魔王がやって来たので

もち雪

文字の大きさ
266 / 292
魔界の新たな闇

シルエットの働き

しおりを挟む
  年齢制限と、魔王制限ありの、朝の話し合いは終わったようだ。

 素面しらふに戻った大工たちの懇願により、彼ら帰宅する事となったらしい。

 シルエットは彼らをいた場所に返し、僕たちのいるダイニングやって来て席に着いた。

 そこに運ばれたルイスのいれた紅茶を、グビッて感じで一気に飲み干す。

 ルイスの高級な茶葉たちだったのに……て、顔を背景にーー。

「はぁ疲れた。何でこんな事になっちゃったのかしらねぇ」
 そう言って、肘をつきため息をつく

「それはシルエットが、魔王に相談せずに勝手をしたからでは?」

これは僕が言うべき事ではないが、ダイニングの上座を向くと、魔王がいる現状。 これでは魔王の無駄遣いが過ぎる。

 魔王の城の奥へ、やっとたどり着くとそこには魔王が!?

 そう狼狽する所なのに、こんな家庭で、平凡なダイニングに普通いる現状にいち勇者として耐えられない気持ちで、心がやさぐれてしまっている。

 見た目、的にも勇者パーティーに馴染んでいる、魔王。それを見ていれば、小言も言いたくなる。

「ハヤト、ここは魔界よ。個体差が多い魔界、特にこの城では個人の自主性が尊重されるのよ」

「そうなんですか……、知らずに口出してすみません……」

 魔王らしい、考えだがそれでいいのだろうか?

「シルエットさん、さすがにうちも魔王様を中心とした、ピラミット構造ですから、報・連・相は、ちゃんとして貰わないと困ります!」

 フィーナは、部屋へ入って来ると、僕の世界でよく見るクッキーの菓子缶を抱えて歩きながら、そう言って席につく。

「わかったわ、魔王様と二人で相談するようにするわ。ねっ、魔王様」

「…………」

……しかと……。

「うふふ、照れちゃつて魔王様も、案外可愛いんですね」

 彼女は、ルイスに紅茶をいれて貰いながら、そう言うのである。

ーー魔族、というか、シルエットさんハートが強すぎない!?

「それはさておき、シルエット、お前のいない間にホビットたちと、壁の修繕について話しはついた。よしのには作業を手伝わせる。お前は……、この際仕方ないフィーナの休みを返上し、二人で彼らにお茶等を出しなさい」

「はい」「わかりましわ。私が人間界で培った、コミュニケーションを披露す時ですね」

 そう言うシルエットは、右手を差し出し、左手を胸に置き黒のドレスをひるがえし妖艶に嗤う。

「うむ。頑張るように」

 確かホビットは、陽気で社交的であったはず。だがら彼女の港街、ソイルドソレルで培った、飲みニケーシンは問題だいにはならないだろう。

 勇者パーティーのリーダーとしても、ここは黙認しよう。

    ☆

 そんな話しがでた数日後、ホビットたちは魔王城にやって来た。

 彼らはぬいぬいとよく似ているが、彼らは僕の知るホビットにより、近いようだ。

 若く見えはするが、ぬいぬいほど幼くない。ホビット的にも、ぬいぬいは子どもの見た目と言っていいだろう。

 もしかして違う種族なのかもしれない。

 そんな彼らの中に入り、よしのさんは作業用衣装で、ずっとセメントのようなものを、顔にタオルを巻きかき混ぜていた。

 夜、ダイニングへ行くと、ホビットと酒盛りしている誰かを人を変え、毎日を見かけたが魔王とよしのさんはだいたいセットで座っていて、オタク優しいギャルみたいな関係に似ているなとベッドに帰りふと思ったりした。

 そんな中、少人数による話しあいがあった。時治君の話しの結果報告だ。

 フィーナが去った後、彼女の両親を支持して居たものは、ある日突然消えたらしい。衣服の持ち去られ具合から、殺されていないたろうと里の多くの者の見解だったらしい。

 僕が思うに、彼らが人間にいるだろう狐の可能性が高いだろう。

 しかし里をでた彼らも、全ての仲間や部下、親族を連れては行けなかったようだ。

 その中に運悪く人生の道を塞がれた狐は、時治君の両親だけでないらしい。だから彼が、白煙を憎み命を狙う事もわからなくはない。

 フィーナの従兄弟、湊はそれを知りつつ同じような子どもを集め、家を提供して時々、そこへ訪れてはいたらしい。

 そんな場所に住む子どもからや、社会に出た子どもから湊の母の白雪の悪くなっていっていると、風の噂で聞くらしく、彼も子どもながらに、孫の湊をただ憎いとは思いきれないようなところもあるようだ。

 そんな気持ちを、時治君はフィーナに話した。

「湊はたぶん八方塞がりなのだと思います。でも、そうじゃないよって、私は彼に教えてあげたい。私、強がりではなく本当にそう思うのです。だから魔王様、私は行って来ますね。そしてハヤト、みなさん、私と一緒に行ってくださいますか?」

そうフィーナは、僕ら笑顔で問いかけた。

    つづく


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

「お前の戦い方は地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん、その正体は大陸を震撼させた伝説の暗殺者。

夏見ナイ
ファンタジー
「地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん冒険者アラン(40)。彼はこれを機に、血塗られた過去を捨てて辺境の村で静かに暮らすことを決意する。その正体は、10年前に姿を消した伝説の暗殺者“神の影”。 もう戦いはこりごりなのだが、体に染みついた暗殺術が無意識に発動。気配だけでチンピラを黙らせ、小石で魔物を一撃で仕留める姿が「神業」だと勘違いされ、噂が噂を呼ぶ。 純粋な少女には師匠と慕われ、元騎士には神と崇められ、挙句の果てには王女や諸国の密偵まで押しかけてくる始末。本人は畑仕事に精を出したいだけなのに、彼の周りでは勝手に伝説が更新されていく! 最強の元暗殺者による、勘違いスローライフファンタジー、開幕!

婚約破棄&濡れ衣で追放された聖女ですが、辺境で育成スキルの真価を発揮!無骨で不器用な最強騎士様からの溺愛が止まりません!

黒崎隼人
ファンタジー
「君は偽りの聖女だ」――。 地味な「育成」の力しか持たない伯爵令嬢エルナは、婚約者である王太子にそう断じられ、すべてを奪われた。聖女の地位、婚約者、そして濡れ衣を着せられ追放された先は、魔物が巣食う極寒の辺境の地。 しかし、絶望の淵で彼女は自身の力の本当の価値を知る。凍てついた大地を緑豊かな楽園へと変える「育成」の力。それは、飢えた人々の心と体を癒す、真の聖女の奇跡だった。 これは、役立たずと蔑まれた少女が、無骨で不器用な「氷壁の騎士」ガイオンの揺るぎない愛に支えられ、辺境の地でかけがえのない居場所と幸せを見つける、心温まる逆転スローライフ・ファンタジー。 王都が彼女の真価に気づいた時、もう遅い。最高のざまぁと、とろけるほど甘い溺愛が、ここにある。

処理中です...