魔王がやって来たので

もち雪

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王の命

彼らの資質

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 勇者の間に戻った僕達は、4人目の同居人、ミッシェルに部屋が当てがった。さすがに、この時ばかりは、ミッシェルのテンションも上がって嬉しそうだった。

 応接室に座り、まず――。

「ギルドの身分証明カードを出してください。2人とも」

 僕は、見たがわからないので若干ルンルンで出した。それに、比べミシェルは……。

「ギルドカードに、ついては個人情報じゃないですか……駄目です。出来ません」
 カードを胸に収め首を振る、ミッシェル……。

「それが、無いとどんな勤務体制で働いて、いただくべきか決めかねます。勇者に関しては、半強制的に冒険者への転向が行われるのです。それは逆に勇者の権限でこの国の一部の国民以外を冒険者転向させる事も可能な事もご存じですよね? それが我が国の公平です」

「でも、僕は貴族としてオークランドの名を継ぐものですよ?」ミッシェルは、半泣きである。

「ミシェル オークランド様、失礼ですが私の正式名を言っていただいても?」ここで、ミシェルは黙ってギルドカードを差し出す。ルイスの方が爵位は上のはずだから。三人で、一緒に彼のカードを見たのだが……見方のわからない僕とウンディーネは、早々に脱落した。その変わりのミシェルに僕のギルドカードを読み解いて貰う……事は無理か……めちゃめちゃ凹んでいるし。

「ありがとうございました」ルイスが、ミシェルにギルドカードを返却した。

「どうでしたか?」僕が、ガブリ付きで聞く。「うーん、すべてに置いて普通でしたが、それだけ欠点が無いと言っていいとも思います。頑張って培われた結果だと思いますよ」

 ここで、ルイスは、一粒の涙を流す。「今までは、そんな事を言ってくれる人間などいませんでした……。僕の人生は、オークランドの名前が先にあって、どんなに頑張ってもお前は人並み程度じゃいけないと言われ……先生達や友達でさえ僕の事を、本当にミシェルとして見てくれる人はいませんでした……何故いつもまずオークランドで、兄たちと比べられ普通の僕が駄目なのか……そして何故貴方達は僕にそんなにこだわるのかわかりません……」そして彼は、彼の部屋へ帰って行ってしまった。

 僕は思った。貴族社会怖い。ミッシェルが、ルイスの言葉で明日には、もう仕方ないですねぇ系、後輩になりそうな勢いが怖かった。

「ルイス……」

「彼も今まで、辛かったんですね……。このまま一人にしておいてあげましょう……。よかったら、ハヤト後で、彼の話を聞いてあげてくれませんか? 僕だとやはり、貴族と言う事を意識させてしてしまうかもしれませんので……」

(ルイス、そんな事言う人じゃないので――逆に、怖――――い!)

「うん、わかった。(藪をむやみにつついてヘビを出さない様に……黙って)行くよ。」

「じゃ……次、これお願い」僕は、僕のギルドの身分証明カードを差し出す。

「あ――これは、嫌みなほどに魔力が高いですね――なんで、全部SSなんですか?木の属性の数値なんてはみ出してるし。ちゃんと人類で、ある事は意識してくださいね」

「で、物理系は何が一番いいのかな?」僕はルイスの言葉をあえて、聞き流す。

「剣と槍ですかね? あ……数値少し弱いですが、ムチいっときます? ベシベシットと?」

「数値が、弱いならいっときません。オリエラが、剣なら、さんすくみ的にに槍ですかね? 騎兵戦もあるだろうし」

「じゃ、それでお願いします」
 
「後、僕は人類です」

「そうですね、今のところはね。でも、貴方には人類を越えて戦っていただかなければならない日も来るでしょう。それまでに、時間がありません頑張って行きましょう」
 

「はい」僕が返事をすると、彼は「少し、失礼します」そう言って席を立つ。紅茶の用意をしに行ったのだろう……。ルイスが、想定している敵がなんなのかわからないが、頑張るしかないのだ。

        つづく
 
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