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旅立った僕達
村人の願い
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馬車に揺られ、今日の目的地のトウラ村に真夜中に辿り着いた。
木の柵が張り巡らされたその村には、明かりがあるのは入り口だけのようだ。後は全て闇に沈んでいた。
僕ら勇者パーティー一同は荷馬車を降りた。一人出迎えてくれた老人は、僕らを自分の家に招き入れてくれたのだった。
「勇者様方には狭い所ですが、夜露はしのげるのでどうぞお使いください」
「お気遣いありがとうございます」
彼は村の村長で彼の奥さんが、具の少ないスープを出してくれた。今日の驚いていた枝豆パンより貧しい食事。
でも、これが最高のもてなしなのだろう……。
そしてこれが、この世界の普通なのかもしれない。
就寝は、ダイニングルームとリビングルームと言うには、語弊ありそうなほども変わり映えの2つの部屋。そこで男女分かれて雑魚寝をすることになった。
☆
そして次の朝は、体バッキバッキで起きる。壁の隙間から入って来る風も少しうるさかった様に思う。
「おはようございます、ハヤトさん珍しいですね。早いの……。ハヤトさんなら気にせず寝てると思ってました……」
「おはよう、ミッシェルそんな事言ってると枕にするよ。君を。」
ルイスは、エレガントに寝ているし、ぬいぬいは、猫みたく丸まって寝てる。
「ちょっと村の外走ってくる」
「じゃー僕も行きますよ、暇だし」
「わかった。じゃー行こう」
僕らは軽く着替えて、村の外を走る。気付くと、子どもがわらわらついて来る。なんかこわっ……。
「勇者さん待って! 待って! エルが、ついてこれなくて泣いてる」
村の女の子が、僕の袖を引いて止めた。
「だから、エルは家にいろって言ったんだよ。ソルエが、お前がお姉さん風ふかせて連れて来るから」
同じ位の男の子が、そう言って二人は喧嘩を始める。僕はエルって女の子の所まで行って「大丈夫? 怪我したりしたりしてない?」
「大丈夫、でも、ゆっくり走って欲しい」
「じゃ……歩こうか」
「うん!」
そうしてわらわら集まって来た子ども達と、手をつないで歩く。たくさん集まった子どもたちは手をふりふりするから列が、うねうねうねして、心の中でひぃ――助けて!! ってなっていた。
ミッシェルは、「もうこりごりです」と言って周りの子どもに、「お兄さん大人げない」と連呼されている。
「大人だから子どもの言う事は、聞かなくてよくなったんですよ」と、なおも続けるミッシェル。
彼にぷちっと切れて「わかんない、わかんないねぇ――」と顔を見合わせて言い出す子供たち。
ここでミッシェルを助けると、彼に竜宮城へ連れって行って貰えるのではないか? と思えるほどややミッシェルは負け気味だった。
「そろそろ、村長の家に帰るから、連れて行ってくれるかな?」
「じゃー誰が一番に行けるか競争しょうぜー!!」
おい!ちょっと待て少年!?と言う間に、皆走って行ってしまった。
「エルちゃん……お兄さん達と、一緒に行こうか……」
僕達三人で、村長の家に帰り着くと、「おそいおそい!」と連呼され、「エルちゃんが、連れて来てくれたからいいの!」と言って結局、僕も大人げないの一員になって村長の家への中へ入って行く。
朝ごはんは、村長の奥さんが自ら焼いてくれた、薄いパン。
満腹感を得るためにたくさん噛みしめて、食べていると壁がノックされるともにその男が告げた。
「もう勇者様ご一行がこの村に着き泊まってると、子ども達に聞いたんだがお頼みしたいことが……」
扉の外に人だかりと、大勢の懇願する声が聞こえる。
――やってくれたな、子ども達……。
「勇者様……。」
村長は申し訳ない位か細げな声でそう言ったので……、予想してはいたがここまでになるとは、想像を超えていた。
マントを付け薄い扉を開け出て行くと、本当に大勢の人が居た。僕は、人込みをかき分けその中心へと行った。
「皆さん、草薙ハヤトと言います。よろしくお願いします。お願いは、各世帯の代表者のみが2つのお願いを村長の家にお知らせください。どの家か関係なしに、私達の好きな順でお願いを限られた数のみ選ばせてください。誰が選ばれても文句なしです。その条件が飲める家のみお願いを受け付けます! この事はみなさんが証人です。よろしくお願いします! 受付時間は2時間以内です」
そう言って僕は、ふたたび村長の家に帰る。
「ありがとうございます」
ふかぶか村長が頭を下げる。ルイスは、「今日はもう進めませんね」そう言って食料確保の方法やらの話しをしだした。
そして1時間足らずに返事は、次々に来た。
病気を治して貰いたいもの、家の修理をお願いしたい。木材が欲しいなど。どちらかと言うと大工仕事関係が、多く困っているようだった。
しかし新たな願いにより、その理由がわかった。
