないし、サポートの活かす事出来ないものか……」
ぬいぬいは、ポテトサラダのパンを片手でつまみ上げ、目の前にかかげながら方向を何度も変えながら観察したのちに、かぶりついた。
「師匠その話は、何度も聞いたけど……師匠は、戦場の土壇場で実験するタイプだから怖いよ」
と、オリエラの呟く声が聞こえた。
レンさんも美味しそうに食べてはいたが、時々物思いにふけっている。
「会議と言うのは、僕についてですか?」
「まぁそうだよ、ハヤト」
「君を、どう有効利用するべきかについて話されている」
「いままで魔王が攻めて来る事がなく、そこで安心するのは浅はかだが……」
「下手に魔王を刺激したくないって言うのが、だいたいの意見だ」
「でだ、君の意見を聞きたい。」
「まぁご期待にはそえないと思うが、噛み合う部分もあるだろう」
僕はどこまで話すべきか迷った。すべてを話すのは、僕や魔王にとって良い事ではないだろう……。
出来たら、こちらの世界の魔界と人間界の関係については、あまり関わりたくない……。
何て言えばいいのか思いつく言葉が見つからなかった。
つづく
ぬいぬいは、兵士に外出したいと伝えると――。
「兵士は、しばらくお待ちください」
といい城の方へ、走って行ってしまった。
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と言うとオリエラが言うと「いや」と頭の後ろで腕組みし暇を持て余したようぬいぬいが答える。
「し――しょう……私の外出許可だけで、三日はかかるのに……ハヤトも一緒じゃ、今日は絶対無理だよ」
オリエラを頭を抱えて座り込んだ。その後、ぬいぬいとオリエラの軽口を聞いてると……。
トントン
不意に勇者の間の扉が、ノックされた。
「はい!はい!」
オリエラが僕より先に、扉を開けて顔を出す。
「おい……オリエラ……」
ぬいぬいが呟く。扉の先にはレンがいた。
「オリエラ王女、相手が誰かわからない内に、扉を開けのは危ないですよ」
「そしてそもそも、ここはハヤトの部屋です。王女であるからこそ、ハヤトの事も尊ばねばなりません」
「はい」と、オリエラは言うと……。
「ハヤト、ごめんなさい」
彼女は頭を下げて謝った。
「俺は、謝る程の事じゃないと思うぜ」
ぬいぬいが声をあげる。
「王女が簡単に謝ると、王女を侮る者が出てくる」
「師匠……」
「だから、人の部屋で勝手にやるな」
「はい……」
「だが……」
「俺はお前の師匠だから、お前が俺に勝手やっても半分は許してやる」
「こいつはお前の弟弟子だから、お前がこいつの面倒をみてやる分には、構わないじゃないか?」
「もしくはお友達って奴だ」
「なっ!ハヤト」
そこで、みんなの視線が僕に集中した。
「姉弟子、よろしくお願いします」
と、言って僕が頭を下げると……。
「姉弟子って言い方は可愛くないよ――」
「贅沢いうな」
「可愛さは大事だよ――」
と、また二人は軽口を、いい始めるのだった。そんな二人のやり取りを見ていると……、ぬいぬいとオリエラは、なんやかんやでいいコンビだと、僕は思った。
「ところで、レンさんは何故こちらに?」
「君達が、外出したいと言ったから、私がお目付け役に選ばれたよ」
「お前それを早く言えよ、まぁいい行くぞ!」
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馬車の用意などは、レンさんが手配していたらしくスムーズに出発する事が出来た。
「おい、レン昼食はとったか?」
「午前中の会議が終わったと思ったら、兵が来たからね――。まだだよ」
「もー師匠は、レンさんにまで迷惑かけて――」
「だが、あるるのサンドイッチを、食べ事が出来るのだからそっちの方がいいだろ」
「そうだね、あるるさんの料理は、どれも美味しいかなね」
レンは笑顔で同意する。レンさんは、あるるさんとも親しい間柄の様だ。
「そうだろうとも」
いつもは、少し仏頂ずらのぬいぬいは、笑顔でそう言った。あるるさんのサンドイッチは、イチゴジャムのサンドイッチ、ハムとチーズサンドイッチやポテトサラサラダのサンドイッチまでいろいろあった。
「師匠は、何を手伝ったの? 」
オリエラは、美味しそうにサンドイッチをほおばりながら、ぬいぬいに問いかけた。
「イチゴジャムのとポテトサラダを手伝ったんだが……あれじゃないか?ポテトを蒸かして、柔らかくして、他の材料を入れる工程で……魔法の配合について考えるだよなぁ……何故か」
「まぁあるるも慣れたもので、すぐ魔法の事考えていたでしょう? って最近は言うんだが……」
「水に火を混ぜると水蒸気になるけれど、植物系の魔法でじゃがいもをこうやりつつ、他の属性の魔法で美味しくなるけど、それを何か攻撃ないし、サポートの活かす事出来ないものか……」
ぬいぬいは、ポテトサラダのパンを片手でつまみ上げ、目の前にかかげながら方向を何度も変えながら観察したのちに、かぶりついた。
「師匠その話は、何度も聞いたけど……師匠は、戦場の土壇場で実験するタイプだから怖いよ」
と、オリエラの呟く声が聞こえた。
レンさんも美味しそうに食べてはいたが、時々物思いにふけっている。
「会議と言うのは、僕についてですか?」
「まぁそうだよ、ハヤト」
「君を、どう有効利用するべきかについて話されている」
「いままで魔王が攻めて来る事がなく、そこで安心するのは浅はかだが……」
「下手に魔王を刺激したくないって言うのが、だいたいの意見だ」
「でだ、君の意見を聞きたい。」
「まぁご期待にはそえないと思うが、噛み合う部分もあるだろう」
僕はどこまで話すべきか迷った。すべてを話すのは、僕や魔王にとって良い事ではないだろう……。
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