47 / 292
新たな仲間
由緒正しい、勇者に寄り添う執事の一族
しおりを挟む
「ところで、アルト家ってなんですか? 」
僕は先ほどの話を思い出し、ぬいぬいとルイスに聞く。
「アルト家につきましては、人間界に伝わる昔話の1つに勇者の話がございます。時代、時代に、いろいろな勇者のパーティが結成させますが……。その中で勇者の先導役としてある、ある家系の若者が毎回派遣されます、その歴代の人物の家名がアルトなのです」
「異世界から来られたちょっとアレな勇者の皆さまが、国民の皆様ともめる事がないように、プロデュースしていくのがアルト家の仕事となっております」
(ちょつとアレ……)
ルイスさんの言う事は、わからない事ではないが……アレか……。
この世界について、わりかし予想する事の出来る僕でさえ、家事などから日常のあらゆる事には、少しの不便はあるのだから……勇者パーティーに船頭は必要かもしれない。
「あの……貴方の依頼主は、誰ですか? 」
「貴方の一番優先すべき、命令は誰の命令ですか? 」
魔界に入れば魔王が迎えに来るてはずになっている、その事について事前に話しておく必要があるが……。魔王の手先として、無駄に牢屋に入るのはいやなので一応聞いてみる。まぁ……嘘を言われても、こちらとしてはわからないわけだが……念のため。
僕の質問に対して、ルイスは、眉1つ動かさず――。
「それはお答え出来ません」
と、笑顔で答えた。
「お前……」
ぬいぬいは、少し凄んでみせたが、ルイスは素知らぬ顔だ。僕も少し困ったが、わからない事が多すぎて、不便があるのは明らかなので彼を受け入れる事にした。
「わかりました」
「では、よろしくお願いします ルイス」
「はい、かしこまりました、ハヤト様」
ルイスは、にっこり笑う。
ぬいぬいは、少し成り行きが気に入らないようで……。
「おい、ハヤト少しは考えろ」
「ぬいぬい、彼の様な昔から居る由緒ある一族を動かせるのは、大きな権力を持ったわずかな人達だと思うの、であえて彼らの意思に逆らうのは良い選択ではない気がします……」
「それにレンも彼の件について一役買っているなら、僕が下手な事をしなければ当分の間は彼は心強い味方です。だから大丈夫だと思うんですよね……」
(まぁ魔王と僕の関係を知られれば悪くすると、……僕の頭と胴体がさようならだが)
「お前に考えがあるのならいいが、仲間以外をそばに置くのは褒められた事ではない」
「特に冒険者なら尚更だ」
「心にとめます」
冒険者のぬいぬいの意見は、もっともだが……出来たら、フィーナの実家について商い、本家、と言う知識がない部分について、執事の立場から意見も欲しかった僕にとってルイスは逃がしたくない人材だった。だからこの賭けに乗るのも悪くないと考えた。
「いろいろな不具合もございますでしょうが、私のここでの主はハヤト様です」
「ここでの執事業務について、お話しても良いでしょうか? 」
ルイスは、執事としてやるべき事をこなしていく。
「お願いします」
「私はここに居る間は、この屋敷の執事にあてがわれた部屋に住むことになります」
「料理などは、今までと同じように城の調理場から運んでまいります」
「そこで、問題です」
「お城には使用人がいるのですが、皿など割れますと使用人が責任を負う場合がございます。なにぶん勇者様にお出しする皿は、どれも高級品ですので……」
「あぁ……」
そこまで聞いて僕は声をもらした。
「軽率でした……そこまで考えていませんでした」
「冒険者、勇者様方々がお茶やお菓子を、気軽に召し上がりたいのはわかります」
「そちらのお皿だけでも、街でお買いになるのはいかがでしょうか? この屋敷の維持費で賄う事も可能です」
「街での購入も……もう行動の制限は、解除されたのですか? 」
「はい、そう聞き及んでおります」
「おぉ~!」
「ぬいぬい! なんか凄い」
「そうか、良かったな」
