魔王がやって来たので

もち雪

文字の大きさ
67 / 292
王の命

大豆をたべる?

しおりを挟む
「おはようございます」朝から、ルイスの笑顔は眩しい。

 この国には喧嘩により傷については、重大な怪我以外、回復魔法で直してもらう事は出来ないらしい。だから、僕はまだまだ傷の痛みが引かない。
 まぁ身内や友達などが、治す分には良いらしいが……。
 
「ルイス、もしかして回復魔法も、出来るの?」

「はい、もちろんでございます」
 なるほど、そういう事か……。

「ルイス、僕の傷も治して、国の決まりですから……とか、友達でしたっけも無しで、オチがかぶるとおもしろくないし、僕達友達でしょ?」
 
 僕の言葉に「それは、困りましたねぇ」と言って治してくれたけれど……どう困るのか聞きたい。やはりふりで言っている?。

 ぬいぬいは、昨日の僕達のばか騒ぎに呆れつつ――。

『明日はあるるとアルトを迎えに行くので、朝早つから何とかしとけよ』と言っていたのでもういないだろう。

「ぬいぬいは、出発する時何か、言ってた?」

「そうですね……『あいつもつらいんだから、いろいろ言ってやるな』と、言っておられました」

(ぬいぬい……)ぬいぬいの優しさが、身に染みる。

「なので、『ハヤトに、そんな甘やかしは、不要です』と、お答えしました。さぁ――今日も王を救うためのにえになって、うっかり死なない様に、今日もがんばりましょう!」

「僕は、ルイスの笑顔が見られてうれしいよ……」

「そうですか? 照れますね。 ハハハハ」

 僕達は、一緒に朝食を食べた。 ルイスは、始終この調子だった。僕は、やばい眠れる獅子を起こしてしまったかもしれない。僕達は、片づけを終えると、城から出て結構な距離を、ルイスに先導されて走らされた。
 
「ここでいいでしょう」と、ルイスが言った場所は、ただの空き地だった。そこで、僕はルイスに担がされた荷物をおろすと、畑仕事の道具が置かれていた。なんだろう……凄く既視感がある。どこで、見た事あるんだろう……。しかし、ルイスの言葉ですぐに思い出すことになる。

「ここに畑を作っていただきます! はい」
 渡されたのは、大豆だった。あ……思い出した。テレビや動画で、見た事ある風景だった。ルイスが、仕切るとスローライフではなく、敏腕プロデューサーにしか見えない。

「ぬいぬいには、大豆を発芽、成長させて、それを応用する回復魔法……つまり今日、私が致しました回復魔法を、覚える訓練をするように言われましたが……」
 ルイスのちょっと切なげな、短いタメが入った。

「それだけでは、おもしろくございませんので、基礎体力をあげる為、畑作りをいたしましょう! 茹でたえだまめ美味しいですよ」

 ルイスのえだまめのところで、僕は雑草刈りを始めた。ちらっとみた、ルイスは、それはそれで、満足そうだった。 『落ち葉拾い』で、有名なミレーの作品にの中にある。鎌に柄が長くそこから持ち手の金具の棒が出る感じに止められている、あれによく似た鎌で草を切る。足を、きりそうで怖いし、すぐ腰も痛くなったが、もくもくとこなした。ルイスも半分やるが、すぐ終わり、日傘の下に居て、水分補給、昼食、ティータイムの時間をこまめに知らせてくれる。次に根っこを切る道具を貸してくれどんどん進むが、畑を耕す途中で、終了になった。なんとか帰り着くと、シャワーを浴びて、長椅子にのソファーに座ったのは覚えてるが……。


 気付かない内に、魔法を使わないで回復魔法の訓練の1日目はおわっていた。


          つづく
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

「お前の戦い方は地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん、その正体は大陸を震撼させた伝説の暗殺者。

夏見ナイ
ファンタジー
「地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん冒険者アラン(40)。彼はこれを機に、血塗られた過去を捨てて辺境の村で静かに暮らすことを決意する。その正体は、10年前に姿を消した伝説の暗殺者“神の影”。 もう戦いはこりごりなのだが、体に染みついた暗殺術が無意識に発動。気配だけでチンピラを黙らせ、小石で魔物を一撃で仕留める姿が「神業」だと勘違いされ、噂が噂を呼ぶ。 純粋な少女には師匠と慕われ、元騎士には神と崇められ、挙句の果てには王女や諸国の密偵まで押しかけてくる始末。本人は畑仕事に精を出したいだけなのに、彼の周りでは勝手に伝説が更新されていく! 最強の元暗殺者による、勘違いスローライフファンタジー、開幕!

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

処理中です...