100 / 292
王の命
正義なんてどこにもない
しおりを挟む
ブラックアウト……お先真っ暗。
その先に、もっと深い暗闇があり。そこに老人がたたずむ。老人の足元に微かな光。両手を輪にしたくらいの大きさで、僕が、彼のもとに行くと彼は座り込みつつ池を見つめる。
「何が見えるんですか?」
僕は、後ろで手を組みそこには見知らぬ短剣を握っている。何故か、見なくてもわかる。蜘蛛の絵柄の鞘についた短剣だ。
「我が同胞達の死に逝く姿よ」
「それは、お気の毒に……」
「ほれ、あんな幼子まで殺されおる」
「…………貴方はあの子を弔わないのですか?」
「私には、まだやる事がある」
「あの子をあんな姿のままにしても?」
「そうだ、私は長とあの子の為に、アニス王を打たねばならぬ!」
彼は激昂し血の涙を流し僕に迫ってくる。いつからか現れた赤い月が、彼に光を当て彼を大きく映し出す。
そしてわかった僕の持っている短剣は、彼を殺す為の短剣。見も知らぬ老人を……。
……………………。
僕は、老人に剣を抜き鞘を投げ捨て、剣の柄を彼に差し出す。
「これで自害してくれませんか?」
彼は、僕を見つめ理解出来ないと言う様に、僕を見つめる。
「貴方がアニス王を殺すなら、あの子にとって貴方は罪をなす者だと思うからです。ここで終わるべきです。そうすれば貴方達とたもを分かった何処の子どもは生き残れるかもしれない」
「私にこのまま死ねと言うのか? 、そして長に会えと?!」
「貴方は、もう死んでいるでしょう! 会えるならそれで終わりすればいい。そしてあの子を抱きしめあの子を愛するだけの日々をおくればいい!」
「それは出来ない……」
月は、雲に隠れて、老人は暗闇の中に消えた……。
「もう……面倒だなぁ……」
「ハヤト!会いたかった」
フィーナが、僕の前に現れる。
柔らかそうな銀の髪に狐耳、はにかむ笑顔、僕を見つめる瞳は、金色で星より美しく輝く。
彼女の腰を抱くと、彼女は僕の頬を触り。
「泣いているの?」優しく呟きく。
「もちろん泣いています、会いたかったから」
彼女の手が、僕の首にまわる。二人の距離が、近くなる。
「主様、その人は誰?」
僕達の横には、ウンディーネが居て傷ついた目で、僕を見つめている。なんたる悪趣味……。
僕は、顔を覆って考えると、ドンっと背中に衝撃があり腰が冷たい……。そこには、フィーナが居て……。手には、さっきの短剣が……。
「あっ……もう……」
背中を触った手が、酷く血に濡れている……。
知らぬ間に僕の周りから、人が居なくなりふたたび暗転……。忙しいなぁ……。
「すまない……ここで、そのまま死んでくれないか?」
腰に、手をやりながら振り返ると先程の老人が……。
「死ぬわけないでしょう!?」
僕は、手を見る。僕は座り込む。
ヴゥ――ァ――アァ――!
短剣を引き抜く痛みの中、辺りに僕の声がこだまする、今ので大量の血を失った様だ。
回復魔法をかける。先程、剣が刺さった状態でこの世界でも、回復する事は出来た。
だが引き抜いた事で、大量の出血し、回復魔法をしても尚、ギリギリ死線の上踏みとどまる状態で、目の前が朦朧としている……。
老人は、デコイ、おとりである可能性が高い。
ある程度出血を抑えたら、魔法を組み立てる。
炎と細かい風。これが違ってたら後がない……
全ての魔力を使い、短剣を破壊する!!
短剣は、風と炎の力で、亀裂が入り粉砕された!! 辺りはそのカケラの輝きで、光り輝く。
僕は、王の間で飛び起きる。
「何故か、急に呪いが……」
聖女様が僕を見つめる。
「ほうほう、お主、自分で呪いを打ち破ったのだな?」
日いずる国の巫女様まで……、「あの……僕は、大丈夫なんですか?」
「うむ、心配ない。後は、わらわ達に任すと、良いぞ」
巫女様が、そう言うので、僕は安心してフィーナの夢を見る為に意識を手放す。今日なら彼女の会える気がする。
―― 暗転 ――
つづく
その先に、もっと深い暗闇があり。そこに老人がたたずむ。老人の足元に微かな光。両手を輪にしたくらいの大きさで、僕が、彼のもとに行くと彼は座り込みつつ池を見つめる。
「何が見えるんですか?」
僕は、後ろで手を組みそこには見知らぬ短剣を握っている。何故か、見なくてもわかる。蜘蛛の絵柄の鞘についた短剣だ。
「我が同胞達の死に逝く姿よ」
「それは、お気の毒に……」
「ほれ、あんな幼子まで殺されおる」
「…………貴方はあの子を弔わないのですか?」
「私には、まだやる事がある」
「あの子をあんな姿のままにしても?」
「そうだ、私は長とあの子の為に、アニス王を打たねばならぬ!」
彼は激昂し血の涙を流し僕に迫ってくる。いつからか現れた赤い月が、彼に光を当て彼を大きく映し出す。
そしてわかった僕の持っている短剣は、彼を殺す為の短剣。見も知らぬ老人を……。
……………………。
僕は、老人に剣を抜き鞘を投げ捨て、剣の柄を彼に差し出す。
「これで自害してくれませんか?」
彼は、僕を見つめ理解出来ないと言う様に、僕を見つめる。
