魔王がやって来たので

もち雪

文字の大きさ
146 / 292
旅立った僕達

新しい街でのひと段落

しおりを挟む
昨日の……いや朝のまでの騒動が終わり、ギルドからの好意でと言うか、みんな酔っぱらって役にたちそうもないからと言うべきかそのままゲストハウスへ帰宅する事が出来た。
 
その頃には、異世界の街でも朝を迎え皆が動き出す時間へとなっていた。

 そしてやっと眠りについた僕は、お昼過ぎに、ウンデーネの後頭部を腹部にもろに受けると言う事態で目を覚ましてしまった。

 彼女はベットの横に腰掛け、寝ている僕に向かってそのまま後ろに倒れ込んだ様だ。少し腹部を押さえて、「ヴぅっ」と言ってのたうち回ったのちその事を、把握した。

 そのまますぐに薄い方の掛け布団を、頭からかけ胴の部分を軽くしばった。

「ははは、悪い子はお仕置きだ!」

「えっ!?、なに? 主様あるじさま?」

 りっぱな布団お化けが出来た。

 視線を感じて振り返ると、扉にフィーナが居た……。

「えっと……おはよう……トリックオアトリート……」
 
 違う女の子の子と楽しそうな場面……でも、無いかもしれないが、少しの焦りもありそんな言葉を呟く。

 向こうの世界は、そろそろそんな季節のはず……。

「はい」

 僕の気のせいか、彼女はちょっと読み取れない表情で、僕のもとまで来ると、彼女はお菓子をくれた。

「なに、なに? どうしたの? これ外せないよ?」

 ウンディーネの声、悪い主様の僕はやっぱり好きな子優先させてしまっている。気まずさが僕の中でどんどん増えて行く。
 
「よいしょ」

 フィーナは、ベットに座るとウンデーネの蔦をほどき、布団を取った。

「ウンデーネは、どーんてしちゃだめ、ハヤトも蔦で縛るのはやり過ぎですよ」

「「はい……」」

 では、ランチ行きませんか?
 そう言いと彼女は、にっこり笑ってくれたので凄く安心した。

「いきます!」「ウンデーネも行きます!」

「じゃー私達下で待ってますね」

 彼女は、スカートが広がらない様にお尻を押さえて立ち上がると、ウンデーネと一緒に下へ降りていった。

 フィーナのは、いたずらを選んで欲しかった気もするけど……仕方がない。お菓子の小分けの紙袋を破き、お菓子を食べた。ちゃんとかぼちゃ味のお菓子で不思議だった。

 まぁハロウィンについての、情報源は見当がつくけれど……。

 僕は、手短に出かける用意を済ますが、一階のダイニングでは、ミッシェルとルシスがそろってダイニングテーブルに座り、書類の山で埋もれていた。

 僕は、扉から顔だけをだし――。
「ルイス、ミッシェル、ラインを今から食べに行くけど、ランチ行かない?」

 ルイスが書類から目を話こちらを見る。
 
「私達は、出前で済ませました。ぬいぬい達とルナはそれぞれ、買い物と教会へ行ってしまったのでいませんよ」

「そうか、ありがとう。外で、必要な物は?他に買ってくるものあるかな?」

「大丈夫です。気を付けて行って来てください。『大蛇の牙』については、すべて終わった事を確認する知らせはまだ来てませんからね」

「わかった。気を付ける」
 
 そう言い、待っていてくれたフィーナ達と街へ飛びだす。

 異世界では、その瞬間から冒険は始まっている。

    つづく

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

捨てられた貴族六男、ハズレギフト『家電量販店』で僻地を悠々開拓する。~魔改造し放題の家電を使って、廃れた土地で建国目指します~

荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
 ある日、主人公は前世の記憶を思いだし、自分が転生者であることに気がつく。転生先は、悪役貴族と名高いアストロメア家の六男だった。しかし、メビウスは前世でアニメやラノベに触れていたので、悪役転生した場合の身の振り方を知っていた。『悪役転生ものということは、死ぬ気で努力すれば最強になれるパターンだ!』そう考えて死ぬ気で努力をするが、チート級の力を身につけることができなかった。  それどころか、授かったギフトが『家電量販店』という理解されないギフトだったせいで、一族から追放されてしまい『死地』と呼ばれる場所に捨てられてしまう。 「……普通、十歳の子供をこんな場所に捨てるか?」 『死地』と呼ばれる何もない場所で、メビウスは『家電量販店』のスキルを使って生き延びることを決意する。  しかし、そこでメビウスは自分のギフトが『死地』で生きていくのに適していたことに気がつく。  家電を自在に魔改造して『家電量販店』で過ごしていくうちに、メビウスは周りから天才発明家として扱われ、やがて小国の長として建国を目指すことになるのだった。  メビウスは知るはずがなかった。いずれ、自分が『機械仕掛けの大魔導士』と呼ばれ存在になるなんて。  努力しても最強になれず、追放先に師範も元冒険者メイドもついてこず、領地どころかどの国も管理していない僻地に捨てられる……そんな踏んだり蹴ったりから始まる領地(国家)経営物語。 『ノベマ! 異世界ファンタジー:8位(2025/04/22)』 ※別サイトにも掲載しています。

1つだけ何でも望んで良いと言われたので、即答で答えました

竹桜
ファンタジー
 誰にでもある憧れを抱いていた男は最後にただ見捨てられないというだけで人助けをした。  その結果、男は神らしき存在に何でも1つだけ望んでから異世界に転生することになったのだ。  男は即答で答え、異世界で竜騎兵となる。   自らの憧れを叶える為に。

修学旅行のはずが突然異世界に!?

中澤 亮
ファンタジー
高校2年生の才偽琉海(さいぎ るい)は修学旅行のため、学友たちと飛行機に乗っていた。 しかし、その飛行機は不運にも機体を損傷するほどの事故に巻き込まれてしまう。 修学旅行中の高校生たちを乗せた飛行機がとある海域で行方不明に!? 乗客たちはどこへ行ったのか? 主人公は森の中で一人の精霊と出会う。 主人公と精霊のエアリスが織りなす異世界譚。

処理中です...