魔王がやって来たので

もち雪

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新しい若き王とともに

荷物の動きから導き出される

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 ギルドを出て、町から戻り城の仮住まいに戻ると、ウッリマリアが待っていた。

 もしかしたらウッリマリアは僕の出入りを待っている、ただの出待ちのファンかボディーガードかもしれない。
 
 彼女は僕の顔を見るまでは、厳しい顔をしていたが、僕の顔を見てその顔を緩めた。

 彼女は僕らがクエストで部屋を開けた昨日の外泊中もここに居て、今日もその苦労が報われない覚悟していたのだろうか?
 
 だから僕らと接する機会のあるメイドさんなりを通して、連絡してから来てって言ってる!
 
 そして彼女はいきなり、今回事件の核心を話しだす。
 
「今回の一連事件には、魔界が深く関係しているかもしれない」
 

 ……僕は昨日は、夜中駆け回り、遠くから馬車に乗って帰って来た。その事について考慮されずにウッリマリアの話しが始まった……。いつもの事だしなれましたよ。
 
「ウッリマリアは僕は疲れているんだ。だからせめて、座れる場所へ行こう」
 
「わかった、では失礼する」
 彼女はそう言って、僕の部屋に招待される気でいる。

「わかってない! 兵士も使っている食堂いくよ!」

「そんな事してみろ、内容が内容だけにパニックになる」

「だけど、こちらとしても、この部屋はみんなで使っている部屋なので、君を勝手に招待出来ない。そして魔界に関するレベルの話しになると、僕一人で聞くべきことでないと思うよ」

「わかった、部屋は、私の方で用意しよう。そこでの夕食も私に任せろ」

 ウッリマリアは腰に手をおき、うなだれながら考え、言った。うんうん、と思うがそれが正解なのかもわからない。僕は確か疲れているって言ってたはず。

「待って、会食のドレスコードはどうなるの?!」

「兵士の会議みたいなものだ、その格好で構わん。一応、女性陣にも別に連絡を入れよう」
 
「一応、こっちの男性陣にも連絡入れて、うちは結構自由に歩き回るから連絡取りずらいんだよ」
 
「わかった、わかった」そういって手をひらひらしていってしまう。

            ☆

 そして始まった会議は、夕食より先だった。

「うーん勇者も交えての会議なら、口を出さないから参加させろとまず、副騎士団長が言い、王子と王子祖父のユメラ殿がいい。ゾルト殿は夕食も食べて帰るそうだ」

 結構な大事になっていた。そして時間の関係から夕食の時間は後になり、僕はお腹が減った。そしてやはり僕は疲れてるって言ってなかったのかな? と思いだした。

「まずおこなった事だが、フィーナ殿の言う通り屋敷の者に話しを聞くところから始めた。全てでは途方もない量になってしまうので、最近始めた取引で、梱包された不審な物や当主独自で行っていた荷物の梱包に関し、調べその頻度の高いものから調べてみた」

「それで何か出たわけだな?」

「出たと言うか、当主がなくなった夜から、先程上げた品物の出荷先について調べて行くと多くが不審死や失踪事件に行き当たってしまった。しかも行動が早いどんな伝書鳩を使ったとしても早すぎるのだ」

「勇者の召喚を知らせる時の様に、祝砲をの様なものを上げているのでは? 例えば狼煙のろしとか?」

「ここら辺ならいざ知らず、ホイルトツェリオ城でもおこっているのだ、あそこら辺りなら誰かは気付くだろうが誰も見ていない、知らないと言う事だった」

 ウッリマリア以外、押し黙ってしまっている。

「それでは搬入先について調べてみた、他国に問い合わせ先程の死亡者から我が国への輸出品について調べてみたが、他国から来た品物に関しては今はまだ不審な点は見つかって居ない」

「なら近隣の村ですね。少なくとも検問を通らない近隣の」 

「もちろんそうかもしれない。しかし防衛を司る兵士長が魔界との国境で不審な足跡を見かけたり、何かの痕跡を見つけたりする事件が多発しているようで、その日付と館に不審な荷物が届けられた日と関連性が有りそうなのでは? といいだしたのだ」

 会議では一時騒然となった。何せ僕たちの存在は魔界の活性化と切り離せない。

「なぜそれを私たちに、知らせないのですか?」
 ウィッシュ王子が、ウッリマリアに声をかけた。

「国を揺るがす一大事だからです。それを今の様に大勢の集まる会議で容易に発言する事は難しいと考え私が止めました」

 そうサイル騎士団副長が、ウッリマリアの代わりに答えた。

「では、ハヤトとルイスはどう思うのですか?」
 僕がそこで立ちあがろうとした時、隣のルイスがガバッと立ち上がった!

「時は、来た……。それだけです」
 信頼の厚いルイス卿がそう言ったのだから、辺りは騒然とする様子に拍車がかかる。

 しかし彼の近場に座る僕らだからわかる。

 ルイスはその後、優雅に座り、テーブルに肘をつき、手を組み口元を隠して前を見つめいるが、あの手の下はめっちゃ笑顔なはず……。

 そしてミッシェルも引いている。僕らは見つめ合いどうすればいいの? この勇者オタク……。と、視線を交わした困惑していた。

 そう……思っていたが、まわりには僕らは言葉も無く、唖然としているように見えた様で、会議は一度お開きとなった。

 ちなみにうちの彼女は彼女で、今の自体を魔王に伝える義務があり少し慌てていたようだ。

    つ続く
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