魔王がやって来たので

もち雪

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王の命

行き場のない思い

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 昨日の夜、夕食を食べた後、オリエラを魔法学校まで送ってから帰ってきた。

 異世界の風景が、本当に思い描いていた、イギリスのようだったので、食事中も合わせて5,6回は、フィシュアンドチップスと言っていた様で……。そんなに好きななら、おみあげにもって帰ればいいとぬいぬいに言われ持って帰った。そのフィシュアンドチップスも昨日の内に美味しく食べてしまった。

 そして胃もたれで、今朝早くに目が覚めた。油物は、普段食べないのに結構食べたからな……。だが、ここは本当のイギリスではないので、本場の味とはどう違うからか未定のままだ。まぁ……美味しかったからいいか……。

 さっさと高校の時にジャージを着て、城の中を歩く。朝早くなのに多くの兵士達とすれ違う。城の中は迷路のような仕組みなのだが、娯楽のない異世界で暇な時に走っていたら近場の道は、だいたいの道は覚えてしまった、それと共に知り合いの兵士も増えてきた。走り終えて帰宅すると、水のシャーワーを浴びるつもりで蛇口をひねると丁度いいお湯加減のお湯が出た。ルイスが、沸かしてくれたのだろうが、出ていく時、気付かれたのだろうか?謎だ。

 そろそろ朝食にも、いい時間なり――。
「朝食の準備が出来ました」と、ルイスが、呼びに来る。ぬいぬいも彼に呼ばれてやって来た様だ。
「「おはよう」」
 
「ルイス、なんか手伝う事あるか?」
 
「用意は、もう終わりなので、座っていていただいて差支さしつかえありません」
 
 ぬいぬいは、普段は、そんな事言わなさそうなに……その気遣いに少し僕は、びっくりした。これが、既婚男性と言うものなのだろうか……。もしや異世界では、それが普通なのだろ……そこで、魔王を思い出してハッとした。これは……いや、焦るのはまだ早い、時間は十分にあるのだから……あっ、あったら駄目だ……。

 僕はフィーナと会うため為に、早く魔界に行かなければ……すべれはそれからでも、いいはず!

 今日の朝食はシリアル、トマト、卵、ウインナー、なんだろう……野菜?を食べる。昨日の食べ過ぎたのを考慮こうりょされているのか、いつもより少なめだ。

「王の体調は、あまりよくない様だなあ」

「そうですね、聖女様も教会から毎日こちらに、おいでになるようですが……なかなか体調は良くならない様です」

「ヴ……ン」
 
 ぬいぬいは、少し考えこみフォークが止まる。王と言うのはオリエラの父親なのだろう。彼女を辺境の故郷から連れ出して、会う事もままならないとは、いったいどうなっているのだろうか?
 僕の中で、フィーナとオリエラの立ち位置が重なって思えた。でも、これは、僕の悪い癖でこれ以上、この国の事情に立ち入るべきではない。

 でも、本当にそうなのだろうか? ここにいる間だけ、でもやる事はあるはず。

 ぬいぬい、そう言いかけて口をつぐんだ……。だぁ――――とりあえず、魔法練習を…………。

「ぬいぬい、僕に出来る事は何かありますか? ここにいる間だけでも、食べた分は働きますよ!」

「お前にさせる仕事は、ギルドでも、ここでもまだない。事を焦るな、使える様になった使ってやる。おれは、弟子に取った奴を、見捨てはしない。例え、レンに無理やり頼まれた弟子でもな」

「じゃ――使える奴、てのになってやりますよ。絶対! これは、もう完成されたイメージです。誰にも壊させません」

「張り詰めた糸は、いつか切れるぞ」
 ぬいぬいが、紅茶に砂糖を入れてかき回す。僕の話を受け流すように……。

「そうですね。でも、そこから始めないと……僕は、いけないんです」

「ハヤト様、こんな話を知っていますか?」今まで、沈黙を守っていたルイスが、突然話に加わる。

「王の病は、ある一族からの呪いであると言う噂があるのです。その呪いを、解くには聖女の癒しが必要なのです……。しかし王には、聖女の癒しを受け入れるだけの体力はない。ですが、呪術を、使う人物にはそれを誰かに移し替える事は可能なのです」

「しかしそれを試した死刑囚は死に、呪術は王に戻って行きました。……なら、この人間界で最強と言われる勇者に、呪術を移し替えたならどうなるのか?と言う話なのですが」

 僕は、食べていたナイフを、皿に置いて動けなくなった。

「何故、お前は、今、ここでその事を言った!こいつにそんな重荷を背をわせてどうするんだ!」
 遠く、で、ぬいぬいの声が聞こえる。あんな事を言うべきでは、無かったんだ……何故いってしまったんだろう。

 でも……。
 
       つづく
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