魔王がやって来たので

もち雪

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魔界の新たな闇

少しづつ進むしかない

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 このままではだめだと思いながら、いつでも少しだけどんよりしている魔王城で、僕らは未だ暮らしている。このままでは駄目だ、そう思うような快適空間を満喫しながら……。
 事態の全容未だ見えない、五里霧中の中で、魔界いる日時だけが進んでいた。

 こちらの世界情勢の情報更新はされず、懐かしの漫画やゲームの発売日を知るばかりだった。しかし魔王に今、世界情勢どうなってますか? そう聞くの今の僕の立場であると、多くの人物に呆れられるような気がする。けれどここは割り切るべきでは? そう思う。寝泊りしておいて何を今更……? そんな葛藤が、小さく胸に起こる日々。 そこは1人で考えあぐねてもどうしょうもない。それが僕の出した答えだった。
 
 そういうわけで、現在、ダイニングテーブルで会議が行われている

 しかし魔王がいくら寛容とは言え、魔王に秘密裏でこの魔王の城で会議を行うわけにもいかなかったので、僕とルイスとフィーナで王座へ座る魔王に相談をし、許可は取りに行ったのだ。

                 ☆
 
 やはり王座の間は、黒に一色の世界だった。レッドカーペットも黒く作られている。重く、静寂であり、時の止まっているかのような世界。

 そして年月による、老いから遠い場所に居る金の髪、金の瞳に、第3の目を持つ彼は、僕らが彼のもとへ行くのをただ待っていた。

「何か用か?」
 
「魔王、今後の事についての会議など行いたいのですが、部屋などを使って大丈夫ですか?」

「問題ない。勝手に使え、この城はすべて私の配下にあり、私の秘密にすることは出来ない」

 ――えっ!? 聞いて良かった……。危ない、危ない。
 そんな事を考えていると魔王の第三の目がこっちをギロリッと見た。ルイスとフィーナもこちらを見る。

 しかし彼ら上級貴族と、魔王の部下はおおやけの場ではその態度を崩す事などないようだ。

 「だが、それではお前たちも滞りがあるかもしれん。よしのをお前たちの会議の場に置こう」

 そして彼は静かに目を瞑る。彼はそうすると世界の時は、止まったかのように見える。

                  ☆


 そして魔王の許可を取った勇者パーティー会議 in 魔界の魔王城! 

 全方面にどん引かれる偉業を成し遂げたのだ。これは、死後、数10年は、秘密にするべきだろう……。ミッシェルには一応ばらしたら、告訴も辞さないって伝えるべきだろうか……。

 そう考えていた僕を、つぶらな瞳の青い鳥ちゃんは見ていた。そして僕のウンディーネは彼を見ていた、やはり真ん丸な目で。

「まだか?」

「まだです。まだルイスがコーヒーを入れているので」

「何でそんなに色とりどりの飲みたいんだ――。お茶かっこめばいいだろう?」

 口うるさくさえずる、よしのさん対策は万全だった。

「ほら、よしのさんこれ見て」

 僕は木のツタをグルグル巻いて中に鈴を入れた。鳥のおもちゃをよしのさんの前に見せる。

「おぉ、くれくれ」
 よしのさんは、可愛く跳んだり、羽をバタバタさせている。

「ほら取って来てください――!」
 よしのさんの羽が飲み物に入ってはいけないので、真横の黒板の横に投げる。

「わわぁ――よしのさんと遊んでの? 私もやりたい」

 可愛い鳥が好きなのだろう、オリエラは凄く嬉しそうだった。そして魔王と魔王の魔法に興味があり、オリエラのパパ化しているぬいぬいもよしのさんの元へいく。

 ――高校1年くらいの黒髪、緑の瞳の姫騎士と、金髪少年魔法使いに見えるぬいぬい、そして青い鳥のよしのさん。凄く、メルヘン度やファンタジー度が上がった。ここにルイスを入れたらどうなんだ……。オリエラに配慮するのか、よしのさんと軽く手玉に取るのかとても気になる。
 
 僕は黒板に、大まかな事を書くために立ち上がると、作業を始める。

 そして楽しそうに遊んでいる、よしのさん、オリエラ、ぬいぬいを見ながら僕は思う。

 魔王は僕らの会議に、何故、よしのさんを一緒に連れて行けと言ったのだろうか? よしのさんをかわす為の頭数の遊び相手が増えて、久しぶりの静寂を魔王は大いに享受しているように見える。

 どちらかと言えば寡黙な魔王のキャパオーバーなほど、よしのさんは話す。二人の関係は不思議だが、そこにフィーナを入れるとわかりやすくなる。

 傷ついた人間にな、よしのさんみたいな人が必要なのだろうと。僕なりの答えが出たところで、ルイスがやって来て、僕にコーヒーを入れてくれる。これで喫茶店並みの種類の飲み物が行きわたった。

「ありがとう」そう言って僕が飲む。コーヒーとしては基本であるが、それが心地よいという味がする。

「ソイルドソレルの街のコーヒーショップと同じ味がするね」

「そうなんです。馴染がるので、出来の良し悪しがわかりやすいと思い、同じ豆を使ったのですが、うまく出来た様でよかったです」

 彼は珍しくにこにこ笑っている。美しいとされる笑いは、よく見るがニコニコって感じは庶民的で敬遠してるのか、あまり見ないからよほどうれしいのだろう。
 
「では、そろそろ始めましょうか」ルイスがそう言うと皆ぞろぞろ椅子に座る。

 よしのさんはやはり、注目度があって、一番高い場所の黒板の上に陣取った。
 
「今回、僕らが戸惑っている魔界のマナーやルールついてまとめてみました。確認お願いします」

 ①殺られる前にやる。
 ②攻撃姿勢をみせてきたら、足腰立たなくなるほど攻撃したのち聞く、もしくは聞かない。
 ③異常にキラキラしてるやつはやばい。
 ④闘いの頂点にならねば、道理が通らない。
 ⑤もうそろそろと思っても、まだ中腹ダメそうなら逃げろ。
 ⑥弱いやつの上になるのではなく、強いものの上に立て。
 ⑦とりあえず種族(を丸ごと倒して逆恨みを防止せよ!)
 ⑧強ければ魔王に昇格のチャーンス!

 とりあえずフィーナに質問して帰ってきた返事を、まとめて黒板に書き、読み上げた。
 
「なんだそれは!?」よしのさんは声を張り上げる。

「よしのさん?」

「お前らいちいち、こんなわけのわからないルールを守るつもりか? いいか、3メールだ。魔王なら魔王と目標を定めて、後は3メール以内は、切ると宣言していけばいいだろう。そして切れ」


「…………」

 突拍子もない事を言う、可愛さだけだけでは、ベスト3を争う青い鳥を僕らは見つめていた。唖然とし皆、無口になりながら。

 しかし青い鳥さんからは、可愛さのみしか感じない。時々大きく羽をバタつかせるのが、自分を誇張しているサインなのだろうか?

 それにしても……よくこの人、これで魔王の足元まで行ったなぁ。逆に凄いわ。

    続く

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