魔王がやって来たので

もち雪

文字の大きさ
249 / 292
魔界の新たな闇

今なお魔界は霧の中

しおりを挟む
 魔王の城、この城も宿泊スーペスでは、男4人で、一緒で共同生活をしている。生活空間は、ダークな色合いを基調としているが、落ち着い生活空間を演出しているだけという気もする。
 
 ムーンドルイも、4人一緒の宿泊スペースだった。

 しかし暇を持て余し城を、魔王に小言を言われないレベルで探索していたら、2人部屋もあった。2人部屋は普通のホテルの様にツインベット。
 
 それに対し4人部屋は中央に共同スペース、そして4つの個室のベットスペースのある異世界でお馴染みの広さのある冒険パーティーが暮らすに適したつくりである。

 こういう部屋は、パーティー内の会議などの面でも便利だ。

 ……けど、「この部屋は、我々が暮らすには適している。だが、この発想はどこから来たのか? ハヤト、こんなつくりの部屋の話しを元いた世界で聞いた事はあるか?」

 そうぬいぬいが聞いてきた。

「あるよ。シェアーハウスとか、後、ホテルでも使われているつくりだと思うよ」

「それなら俺たちの追っている、組織もしくは人物が、人間界から情報をもたらした可能性や、魔族がパーティーで活動をしている事を、示唆する証拠になり得ないわけか……」

そうぬいぬいは言った。人間のまわりには、その人物の情報で溢れている。剣を持つ人物は剣士だし、剣の鞘をどちらに身につけているかで、利き腕がわかる。わかる人にはもっと多くの情報を得ているだろう……ホームズのように、だが、異世界でそんな探偵要素を押しだされも心の準備が……そう思った。

 しかしある事態に対して、ウーン、ウーンと考えこまなくてはならないのは、今に始まった事ではないから本当に始末に悪い……。

             ☆☆

 あるの朝、ジョギングへ行くため、起きて廊下に出ると「おはようございます」そう声がして振り向くと、ルナがモップをかけている。

「ルナ!? 何故君が、モップをかけているの?」
「教会でも、雑巾がけをしていましたよのよ」

 そう彼女は汗を拭きつつ言う。そういうものなのだろうか?
 
「おはようぱぱ! そっち行っていい?」

 そう声がした方を見てみると、スフィンクスが少し離れた花瓶の横で座って、こちらを見ている居る。ちょと豪華な座敷わらし風味が、彼にはあった。
 
「おはよう、スフィンクス。え……っと」僕はルナの顔をうかがう。

「モップにじれつかなれければ、いいですわ」

 ルナはモップを動かす手を、とめてスフィンクスの方を見てにっこり笑顔で言った。スフィンクスはちょっと、上を見て考えている。
 
「やっぱり僕はみているね」

 スフィンクスは、猫ぽい本能に逆らえないようで、花瓶の後ろに隠れてしまって、そう言った。

「あらあら」
「あ……で、話は戻るけど、ここは教会ではないので、ゆっくりしていていいんだよ」

 「ですが、長年やってきた事をしないと、一日が始まった気がしないというか、ハヤトとジョギングの様なものですわ」

「うん……」

 ――正直、ジョギングは生き残るための戦略で、僕が圧倒的な強さを得ていたのなら、走る事はしないだろう。しかしルナも目指す戦略であるのかもしれない。

「では、程ほどにね」

 僕はそれだけ言うとジョギングに向かった。城の外をに出ると、僕は城の壁の内側まわりを走ってみる。魔王の城には今まで同様の城下町は、見える範囲にはない。鬱蒼とした森が玄関前の道以外を覆っている。

 その森からは視線を感じる。フィーナの話では「森から誰に手招きされても、森の中に侵入してはいけませんよ」との事だった。

「だが、時治ときじみたいな子どももいるのに、そんな状況は危なくないのか?」
と、ぬいぬいが聞くと「その時は安全装置の魔王様が、来てくださりますから大丈夫です。ただ……」

「魔王様が濃いエリアだと、魔王様が三人集まってしまって、打った魔法で森が結構燃えてしまった事があるのですよ……」

 あの時、フィーナは困ったように言っていたが……。そこまでいくと、僕でさえつっこめない……。みんなが絶句するなか、ただルイスだけが、「そうなんですか~」と軽やかにお茶を入れていた。

