魔王がやって来たので

もち雪

文字の大きさ
202 / 292
女王のおさめる国にて

前言撤回

しおりを挟む
  ルイスとオリエラの関係。そこについてルイスは悩み、本調子を失っていた。彼の悩む理由は、家柄や彼のこれまでの一生、そうして勇者とのかかわり。
 それらのものが織り交ざりかれは足止めをくっている状態。

 そして僕から、彼に向けての問いの答えもそれが躊躇に現れている。時には、いいさそんな時があっても、僕は異世界の星を、荒野で見上げそう思った。
 なんて事は無く。部屋で頭を抱えどうしてールイス!? って感じになっていた。
 
 彼の選択理由は2つ。

 ①ここで一度、僕らのパーティーを離れた立ち位置で見てみたい。

 ②王子は現在は、気丈に振る舞っているが今までの監禁暮らしもあり、彼の様子を注意深く見守りたい。

 そんな理由で、ルイスは今回の作戦に絡まないを選んでしまった。しかし彼の選択はもっともらしく、そんな正論言われたら…….ねぇ。

 ここは型破りに、オリエラをルイス、君の元へと相談相手として派遣するぞ! とか、リクルートスーツに身を包んだフィーナ先生による、恋のいろはの授業を受けてもらうぞ! とか考えていた。
 それでは僕がちょっとダメな人みたいなっちゃうが、ここは仕方ないところだろう。

 ちなみに次点で、オリエラの腹違いの兄のナリミアス王子と何となく結婚が予定されている、聖女のルナでもいいなって考えは、今もある。

 だから、僕は彼にこう言うしかなかった……。

「ルイスがそこまで考えているのはわかった。受け入れるよ。でも……、いざとなったら僕は土下座でもなんでもしてルイス、君に絡んで貰う心構えはあるって事を覚えておいて! でも、今は君の選択を尊重する!」

 しかしそんな僕に、ルイスは「私の心優しい勇者様に感謝します」って言うから、僕は完全なる敗北だ。
 
 後、オリエラの気持ちを女性陣に……聞いても教えてくれなさそうだし、聞いて蛇をだすわけにもいかない。

 とりあえず、ぬいぬいに相談するか……。
 
 ぬいぬいに割り当てられた部屋へ行くと、彼は乾燥した植物をたくさん身のまわり置き、何やら触媒を作っていた。

「これ何に使うんですか?」

「詳しく話すと長いが、お前はその話しをしに来たんじゃないだろう?」
 
「そうでした」

 僕は自分の部屋から持って来た丸椅子に、腰掛けようとしたら目の前の小皿が、凄く臭い。硫黄とかそっち系の匂い。
 
 僕が見つめているとぬいぬいが、小皿の中身をアルミぽい瓶の中に入れふたをしたら、綺麗むらさき色の炎が蓋の端からブァッと出た。

「火傷!? 火傷するでしょうが!?」

「大丈夫だ。この手袋はサラマンダーの脱皮の皮で作ってある。で、ルイスの様子はどうだ?」

 彼はアルミ缶ぽいものを机の上に置き、僕に向き直る。

「僕が少し追い詰めしまった様で、今回の作戦に絡まないそうです。まぁ、王子の面倒は見てくれるらしいですが……」
 
「ルイスは、オリエラの事が好きなのか?」

「えっあ?! なんで、そう思うですか?」

「なんでそう思わないと思うんだ? あんなにバレバレで……あっちの連中はその話しで、もちきりだったぞ」

 そう言って彼は女性陣のいる2階を指差した。

「もしかして……その事を、オリエラも?」

「オリエラはまだ部屋に篭っていて、まだ耳に入ってないはずだが……」

「ぬいぬい!? ルイスとオリエラの事についてどんな話しが出回っているかわかりませんが、噂や、ぱっと見の様子だけで彼を判断しないでください。なんかもっとややこしくなりそうですから……。僕の口から言えませんけど。そして僕だけの考えですが、ルイスに今、決めて欲しくない話しなんです。だから僕らが無事に帰って来てから、する話しはあると思うんです! たぶんこの話がそれです!」

「俺はそうとは思わない。まず、王子の言った様に、オリエラの結婚は王子の強いカードになる。そしてオリエラにしても、結婚相手を選べる数少ないチャンスだ。そのカード生きれば王子の祖父は天秤に乗るかもしれない」

「でも、騎士は我々の味方でしょう?、彼らが王子が逃げた今なら女王を鎮圧できるのでは? その事を知れば彼の祖父は天秤に乗る筈では?」

「では、何故王子救出のさい出てこない? 教会は馬鹿じゃない声をかけていたはずだ。そして未だ、祖父からの何の連絡もない」

「じゃ……オリエラが婚約したら彼ら動くのですか? でも、今の状態でどうやって?」

「教会だ。教会を使えばいい。教会は悪の女王を倒す手助けをし、そしてふたりはそんな教会ではなばなしく式を挙げる。素晴らしいプロパガンダだ。そして世界に王子の二人の子供が長に着く城が出来る。教会にも、祖父に利がある」