東の森に住む。魔物を倒して欲しい。木こりのアベル。
僕達のメインの仕事は決まった。
つづく
木の柵が張り巡らされたその村には、明かりがあるのは入り口だけのようだ。後は全て闇に沈んでいた。
僕ら勇者パーティー一同は荷馬車を降りた。一人出迎えてくれた老人は、僕らを自分の家に招き入れてくれたのだった。
「勇者様方には狭い所ですが、夜露はしのげるのでどうぞお使いください」
「お気遣いありがとうございます」
彼は村の村長で彼の奥さんが、具の少ないスープを出してくれた。今日の驚いていた枝豆パンより貧しい食事。
でも、これが最高のもてなしなのだろう……。
そしてこれが、この世界の普通なのかもしれない。
就寝は、ダイニングルームとリビングルームと言うには、語弊ありそうなほども変わり映えの2つの部屋。そこで男女分かれて雑魚寝をすることになった。
☆
そして次の朝は、体バッキバッキで起きる。壁の隙間から入って来る風も少しうるさかった様に思う。
「おはようございます、ハヤトさん珍しいですね。早いの……。ハヤトさんなら気にせず寝てると思ってました……」
「おはよう、ミッシェルそんな事言ってると枕にするよ。君を。」
ルイスは、エレガントに寝ているし、ぬいぬいは、猫みたく丸まって寝てる。
「ちょっと村の外走ってくる」
「じゃー僕も行きますよ、暇だし」
「わかった。じゃー行こう」
僕らは軽く着替えて、村の外を走る。気付くと、子どもがわらわらついて来る。なんかこわっ……。
「勇者さん待って! 待って! エルが、ついてこれなくて泣いてる」
村の女の子が、僕の袖を引いて止めた。
「だから、エルは家にいろって言ったんだよ。ソルエが、お前がお姉さん風ふかせて連れて来るから」
同じ位の男の子が、そう言って二人は喧嘩を始める。僕はエルって女の子の所まで行って「大丈夫? 怪我したりしたりしてない?」
「大丈夫、でも、ゆっくり走って欲しい」
「じゃ……歩こうか」
「うん!」
そうしてわらわら集まって来た子ども達と、手をつないで歩く。たくさん集まった子どもたちは手をふりふりするから列が、うねうねうねして、心の中でひぃ――助けて!! ってなっていた。
ミッシェルは、「もうこりごりです」と言って周りの子どもに、「お兄さん大人げない」と連呼されている。
「大人だから子どもの言う事は、聞かなくてよくなったんですよ」と、なおも続けるミッシェル。
彼にぷちっと切れて「わかんない、わかんないねぇ――」と顔を見合わせて言い出す子供たち。
ここでミッシェルを助けると、彼に竜宮城へ連れって行って貰えるのではないか? と思えるほどややミッシェルは負け気味だった。
「そろそろ、村長の家に帰るから、連れて行ってくれるかな?」
「じゃー誰が一番に行けるか競争しょうぜー!!」
おい!ちょっと待て少年!?と言う間に、皆走って行ってしまった。
「エルちゃん……お兄さん達と、一緒に行こうか……」
僕達三人で、村長の家に帰り着くと、「おそいおそい!」と連呼され、「エルちゃんが、連れて来てくれたからいいの!」と言って結局、僕も大人げないの一員になって村長の家への中へ入って行く。
朝ごはんは、村長の奥さんが自ら焼いてくれた、薄いパン。
満腹感を得るためにたくさん噛みしめて、食べていると壁がノックされるともにその男が告げた。
「もう勇者様ご一行がこの村に着き泊まってると、子ども達に聞いたんだがお頼みしたいことが……」
扉の外に人だかりと、大勢の懇願する声が聞こえる。
――やってくれたな、子ども達……。
「勇者様……。」
村長は申し訳ない位か細げな声でそう言ったので……、予想してはいたがここまでになるとは、想像を超えていた。
マントを付け薄い扉を開け出て行くと、本当に大勢の人が居た。僕は、人込みをかき分けその中心へと行った。
「皆さん、草薙ハヤトと言います。よろしくお願いします。お願いは、各世帯の代表者のみが2つのお願いを村長の家にお知らせください。どの家か関係なしに、私達の好きな順でお願いを限られた数のみ選ばせてください。誰が選ばれても文句なしです。その条件が飲める家のみお願いを受け付けます! この事はみなさんが証人です。よろしくお願いします! 受付時間は2時間以内です」
そう言って僕は、ふたたび村長の家に帰る。
「ありがとうございます」
ふかぶか村長が頭を下げる。ルイスは、「今日はもう進めませんね」そう言って食料確保の方法やらの話しをしだした。
そして1時間足らずに返事は、次々に来た。
病気を治して貰いたいもの、家の修理をお願いしたい。木材が欲しいなど。どちらかと言うと大工仕事関係が、多く困っているようだった。
しかし新たな願いにより、その理由がわかった。
東の森に住む。魔物を倒して欲しい。木こりのアベル。
僕達のメインの仕事は決まった。
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