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それでも少しずつ歩む日々
早朝の城下町
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次の日の朝から、ギルドクエスト『エクストラ』の敵を倒す為に一同は出発する事になった。
城の馬車置き場からホロ付きの荷馬車に乗りこむ。そうすると、甘く発酵した匂いが、少し残っていた。馬車の端に乾燥しかけの葡萄がつぶれて転がっており、なるほどこの荷馬車は、葡萄を山ほど運びこの発酵した匂いは、落ちた葡萄の粒が何者かに踏まれてその匂いを発しているだろうことが想像がついた。
今回のメンバーは、僕、ルイス、ミッシェル、オリエラ、ウンディーネ。そしてフィーナとシルエットで、荷馬車は、僕らを乗せるとすぐに城から出発した。
僕達を乗せた馬車は、城下町のギルド前で一人、人を拾う事になっている。ミッシェルのギルドの階級エクストラの試験と今後、今回の討伐エリアで、出るだろうギルドクエストの事前調査を兼ねている様だ。
レンさん来たらどうしょう……。彼女は自分に厳しく、人にも厳しい。だから他人のペースを乱すところがある。チームワークの整ったパーティならいざ知らず、今の寄せ集めのこのパーティーでは、しばし重大な過失につながる恐れがある。と、昨日の夜にルイスから口を酸っぱくなるほど言われた、『パーティーのリズムを貴方が乱さない様に、そして他のメンバーの突っ走るのを止めるのも貴方の仕事ですよ』と……。
覚えがある為、何も言い返せなかった……。
今日向かう先は、前回のギルド進級試験会場となったの蟻エリアのさらに奥深く。草木の生い茂るエリアと言う事だ。
そして今回の敵はそこで棲息する植物系のモンスター、通称葡萄と言う。ルイスの言う弱点は、炎、風の魔法が有効らしい。
葡萄のよく似た魔物で、蔓によって敵を捕獲する。湿地帯に居た、魔物と似た部分があると言う事だが、特徴として葡萄に似た丸い果肉の中に人間を、閉じ込め効果的な栄養成分としてしまうって様だ。しかも若干の毒が捉えた人間を痺れさせ、しばらくの間は行動を不能にする。
大まかにそれくらいしかギルドから来た通知には、書いていないのでそれ以上はわからない。
僕達がその魔物を倒せば、いままでは僕の畑から湿地帯を大きく迂回して隣り町まで、行っていたのが今回の場所を通れる様なれば2時間ほどのショートカットになるらしい。なんか、僕達のパーティは、うまく使われているような……。
街中の石畳の街道を馬が走るパカッパカッと言う音が、朝から響く。こんな時間には、まだ誰も起きてこない。以前いた世界なら、この時間なら始発の電車は動いている時間だろうに。
ゆっくりした時間の流れの中、ギルドの前に横づけされたのだろう、馬車は止まった。
馬車の中で、フィーナに膝枕をされながら、眠るウンデーネを踏まない様に荷馬車の中を進む。荷馬車の端に横たわる荷物止めの板の先の外には、もう男が待っていた。長身で、中肉中背、中年と言うにはまだ若い彼はの頬には黒い墨で書かれた龍が、顔を覗かせていた。髪は、三つ編みに結ばれ、人好きする笑顔だが、目の奥は笑っているか少し疑わしい印象を与える。
僕達の挨拶に、「おはよう」と、彼は落ち着いた声で話すと、僕の出す手を掴み馬車に乗り込んでくる。彼は、自分の事を紫龍と名乗った。彼の衣裳は、どこか中国風で、この異世界のどこかに中国によく似た文化の国があるのだろうか? しかしそれはわからない。何故なら彼は乗り込んで、すぐ眠ってしまったからだ。
ギルドの副長を乗せ、僕らは、街中を馬車で進むが、新聞配達と思われる少年としかすれ違わなかった。もう少ししたら一番高い塔の上で誰かが、トランペットを吹くだろう。それまで街は眠り、朝を迎えない。これが本当の世の中の理なのか僕には、わからない。
しかし異世界の時間にすっかり慣れてしまった僕は、じゃんけんで負け荷馬車の運転席に乗るミッシェルと、見張りを自ら申し出てくれた、シルエットに任せ、僕はまだしばらく眠る事にする。起きたら何時になっているのやらわからないままに。
