魔王がやって来たので

もち雪

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新たな仲間

主と執事

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 僕とぬいぬいは、朝食を食べ終わりお皿をキッチンに、持って行くとルイスさんはノートを、片手に調理場の備品のチェックをしていた。彼は、僕らが皿を手に持っているのをみつけると、素早くポケットにノートをしまい足取りもエレガントに僕の元までやってくる。

「わざわざありがとうございます、お皿をお持ちいたします」

「ありがとうございますルイスさん、ですが……僕はここに、いつまでも居るわけではないので、出来る事はやらせてください」

「出来ない事も、教えてくれると助かります」

「いえ、その必要はございません」

「旅には、私もご同行いたしますので」
 
 ルイスさんは、喫茶店へ行くような気軽さのもの言いと、笑顔で言った。

「もしかして、お前はアルト家の一族なのか? 」

「はい、その通りでございます」
 
 彼はにっこり微笑む、少し考える仕草をしてから……。

「お皿を洗おうとお考えの所、恐縮ですが……」

「今後の事もございますし……お二人には一度、応接室お戻りいただき、今後について確認などいたしましょう」

「さぁさぁ……」
 そう言ってルイスさんは、かす様に僕たちを応接室に連れて行った。僕とぬいぬいが、長椅子のソファーにすわる。

「ルイスさんも、どうぞ座ってください」
 
 そう言うと彼は、一人がけのソファーに座った。

「まず、私から話しても? 」
 
 ルイスさんは、手袋をつけた手を胸当て聞く。

「はい、よろしくお願いします」

「後、ここへ来たばかりの僕にもわかりやすく、話して貰っていいでしょうか?」
 
 僕がそう言うと、ルイスさんは少しクスっと笑う。

「では、まずハヤト様」 

「はい」

あるじ様」

「はい?」

「ハヤト!」

「はい???」

 ぬいぬいが、少しあちゃ~って顔をする。

「失礼ですが、ハヤト様はもっと勇者らしくされた方がいいのでは? 」

「相手を対等に見るのはいい事ですが、相手につけ入る隙を与えてはいけません」

 ルイスさんは、生徒をさとすように言う。

「あ……そうですね」

「勇者の様な中心いる、立ち位置にあまり慣れていなくて、合わない人間から一度位、嫌な目にあっても仕方ない。でも、今後幾度も合わない人間であれば相手から離れればいい。学業などで付き合う間柄なら、うわべだけの付き合いでいいやと思ってました」
 僕は、告白じみた会話をする。

 ぬいぬいは少し顔をしかめるが、二人は黙って聞いている。

「でも、基本は変えるつもりはないのです、僕がこうありたいから」

「しかし相手を見て譲れない時は譲らない、そこは頭に入れます」

「不都合な事は言ってください、出来ない事もありますが……」

「話を聞く努力はしたい」

「そしてルイスさん……ルイス……」
 何故か僕は、手で自分の顔をおおっている。

「僕の事は、呼びやすければハヤトと呼んでください」

「はい、わかりましたハヤト様」
 (さすが出来る執事、そこはやはり様付けなんだ……)

「大丈夫だアルト、こいつは好きな子の為に異世界を越えてきた」

「こんなにつけ入る隙しか、無い奴も居ないが――」

「好きな子の為に、異世界へ来る奴もそういない」
 
「しばらく大人は、こいつの成長を見守るとしょう」

「ぬいぬい様……」
 ルイスは、ぬいぬいを見守る。

 出来る執事は、気持ちを態度に表す事はしない。

(それが、小2に見えるぬいぬいの大人発言でもだ……)

       つづく 
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