「貴方がアニス王を殺すなら、あの子にとって貴方は罪をなす者だと思うからです。ここで終わるべきです。そうすれば貴方達とたもを分かった何処の子どもは生き残れるかもしれない」
「私にこのまま死ねと言うのか? 、そして長に会えと?!」
「貴方は、もう死んでいるでしょう! 会えるならそれで終わりすればいい。そしてあの子を抱きしめあの子を愛するだけの日々をおくればいい!」
「それは出来ない……」
月は、雲に隠れて、老人は暗闇の中に消えた……。
「もう……面倒だなぁ……」
「ハヤト!会いたかった」
フィーナが、僕の前に現れる。
柔らかそうな銀の髪に狐耳、はにかむ笑顔、僕を見つめる瞳は、金色で星より美しく輝く。
彼女の腰を抱くと、彼女は僕の頬を触り。
「泣いているの?」優しく呟きく。
「もちろん泣いています、会いたかったから」
彼女の手が、僕の首にまわる。二人の距離が、近くなる。
「主様、その人は誰?」
僕達の横には、ウンディーネが居て傷ついた目で、僕を見つめている。なんたる悪趣味……。
僕は、顔を覆って考えると、ドンっと背中に衝撃があり腰が冷たい……。そこには、フィーナが居て……。手には、さっきの短剣が……。
「あっ……もう……」
背中を触った手が、酷く血に濡れている……。
知らぬ間に僕の周りから、人が居なくなりふたたび暗転……。忙しいなぁ……。
「すまない……ここで、そのまま死んでくれないか?」
腰に、手をやりながら振り返ると先程の老人が……。
「死ぬわけないでしょう!?」
僕は、手を見る。僕は座り込む。
ヴゥ――ァ――アァ――!
短剣を引き抜く痛みの中、辺りに僕の声がこだまする、今ので大量の血を失った様だ。
回復魔法をかける。先程、剣が刺さった状態でこの世界でも、回復する事は出来た。
だが引き抜いた事で、大量の出血し、回復魔法をしても尚、ギリギリ死線の上踏みとどまる状態で、目の前が朦朧としている……。
老人は、デコイ、おとりである可能性が高い。
ある程度出血を抑えたら、魔法を組み立てる。
炎と細かい風。これが違ってたら後がない……
全ての魔力を使い、短剣を破壊する!!
短剣は、風と炎の力で、亀裂が入り粉砕された!! 辺りはそのカケラの輝きで、光り輝く。
僕は、王の間で飛び起きる。
「何故か、急に呪いが……」
聖女様が僕を見つめる。
「ほうほう、お主、自分で呪いを打ち破ったのだな?」
日いずる国の巫女様まで……、「あの……僕は、大丈夫なんですか?」
「うむ、心配ない。後は、わらわ達に任すと、良いぞ」
巫女様が、そう言うので、僕は安心してフィーナの夢を見る為に意識を手放す。今日なら彼女の会える気がする。
―― 暗転 ――
つづく
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
「お前の戦い方は地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん、その正体は大陸を震撼させた伝説の暗殺者。
夏見ナイ
ファンタジー
「地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん冒険者アラン(40)。彼はこれを機に、血塗られた過去を捨てて辺境の村で静かに暮らすことを決意する。その正体は、10年前に姿を消した伝説の暗殺者“神の影”。
もう戦いはこりごりなのだが、体に染みついた暗殺術が無意識に発動。気配だけでチンピラを黙らせ、小石で魔物を一撃で仕留める姿が「神業」だと勘違いされ、噂が噂を呼ぶ。
純粋な少女には師匠と慕われ、元騎士には神と崇められ、挙句の果てには王女や諸国の密偵まで押しかけてくる始末。本人は畑仕事に精を出したいだけなのに、彼の周りでは勝手に伝説が更新されていく!
最強の元暗殺者による、勘違いスローライフファンタジー、開幕!
婚約破棄&濡れ衣で追放された聖女ですが、辺境で育成スキルの真価を発揮!無骨で不器用な最強騎士様からの溺愛が止まりません!
黒崎隼人
ファンタジー
「君は偽りの聖女だ」――。
地味な「育成」の力しか持たない伯爵令嬢エルナは、婚約者である王太子にそう断じられ、すべてを奪われた。聖女の地位、婚約者、そして濡れ衣を着せられ追放された先は、魔物が巣食う極寒の辺境の地。
しかし、絶望の淵で彼女は自身の力の本当の価値を知る。凍てついた大地を緑豊かな楽園へと変える「育成」の力。それは、飢えた人々の心と体を癒す、真の聖女の奇跡だった。
これは、役立たずと蔑まれた少女が、無骨で不器用な「氷壁の騎士」ガイオンの揺るぎない愛に支えられ、辺境の地でかけがえのない居場所と幸せを見つける、心温まる逆転スローライフ・ファンタジー。
王都が彼女の真価に気づいた時、もう遅い。最高のざまぁと、とろけるほど甘い溺愛が、ここにある。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる