魔王がやって来たので

魔界の新たな闇

思っていたのとなんか違う。

　魔界の中枢部、魔王の城。

　魔界の最低限のマナーになれる為に、しばらく魔界で最大にマナーを尽くさなければならない相手である魔王ともに暮らす事になった。

　しかし我々はすぐさま第一の壁にぶち当たる。魔王城は来訪者が、今のところ誰も来ないのである。

　魔王は普通に仕事をしているようだが、引きこもっている。オンライン通話で魔界の商談をしている疑惑まである。

　時治君は普通の子供の様に勉強に励んでいるようだ。見た事あるドリルが机の上に置いてある。

　フィーナは仕事が中途半端であってはいけないと、僕らと共に生活を共にしている。

　だいたい、生活基準が僕の世界なのだが……、潜入調査をした場合に、違和感ありありになってしまわないだろうか？

　そんな中、フィーナの部屋へ遊びに行くというイベントが早々起きた。

　僕は現在勇者として、曖昧な立ち位置にいた。
　
　フィーナの部屋に行くというイベントには、女性陣に混じって参加してしまったのである。心の中では完全に、わぁーフィーナちゃんの部屋、可愛いハートとカンペきに女性陣と同調していた。

　僕はフィーナの頼れる彼氏なのに……。このままじゃダメだ。

　「あっこれ子供の頃のフィーナとよしのさん？」　飾ってあった写真の中のフィーナは、今とそんなに背格好は変わらないが、笑いかたが何処かぎこちなくて可愛い。
「凄く、可愛い」オリエラも同調し、ウンディーネはやはり目をまん丸にして見ている。

「フィーナ、これも貰っていい？」
「だめです」ウンディーネの無茶ぶりをフィーナな速攻断る。

「だが、あの頃はすぐむくれる、めんどくさい子どもだったぞ」

　もちろん勇者先輩のよしのさんも、鳥の姿であるが女子会に普通に参加していた。勇者はやはり必要なのは女子会に混ざれる胆力なのかもしれない。

　フィーナがすぐにむくれる子どもだったなんて、今のフィーナからは想像出来ない。

　……でも、時々「むぅ～」って言ってるけどあれがむくれているのか？、可愛い！

　「凄く陰気でなぁ」
　久しぶりに現れた親戚みたいになった、青い鳥のよしのさんは昔話をまだ続けている。

　「もうなんでよしのさんがここに居るんですすか？」

　「俺も居ていいよな?」胆力でよしのさんは、オリエラに聞く。

　「えっあ、どうでしょう？」空気を読むオリエラがめちゃめちゃ困っている。
　
　「それにハヤトがいるから、俺がいなきゃだめだろう」
　そう一般常識のある様な事をいいだす、青い鳥にぐぬぬとなった一般常識のある女子一同だった。

　しかしウンディーネが、「主様は、こびとに認められた可愛さだから」

「おれはこびとより可愛い、しゃべる鳥だぞ？」

　僕はここで、レスバトルはめんどくなるだけと察知し、よしのさんを連れてフィーナの部屋を出た。

　よしのさんを肩に乗せて歩いていると、ルイスは、コーヒーの本を読みふけっていた。
　
　彼が白いシャツとズボンで、本を読み耽っている様は愛について書かれた詩集を読んでいるようでさまにはなるが、読んでいる本はファンタジーと関係ないコーヒーの淹れ方だけど大丈夫だろうか？

　　　　　　つづく