 しかしそれは、ここでしていいリアクションじゃない。と、そっちにも突っ込めなかった。魔界で活性化している、ぼけのリアクションは手におえない……。

 そうやって僕は、気を抜きすぎてしまったようだ。森を見過ぎてしまったのか……、白い手が僕に向かって伸びて来ていた。

「ハヤト、もういいでしょ? 帰って来て……」

「母さん!?」

 魔物の嘘とわかっていても、息が止まりそうになり、座り込みそうになる。実家から出た時、挨拶したきり……。そんなわけはないと思いつつ、その場に立ち尽くしていた。

 しかし僕の顔に影が落ちる。影の先を追うと、そこで魔王が立っていた。彼は僕に「こっちに来なさい」そう僕を呼び寄せると、僕の目をただ見た後に、彼はついて来いと言うように、城内の入り口へと進んで行く。母の幻影は放置したままで。

「魔王、僕はフィーナさんの相手として、相応しい人間になりましたか?」

 僕は彼を追いかけ聞いた。僕のここにいる目的を、改めて確認したくなったのだ。例え答えてくれなくても……、いろいろな事を犠牲にした一年は、無駄ではなかったと……。

「そんなのは事は知らん。フィーナに聞け」
 その言葉を聞いた途端、背中が冷や汗でしけるのがわかった。

「………………もしかして本物?」

「…………あ……偽物だ」

「えっ?! 嘘」
 僕は偽物だと思ったから、弱音を吐けたのに…………自分の顔を覆う。

「ああ……」そう言いながら、手を外していくと誰も居なかっが、たぶんあの魔王は本物だった。

「仕方ない……切り替えていこう」

                          ☆

 朝食にて。
 キッチンに見た事のある袋と牛乳パックを発見する。

「パンが初めから、切れているんですよ」ルイスが切れているパンについて語っている。
 魔王は、何故か僕と目を合わさない。

「あれ? 今日も音楽はつけないのですね」そう時治君が言う。

「そうなんだ。聞いてみたいな」

「わかりました!」彼の向かった先にパソコンには、左上にに見覚えのある赤い文字。

 魔王は近代文明を、凄く受け入れていた。

「お金どうしたんですか?!」

「知識は財力になるのだ……。魔物の系統まとめて、挿絵を入れたら富と名誉を築いたのだ。後、宝石を売ったりしている」

 魔王商魂たくまし過ぎる。

「師匠……」希望に燃えた目をした、ミッシェルは慌てて、椅子を倒しながらそこに立ち上がっていた!?


                  続く
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

「お前の戦い方は地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん、その正体は大陸を震撼させた伝説の暗殺者。

夏見ナイ
ファンタジー
「地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん冒険者アラン(40)。彼はこれを機に、血塗られた過去を捨てて辺境の村で静かに暮らすことを決意する。その正体は、10年前に姿を消した伝説の暗殺者“神の影”。 もう戦いはこりごりなのだが、体に染みついた暗殺術が無意識に発動。気配だけでチンピラを黙らせ、小石で魔物を一撃で仕留める姿が「神業」だと勘違いされ、噂が噂を呼ぶ。 純粋な少女には師匠と慕われ、元騎士には神と崇められ、挙句の果てには王女や諸国の密偵まで押しかけてくる始末。本人は畑仕事に精を出したいだけなのに、彼の周りでは勝手に伝説が更新されていく! 最強の元暗殺者による、勘違いスローライフファンタジー、開幕!

婚約破棄&濡れ衣で追放された聖女ですが、辺境で育成スキルの真価を発揮!無骨で不器用な最強騎士様からの溺愛が止まりません!

黒崎隼人
ファンタジー
「君は偽りの聖女だ」――。 地味な「育成」の力しか持たない伯爵令嬢エルナは、婚約者である王太子にそう断じられ、すべてを奪われた。聖女の地位、婚約者、そして濡れ衣を着せられ追放された先は、魔物が巣食う極寒の辺境の地。 しかし、絶望の淵で彼女は自身の力の本当の価値を知る。凍てついた大地を緑豊かな楽園へと変える「育成」の力。それは、飢えた人々の心と体を癒す、真の聖女の奇跡だった。 これは、役立たずと蔑まれた少女が、無骨で不器用な「氷壁の騎士」ガイオンの揺るぎない愛に支えられ、辺境の地でかけがえのない居場所と幸せを見つける、心温まる逆転スローライフ・ファンタジー。 王都が彼女の真価に気づいた時、もう遅い。最高のざまぁと、とろけるほど甘い溺愛が、ここにある。

処理中です...