つづく
城の馬車置き場からホロ付きの荷馬車に乗りこむ。そうすると、甘く発酵した匂いが、少し残っていた。馬車の端に乾燥しかけの葡萄がつぶれて転がっており、なるほどこの荷馬車は、葡萄を山ほど運びこの発酵した匂いは、落ちた葡萄の粒が何者かに踏まれてその匂いを発しているだろうことが想像がついた。
今回のメンバーは、僕、ルイス、ミッシェル、オリエラ、ウンディーネ。そしてフィーナとシルエットで、荷馬車は、僕らを乗せるとすぐに城から出発した。
僕達を乗せた馬車は、城下町のギルド前で一人、人を拾う事になっている。ミッシェルのギルドの階級エクストラの試験と今後、今回の討伐エリアで、出るだろうギルドクエストの事前調査を兼ねている様だ。
レンさん来たらどうしょう……。彼女は自分に厳しく、人にも厳しい。だから他人のペースを乱すところがある。チームワークの整ったパーティならいざ知らず、今の寄せ集めのこのパーティーでは、しばし重大な過失につながる恐れがある。と、昨日の夜にルイスから口を酸っぱくなるほど言われた、『パーティーのリズムを貴方が乱さない様に、そして他のメンバーの突っ走るのを止めるのも貴方の仕事ですよ』と……。
覚えがある為、何も言い返せなかった……。
今日向かう先は、前回のギルド進級試験会場となったの蟻エリアのさらに奥深く。草木の生い茂るエリアと言う事だ。
そして今回の敵はそこで棲息する植物系のモンスター、通称葡萄と言う。ルイスの言う弱点は、炎、風の魔法が有効らしい。
葡萄のよく似た魔物で、蔓によって敵を捕獲する。湿地帯に居た、魔物と似た部分があると言う事だが、特徴として葡萄に似た丸い果肉の中に人間を、閉じ込め効果的な栄養成分としてしまうって様だ。しかも若干の毒が捉えた人間を痺れさせ、しばらくの間は行動を不能にする。
大まかにそれくらいしかギルドから来た通知には、書いていないのでそれ以上はわからない。
僕達がその魔物を倒せば、いままでは僕の畑から湿地帯を大きく迂回して隣り町まで、行っていたのが今回の場所を通れる様なれば2時間ほどのショートカットになるらしい。なんか、僕達のパーティは、うまく使われているような……。
街中の石畳の街道を馬が走るパカッパカッと言う音が、朝から響く。こんな時間には、まだ誰も起きてこない。以前いた世界なら、この時間なら始発の電車は動いている時間だろうに。
ゆっくりした時間の流れの中、ギルドの前に横づけされたのだろう、馬車は止まった。
馬車の中で、フィーナに膝枕をされながら、眠るウンデーネを踏まない様に荷馬車の中を進む。荷馬車の端に横たわる荷物止めの板の先の外には、もう男が待っていた。長身で、中肉中背、中年と言うにはまだ若い彼はの頬には黒い墨で書かれた龍が、顔を覗かせていた。髪は、三つ編みに結ばれ、人好きする笑顔だが、目の奥は笑っているか少し疑わしい印象を与える。
僕達の挨拶に、「おはよう」と、彼は落ち着いた声で話すと、僕の出す手を掴み馬車に乗り込んでくる。彼は、自分の事を紫龍と名乗った。彼の衣裳は、どこか中国風で、この異世界のどこかに中国によく似た文化の国があるのだろうか? しかしそれはわからない。何故なら彼は乗り込んで、すぐ眠ってしまったからだ。
ギルドの副長を乗せ、僕らは、街中を馬車で進むが、新聞配達と思われる少年としかすれ違わなかった。もう少ししたら一番高い塔の上で誰かが、トランペットを吹くだろう。それまで街は眠り、朝を迎えない。これが本当の世の中の理なのか僕には、わからない。
しかし異世界の時間にすっかり慣れてしまった僕は、じゃんけんで負け荷馬車の運転席に乗るミッシェルと、見張りを自ら申し出てくれた、シルエットに任せ、僕はまだしばらく眠る事にする。起きたら何時になっているのやらわからないままに。
つづく
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