魔王がやって来たので

もち雪

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新しい若き王とともに

剣と盾

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 今回は盾職の実地訓練として、剣と盾を持ち初陣を飾る。少しギルドランクを下げ、中級のギルドクエストに挑んでみた。 

「盾を持ったハヤトさん、見慣れないせいか頼りがいが、逆に薄くなった気がしますね……」

 自由人、ミッシェルの一言は僕を貫く。そういう所は変わらないんだなと、食堂に現れ、僕をいきなり罵った彼を思い出す。でも、いいさ僕らは気の置けない仲間だもの。
 
「わかってるから、言わないで欲しい……鏡の前で愕然としたから……」

 そう僕はドラゴン装備をあつらえた、今度はお店の方に直接、盾装備について見に行ったんだ。そうすれば知識は倍入るのでは? と思ってね。

 そうすると「冒険者なら、盾装備のレンタルがおすすめですよ。壊れた場合の保険の値段も入ると、これくらいになりますが、中古よりも安い値段でレンタル5回分の料金なので、そこまで高くないと思いますよ」

 そう店の亭主の言う通り、盾をレンタルで借りる事にした。

 朝に取りに行ったのだが、鏡で見た自分の姿は胴へ身につけるドラゴンの皮装備と、盾の装備の重量感とはチグハグなのだ。竜のうろこの存在感半端なかった。
 

 けれど、盾が居ればと言うか、お腹パッカーンは回避される事になる。そうグダグダ考えても、目的地へ着くのだ。

 今回の敵はバッタ、大きさは四角いポストの四角い部分だけと、同じ位の大きさで、重装備の盾を使うには申し分がない敵である。

 しかしバッタが全身を使いぶち当たる。衝撃が重い、盾を持つ手へと衝撃が逃げずにやって来る。そんな攻撃は、盾については素人同然の僕には、重い攻撃過ぎて、両手で盾を支える必要が出て来たくらいだ。

 ――剣を使っている暇はない。どうしてもダンゴムシの状態が脳裏に浮かんでしまう。
 
 「ハヤト、右前方!」
 
 「はい!」
 重い盾を持って走っていく。
 
 僕とバッタが近か過ぎる事で、仲間攻めあぐねている。そして飛び込んで来る味方の攻撃をも、盾で受けなければならない。
 
 ――うんうんうん? これどうやって攻撃するの!?
 
「盾が、敵前方へと走って行くと、私たちと離れる事になり、ハヤトの後ろに割り込まれる可能性が高いです! もう少し危険の少ない方法考えつくべきです」 

「では、僕が敵を呼び込むよ」
 
 気持ちを新たに草むらから僅かに見える触覚を頼りに、魔法で攻撃してみる。バッタに炎の業火をぶち込む!

 バッタは僕の操りし炎により粉砕された!?

「「…………」」

「では、今度は弱い魔法で……」

 ――いや、何でだよ!? 余計に面倒くさいわ……。と自問自答する。

 試しに違うバッタへ氷の魔法をぶち込む、それをミッシェルが槍で一撃で粉砕し走っていく。

 僕はそっときれいめの岩の上に盾を置いた。そして新たな敵を求めて走って行く。

 一度に多くバッタが飛び込んで来ても、雷魔法の攻撃範囲の広さで何とかやり過ごせた。

 そして辺りのバッタは沈黙する。僕らはいつもの様に、依頼人の指定場所へと向かう。そして依頼人が指定した範囲を一緒にまわって貰う。
 
 ぞろぞろと歩いて、僕が先頭に立ち説明する。どっかの見たことある風景はお馴染みの事。

 「ここら辺の草は、一度、火事にならないように焼くか、刈るなどしてバッタの繁殖を防いだ方がいいですよ」

「わかりました。やってみます」

「しかし残念ながらバッタの移動速度が早いため、ふたたび来る確率も高いんですがね……」

「はい……」と、あまり役に立たない助言をしてから帰るしかなかった。

 馬車に乗り込み、盾を置くと……。

「余り役に立ちませんでしたね、盾」
 と、ミッシェルがいい。

「魔界では、盾あまり使わないから……」
 フィーナも同意なようた。

 ……やはり最強ジョブは魔法使いかもしれない。現役の世界最強の魔王も魔法使いだからなぁ……。そして当初僕とオリエラの2人だった前衛もなぜか、2人増えて4人だ。

 はは――ん、これは僕が後衛で、敵にターゲットにされた時のみに槍をつかった方が有利まである。

 …………オリエラ達の意見を一度聞き、いらない様なら盾はキャンセルするか……。

 そしてその夜、皆にその事を改めて聞くと「出来ないなら出来るようにするべきでは?」や「魔物種類によって戦いかたを変える必要があるんだよ! でも、誰かが守り引きつけなければいけない敵は、ボスに多いからね……クエストではあまり会わないかー」

「ある程度やると仲間の攻撃の呼吸がわかる、だからやって損はないわな」

 そう人間界で最強、パーティーみたいな事を、やっぱり普通に言い出すので、僕の剣と盾の稽古はまだまたま続きそうだ。
 そしてしばらくは盾はレンタルにしよう!

 続く

 

 
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