魔王がやって来たので

もち雪

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新しい若き王とともに

それぞれの強さ!!!

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 狼男と会議の連続で疲れ切っていた、昨日の今日で僕らは部屋でくつろぎゆっくりと過ごしていた。

 午後からは、軽く槍の修行を行う予定だが、今はこの国の本でも読むかって思ったらまたもや言語が違っていて少し途方に暮れていた僕をミッシェルが呼ぶ。
 
「ハヤトさん、あそこの薔薇園みてくださいよ」と、彼に僕は手渡された望遠鏡を受け取り、温室の中の薔薇園を見と、オリエラとウィッシュ王子が仲良さそうに薔薇園へ入ってく。

 これは……と、少しルイスの事を思うと「これはルイスさんの敗北ですかね」と、ミッシェルが言いきる。

 僕はいろいろな事態に驚き狼狽うろたえ、「えっ?どういう事?」と、はぐらかそうとするが――。

 「本国では槍兵たちのファンブックまで作った、僕の目を誤魔化せると思っているんですか?」
 
 僕は、ミッシェルを見る。誰がミッシェルに才能ないって言ったんだ?
 
 探偵並に鼻が利いていて、怖いんですけど。しかしたしかに武人に必要な能力ではない。

 その時、僕の持つ双眼鏡を触る人物がいた。ぬいぬいだ。

 青ざめる僕らをしりめに、彼は双眼鏡でバラ園を覗いている。
 
「あっちの様子は、オリエラから聞いて、察していたがルイスはどう意味だ?」と僕らに詰問する。

「ルイスに聞けばいいと思います。僕はそれ以上いう事はありません」と言うが、「なら、お前だミッシェル、全部さっさと全部話せ」と、ミッションの前で、ぬいぬいは、手のひらに杖をトントンと打ち付ける。

「ハヤトさん」
 ミッシェルは、手を胸の前に出しガードするが、ぬいぬいに相手に完全に腰が引けている。
 
「ぬいぬい、そう焦らなくてもいいでしょう。ルイスは夜には帰ってきますよ。それより、問題はオリエラですよ。ホイルトツェリオにとっては願ってもないことでしょうが、彼女の故郷では彼女が戻らないと大問題なのでは?」

「それについては今となっては問題はない。オリエラが元気であれが、人の心はまだ癒される。養子をとるなり、オリエラの母親が再婚する事も考えられる」
 
 そうなるなら本人たちの気持ちが固まれば何の問題ないだろうな。まぁもう少し近場の方がホイルトツェリオの政治的に良かっただろうが、援軍と考えると遊牧民はありがたい助けだろう。移動能力もすぐれているし。
 
 では、オリエラとウィッシュ王子次第か……。うまく行くとトントン拍子に行くと、このまま花嫁修業に入る可能性さえある。
 
「僕らの旅へオリエラは行かない様子でしたか? ぬいぬいも? ここで孫の顔を見るの?」
 
「俺の息子は、このあいだ1歳半過ぎたくらいだ! とりあえず俺はお前達について行く」
 
 なるほど、魔王とフィーナとぬいぬいたちはどうしてもかぶるので、ついつい同列に見てしまっていた。たぶん魔王は、人間で例えるとまだまだ若そうだが彼だけで、魔王って種族のようだから比べようがない。

「僕的には、付き合う、付き合わないなど置いておいて、もうオリエラは役職を一時忘れてここで青春を謳歌した方がいいと思うけど?」
 
「この世界の娘は、人生はそう言う風には出来ていない」

「ラビは?」

「あれで、一般を語るな!?」

 まぁミノタウロスに恋して、塔に住み込こもうって女性はそういないよな……。
 
 夜になり、ルイスが帰って来ると待ち構えていたぬいぬいが、ルイスに詰問する。
「お前はオリエラの事が好きなのか?」
 
「待ってください。この事をぬいぬいに伝えたのは誰ですか?」
 勇者関連には羽目を外すルイスも、今回の事についてはいたって冷静だった。

「「ミッシェル」」
 
「最近、シルエットと修行してるそうですし、私とお手合わせお願いします」という、冷たい一言を彼はミッシェルにはなつた。

「で、どうなんだ? ルイス」待ちきれない子どものようなぬいぬいは、ルイスに尚も聞く。

「愛しています…………、と、言えば貴方は満足か不安になるか知りませんが、貴族の恋愛は結婚してそれからという面もあるのです。私がそれを選ぶか、野に咲く花の様な女性を選ぶかは決めるのは今ではないでしょう? 私たちは命を懸けて行く。それを忘れてませんか? 確かに出国前に彼女との縁談の話はあった。とだけお伝えしますが、そこのに貴方が口を出す余地はないと思いますよ」

 ぬいぬい――――!? ぬいぬいの心が折れた音がした……。

「すまかった。だが、お前のような男とオリエラの結婚は俺は認めない!」

 折れてなかった、さすが魔法学校の狂犬。

「とにかく、オリエラの気持ち次第なんで、今はそんな話いいじゃないですか。魔界に行ってもがんばりしょう」
 ミッシェルもつえぇぇぇ――――!?

「まぁ、ほら、明日からも頑張ろう」
 僕は勇者、ジョブのキャラは万能型で濃さがないが、性格も勇者には濃さは求められていないだろう。
 僕の台詞は、こんなもんだ。
   

           つづく
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