「それは却下で、まず王子が逃げた事がバレる事態になれば王宮で一波乱起きる。勇者パーティーと騎士が共謀したせいにし、今なら女王の兵士達により数の暴力で騎士や一部の人々が粛正され事態にもなりかねない。女王にはもう後がないですから」

「それは王子の祖父が出て来た場合でも、起こりうる事だ。しかも女王も馬鹿ではない、戦力の弱体化は王子の祖父を呼び込む事になる。その事をよくしている。そしてその場合は、残念ながら塀の中の民衆は人質にならない。種族が違うからだ。女王はまだ王子が居ない事を隠したいはずだ。だから騎士を助ける為にも、オリエラ……いや、均衡破るのにオリエラは必要ないかもしれない? 祖父の方も王子がその地位に返り咲けば引く。たぶんな」
 
「それではルイスと女騎士と王子を連れて来てもらおうか。先延ばしにて恋が芽生えるのどうか確認して程暇はなく、オリエラ取る道は決まっている。まぁ平和になるまでだが」

「でも、ルイスは!?」

「俺はお前から何の話しも聞いてない、だから作戦に絡まない事実は知らん!」

 ぬいぬいの無慈悲な命令で、まず王子の部屋へ行ったらルイスが王子の部屋に居て、話しをしていた。

 ルイスは王子が落ち着く様に、話をしていたようだ。ノックの時、笑い声が聞こえていた。

 ルイスが自分の使命に忠実過ぎて、少し悲しくなった。

「ルイス、王子、来てぬいぬいが話しがあるって」
 
「はい」「わかりました」

 二人は何も言わずに、ぬいぬいのところへ行ってくれたマジ助かった!

 そしてウッリマリアのところへ行く。

 彼女の部屋をノックすると、寝ぼけまなこの彼女が出てくる。ウッリマリアも気を抜く時はあるんだーと、感心したが、僕の顔を見たとたん鬼の形相になった。 そして「あっ」と、言って緊張を解く。

 ちょっと傷ついたが、「下で僕の仲間が呼んでいるから来て」そう告げと、一枚羽織って出てきた。

 そこにフィーナが部屋から出てきた。パジャマではないが、コンビニに行くの丁度いい感じの格好だ。かわいい。髪もほどいている。

「あっ……うるさくしてごめんね」のところで、ウッリマリアに手を引っ張られ連れ去られる僕。

 ――姫、助けてー。

「待ってください。私も行きます」
 と、言ってフィーナは付いて来た。さすが僕の麗しの姫。

 ドォン!

「お散歩行くの!?」

 スフィンクス! 参戦である。

「どうしたんですか? スフィンクス?」

「ぱぱが、散歩行くって!」
 ー言も言ってないよ。スフィンクス。

 そうして次々勇者パーティーは集まるのだった。
    
   続く
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

「お前の戦い方は地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん、その正体は大陸を震撼させた伝説の暗殺者。

夏見ナイ
ファンタジー
「地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん冒険者アラン(40)。彼はこれを機に、血塗られた過去を捨てて辺境の村で静かに暮らすことを決意する。その正体は、10年前に姿を消した伝説の暗殺者“神の影”。 もう戦いはこりごりなのだが、体に染みついた暗殺術が無意識に発動。気配だけでチンピラを黙らせ、小石で魔物を一撃で仕留める姿が「神業」だと勘違いされ、噂が噂を呼ぶ。 純粋な少女には師匠と慕われ、元騎士には神と崇められ、挙句の果てには王女や諸国の密偵まで押しかけてくる始末。本人は畑仕事に精を出したいだけなのに、彼の周りでは勝手に伝説が更新されていく! 最強の元暗殺者による、勘違いスローライフファンタジー、開幕!

婚約破棄&濡れ衣で追放された聖女ですが、辺境で育成スキルの真価を発揮!無骨で不器用な最強騎士様からの溺愛が止まりません!

黒崎隼人
ファンタジー
「君は偽りの聖女だ」――。 地味な「育成」の力しか持たない伯爵令嬢エルナは、婚約者である王太子にそう断じられ、すべてを奪われた。聖女の地位、婚約者、そして濡れ衣を着せられ追放された先は、魔物が巣食う極寒の辺境の地。 しかし、絶望の淵で彼女は自身の力の本当の価値を知る。凍てついた大地を緑豊かな楽園へと変える「育成」の力。それは、飢えた人々の心と体を癒す、真の聖女の奇跡だった。 これは、役立たずと蔑まれた少女が、無骨で不器用な「氷壁の騎士」ガイオンの揺るぎない愛に支えられ、辺境の地でかけがえのない居場所と幸せを見つける、心温まる逆転スローライフ・ファンタジー。 王都が彼女の真価に気づいた時、もう遅い。最高のざまぁと、とろけるほど甘い溺愛が、ここにある。

処理中です...