魔王がやって来たので

もち雪

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王の命

ルイスの手腕が、発揮される

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 農家の朝は早い。
 僕の昨日寝たのは遅い。ルイスは、早朝に旅立ったはず。なら、今日の起床は、遅いだった。

 でも僕の一日は、いつもの時間に勇者の間を警備するシルスが、連れて来た氷の魔法を使える兵士の氷魔法で、キンキンに冷やされるところから始まった。

 ヒャ――――!「ファ!? どうしたんですか? シルスさんとコルラさん? へっ違う? それはすみません!」
 
 僕は、歯ガタガタ言わせてあまりうまくしゃべれず、両手で体をさすっている。

「あの――ルイス様が、今朝、『ハヤト様は、何も言わないのですが、日焼けで苦しんでおられる様です。治療で傷は癒えましたが、世界が違うためそれだけでは効かないようです。勇者様の強靭な肉体を、わかりやすく冷やしてあげてください。気がねしない様、寝てるうちに……』と、言って出発されましたので……」

 ははん――これは、僕は、いろんな意味で殴り過ぎてしまったのではないだろうか……。いや、無いな。拙い希望にすがるのは辞めて支度をしょう。

 シルスさんとお連れの兵士さんには、「ルイスさんは、僕が勇者な為か、先回りして過剰に過保護で困ってしまう部分もあるんですよね……」と言っておいた。これは、勝敗には、関係ないだろうが……。ルイスさんへの嫌がらせで、僕が出せる最善の一歩だ。

 ご飯は美味しい。まぁだいたいいつもと変わらないが。今日は、なんのジャムだろう。美味しい。

 食べ終わって皿を洗い干しておく。

 着替えて、ぬいぬいの奥さんが買ってくれた麦わら帽子に、日焼け止め塗って、ほっかむりしたタオル結んで、鏡で見る。
(これは、面倒な事になりそうだ……)

 と、思いながら扉から出たらすぐ、玄関でシルスさんに、捕まった。
「どうしたんですか? 勇者様」

(せめて、いつも通り、ハヤト様と言って欲しかった……今、勇者の称号は重い……)

「今から苗に、回復魔法をかける訓練を……」

「えっ? その恰好で、ですか?」

「えっ?……あ……です。その後に、畑仕事があって……」

「えっ?」

「え?」

「ルイスが、魔法訓練と基礎体力を作る訓練に畑を……」

「えっ……畑仕事で……基礎訓練ですか……」

「ほら……ルイス凄く過保護だから……ハハハ」

「過保護凄いですね……」

「そうなんだ……過保護が執事やってるような人だから……で……たぶん、今後すぐに兵士に、止められると思うので、すぐ通れる様になんか一筆、書いて貰っていい?」

「ハッ!了解しました」

 シルスさんは、すぐ一筆書いてくれた。

「どうぞっ」

「ありがとうございます、では、行ってきます」

 数歩進んでメモを、見てみる。『訓練中にて、勇者様に何も聞かないであげてください シルス』

(シルスさん……)なんだろう、シルスと会話中僕のキャラが、少しぶれたがまあそこは仕方ないだろう。

 今日の第一関門は、抜けた感が強い。と言うわけで、門の兵士に、メモを見せがてら聞いてみたところ、プランターは、兵士の練習場に運搬されているようでそちらに向かう。

 着いた先に大量のプランターがあり、腰を痛めない様に配置して次々とこなしていく。途中で、魔力回復のサラダ(ほぼ草)が、出てそれをモキュモキュ無言で食べる。それが、食べ終わったら次は、食堂のおばさんが、魔法薬飲み物(レモン味)をくれた。少しずつ飲んで、もう今は居ないルイスに、問いかける。(楽しんでいただけましたか?)ルイスの居る魔法学校どうせ届かない、ので、ゴミをゴミ箱に入れたら残りの苗ももう少しだ……頑張ろう。

    つづく
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