魔王がやって来たので

もち雪

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王の命

せいぞろい

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 午後のティータイムの紅茶を楽しんでいると、家のチャイムがなりぽかーんとしている。無理やり呼び出していたミッシェルに「お客様のドアを開けるのは、貴方の仕事ですよ」と、マフィンのバターナイフ片手にルイスが凄む。
 
「すぐドアを開けると、貴方が死ぬことになるかもしれませんから、鏡でちゃんとお客様の顔を確認してください」
と、言う言葉も忘れない。

 玄関の扉を開けるだけで死の恐怖がある職場など、まっぴらごめんなのだが……ミッシェルの教育方法として、ルイスそういう選択をしたのだろう……。ウンディーネは、この館の女主人として出迎える事に余念がない、タンスの上に置かれた鏡を相手に忙しくやっていた。

 廊下を歩く、バタバタとした足音と装備に付けられた微かな金属音がで、彼らが誰だ変わる。扉を開けたルイスの後ろから、オリエラとぬいぬいが登場した。ミッシェルもさすがに自国の王女とその師匠の二人は、無礼は出来ないどころか借りてきた猫だ。

「では、およびがあるまで、隣の部屋に控えています」わぁ……ミッシェル敬語も、いける口だった。

「顔合わせの意味合いもあるので、ミッシェルとウンディーネは、長椅子へどうぞ」

「ぬいぬい、オリエラ来てくれてありがとうございます。」僕は、上座の暖炉前から立ち上がり、ふたりに声をかける。

 机の長い方の辺に、置かれた一人掛けの様にの椅子に座ったぬいぬいは、足を組み肘掛けに手を預けながら、ミッシェルとウンディーネを観察するのに余念がないく、ふたりに無礼な視線を送りながら――。

「こいつとオリエラに魔法を教えている、ぬいぬいだ。実践への要請はまだないので、このパーティーのメンバーと考えなくていい。まぁ、よろしく」

「オリエラです。以前方の師弟制度を、明日付で正式申請が通ったので、明日からよろしくお願いします」

「僕は――」と言いかけたミッシェルに、やはりすごい睨みを聞かせる、ウンディーネ。

主様あるじさまと、ずっと一緒にいる、ウンディーネです」

「すごーい、ハヤトのもとにウンディーネが現れたって聞いたけど、精霊の主従の契約もしたのですか?」

「はい……でも、契約が出来なくても、一緒そばにいる覚悟出来ました。」

 オリエラに聞かれて、頬をピンク色に染めて話すウンディーネだったが言ってる事は怖い……ストーカーである。

「凄――い! ウンディーネにそこまで好かれる秘訣って何かあるんですか?」

 さすが、勤勉なオリエラは、探求心からか僕の考えが及ばなかったところに目を向けていた。さすがのウンディーネもオリエラの疑問に答えてくれる様で、サラサラとした美しい髪が顔にかかるのも気にせずに考えている。

 その記憶に行き着いた様で、オリエラに顔を向ける。

「素敵な……。草花の甘い匂い……が、主様から、もちろん水中に多くいるから花の香についてはよく知らなかったけど、想像してた通り香りがを探しあてた時には、目の前に海のサンゴの様な色鮮やかな草花が見えた気がして……だからずっと側に居たくなってしまって、いつの間にかここに……」

「えっ……そうかな? 気づいた師匠?」

「いや、そもそも野郎の匂いを嗅ぐ趣味はない……ないが、ウンディーネと契約出来る匂いとなれば別だ、面白い発見の1つや2つ出てきそうで興味はある」

 ぬいぬいは、立ち上がり僕のところまでやって来ると、肩を抑えて後ろから頭の匂いを嗅ぐが……。

「これはあれだな魔法学校オリジナルの練術師達の作った、ジャンプとコンディショナーの香りだな……まぁ俺の頃より匂いは柔らかくなっているがな」

「じゃー私も同じの使ってるから……、ウンディーネこのボトルの匂い嗅いで貰っていい?」
 オリエラが鞄から小瓶を出してウンディーネに差し出す。

「いや」ウンディーネは、首をフルフル振る。ウンディーネは、そこまで優しくないのか、わけがあるのかわからなかったが嗅ぐのを拒んだ。

次はミッシェルの番だったが、彼は、「ミッシェルです」少し不貞腐れた様に、そう言った。だが、それについてあまり気にする人は、居ないのでそのまま話は、続けられる。僕は、ぬいぬいに経過報告をしなければならない。

「今日、初めて会った人達も居ますが、挨拶も済んだ事なのでこちらの進行を……大豆畑の大豆が育って来て通常の大豆の成長が同じ位になってきたので、後は添え木と、雑草を抜く、水やり、適当に木属性の魔法をかけるだけになりました。」

「なんの話なんだ?!」 ぬいぬいが驚いた様にいい。ルイスと僕を見比べる。それに、ついては長く話すとぐだぐだになりそうなので、次の話に無理やり移る。

「いろいろありまして……」実に便利な言葉だ。

「本、書かれていた5属性の水、炎、雷、土、風 及び木属性の魔法の訓練、魔法の組みたてをして2回の魔物討伐が終わっています」

「わかった。で、何故そんなに魔法訓練を急ぐ事になったんだ? あの話の事でか?」

 ぬいぬいしては、動揺しているようで始終頭を押さえている。僕は、彼をこれ以上驚かせたくないが……「2日続けてスライムによって死にそうになってしまい…やむおえず……」

「そうか、どういういきさつか知らねぇが、充実した毎日だったらしいなあ……じゃあ、これも渡しておく。強化スペルだ」
 魔法学校へ行ったあの日、書店で買ったあのヒスとヒエログリフを僕に差し出す。少しあの墨汁特有のあのカビ臭さにた匂いが、その巻物からする。

 その巻物を広げて見ると白昼の様に、赤と白の幾何学模様がまぶた?もしくは目を閉じるわずかな光の加減の時に見える。その中心に訴えかける様に文字はあるらしい、口に出来る様だ。だか、なんて書いてあるかわからない。
 ――……。
 僕はその文字が読めたらしい。魔法も僕の身のうちに刻まれたが……なんていったのかわからない。音の早回しの様な声が口から溢れたが――不明確。

「物理系の強化スペルは、覚えたらしいな。つぎは魔法の強化スペルだ。」
 魔法の強化スペルも同じだった。不明確。覚えた事は、わかる、使い方もわかる、覚え方だけがわからない。でも、覚えられたのだから良しとしょう。


   つづく
 
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