今まで、この屋敷と訓練の往復だったのやっと始まる本格的な異世界生活に、僕は歓喜した。
「出来たら、旅で使える食器がいいんですよね」
「今の所、魔法使いのオリエラと執事のルイスとまだ半人前の……僕……」
言葉にすると不安なパーティメンバーだった。
「オリエラは、魔法剣士だ」
ぬいぬいの声が飛ぶ。
「ぬいぬいは、旅には行かないの? 」
「おれは、まだ正式には産休中だ」
「目的にも決まってないのに、行くわけがない」
ぬいぬいは、クッションに背中をあずけ、頭の後ろで腕を組んでいる。
ぼくは、人差し指を3で、折り曲げたまま首をグギギギと、ロボットの様に動かしルイスの方を向く。
「ルイスのジョブは? 」
「秘密です」
ルイスは、口元に指を一本立ててにっこり言った。
「あぁ――」
僕は、頭を抱え……。
「ルイス……」
ぬいぬいは、呆れている。うちのパーティーはだめかもしれない……。
つづく
僕は先ほどの話を思い出し、ぬいぬいとルイスに聞く。
「アルト家につきましては、人間界に伝わる昔話の1つに勇者の話がございます。時代、時代に、いろいろな勇者のパーティが結成させますが……。その中で勇者の先導役としてある、ある家系の若者が毎回派遣されます、その歴代の人物の家名がアルトなのです」
「異世界から来られたちょっとアレな勇者の皆さまが、国民の皆様ともめる事がないように、プロデュースしていくのがアルト家の仕事となっております」
(ちょつとアレ……)
ルイスさんの言う事は、わからない事ではないが……アレか……。
この世界について、わりかし予想する事の出来る僕でさえ、家事などから日常のあらゆる事には、少しの不便はあるのだから……勇者パーティーに船頭は必要かもしれない。
「あの……貴方の依頼主は、誰ですか? 」
「貴方の一番優先すべき、命令は誰の命令ですか? 」
魔界に入れば魔王が迎えに来るてはずになっている、その事について事前に話しておく必要があるが……。魔王の手先として、無駄に牢屋に入るのはいやなので一応聞いてみる。まぁ……嘘を言われても、こちらとしてはわからないわけだが……念のため。
僕の質問に対して、ルイスは、眉1つ動かさず――。
「それはお答え出来ません」
と、笑顔で答えた。
「お前……」
ぬいぬいは、少し凄んでみせたが、ルイスは素知らぬ顔だ。僕も少し困ったが、わからない事が多すぎて、不便があるのは明らかなので彼を受け入れる事にした。
「わかりました」
「では、よろしくお願いします ルイス」
「はい、かしこまりました、ハヤト様」
ルイスは、にっこり笑う。
ぬいぬいは、少し成り行きが気に入らないようで……。
「おい、ハヤト少しは考えろ」
「ぬいぬい、彼の様な昔から居る由緒ある一族を動かせるのは、大きな権力を持ったわずかな人達だと思うの、であえて彼らの意思に逆らうのは良い選択ではない気がします……」
「それにレンも彼の件について一役買っているなら、僕が下手な事をしなければ当分の間は彼は心強い味方です。だから大丈夫だと思うんですよね……」
(まぁ魔王と僕の関係を知られれば悪くすると、……僕の頭と胴体がさようならだが)
「お前に考えがあるのならいいが、仲間以外をそばに置くのは褒められた事ではない」
「特に冒険者なら尚更だ」
「心にとめます」
冒険者のぬいぬいの意見は、もっともだが……出来たら、フィーナの実家について商い、本家、と言う知識がない部分について、執事の立場から意見も欲しかった僕にとってルイスは逃がしたくない人材だった。だからこの賭けに乗るのも悪くないと考えた。
「いろいろな不具合もございますでしょうが、私のここでの主はハヤト様です」
「ここでの執事業務について、お話しても良いでしょうか? 」
ルイスは、執事としてやるべき事をこなしていく。
「お願いします」
「私はここに居る間は、この屋敷の執事にあてがわれた部屋に住むことになります」
「料理などは、今までと同じように城の調理場から運んでまいります」
「そこで、問題です」
「お城には使用人がいるのですが、皿など割れますと使用人が責任を負う場合がございます。なにぶん勇者様にお出しする皿は、どれも高級品ですので……」
「あぁ……」
そこまで聞いて僕は声をもらした。
「軽率でした……そこまで考えていませんでした」
「冒険者、勇者様方々がお茶やお菓子を、気軽に召し上がりたいのはわかります」
「そちらのお皿だけでも、街でお買いになるのはいかがでしょうか? この屋敷の維持費で賄う事も可能です」
「街での購入も……もう行動の制限は、解除されたのですか? 」
「はい、そう聞き及んでおります」
「おぉ~!」
「ぬいぬい! なんか凄い」
「そうか、良かったな」
今まで、この屋敷と訓練の往復だったのやっと始まる本格的な異世界生活に、僕は歓喜した。
「出来たら、旅で使える食器がいいんですよね」
「今の所、魔法使いのオリエラと執事のルイスとまだ半人前の……僕……」
言葉にすると不安なパーティメンバーだった。
「オリエラは、魔法剣士だ」
ぬいぬいの声が飛ぶ。
「ぬいぬいは、旅には行かないの? 」
「おれは、まだ正式には産休中だ」
「目的にも決まってないのに、行くわけがない」
ぬいぬいは、クッションに背中をあずけ、頭の後ろで腕を組んでいる。
ぼくは、人差し指を3で、折り曲げたまま首をグギギギと、ロボットの様に動かしルイスの方を向く。
「ルイスのジョブは? 」
「秘密です」
ルイスは、口元に指を一本立ててにっこり言った。
「あぁ――」
僕は、頭を抱え……。
「ルイス……」
ぬいぬいは、呆れている。うちのパーティーはだめかもしれない……。
つづく
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
「お前の戦い方は地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん、その正体は大陸を震撼させた伝説の暗殺者。
夏見ナイ
ファンタジー
「地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん冒険者アラン(40)。彼はこれを機に、血塗られた過去を捨てて辺境の村で静かに暮らすことを決意する。その正体は、10年前に姿を消した伝説の暗殺者“神の影”。
もう戦いはこりごりなのだが、体に染みついた暗殺術が無意識に発動。気配だけでチンピラを黙らせ、小石で魔物を一撃で仕留める姿が「神業」だと勘違いされ、噂が噂を呼ぶ。
純粋な少女には師匠と慕われ、元騎士には神と崇められ、挙句の果てには王女や諸国の密偵まで押しかけてくる始末。本人は畑仕事に精を出したいだけなのに、彼の周りでは勝手に伝説が更新されていく!
最強の元暗殺者による、勘違いスローライフファンタジー、開幕!
婚約破棄&濡れ衣で追放された聖女ですが、辺境で育成スキルの真価を発揮!無骨で不器用な最強騎士様からの溺愛が止まりません!
黒崎隼人
ファンタジー
「君は偽りの聖女だ」――。
地味な「育成」の力しか持たない伯爵令嬢エルナは、婚約者である王太子にそう断じられ、すべてを奪われた。聖女の地位、婚約者、そして濡れ衣を着せられ追放された先は、魔物が巣食う極寒の辺境の地。
しかし、絶望の淵で彼女は自身の力の本当の価値を知る。凍てついた大地を緑豊かな楽園へと変える「育成」の力。それは、飢えた人々の心と体を癒す、真の聖女の奇跡だった。
これは、役立たずと蔑まれた少女が、無骨で不器用な「氷壁の騎士」ガイオンの揺るぎない愛に支えられ、辺境の地でかけがえのない居場所と幸せを見つける、心温まる逆転スローライフ・ファンタジー。
王都が彼女の真価に気づいた時、もう遅い。最高のざまぁと、とろけるほど甘い溺愛が、ここにある。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる