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1章 DT、父親になる
17話 生きた伝説らしいです
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雄一は台所に立つと火種がない事に気付き、シホーヌを呼ぶ。
「はいはいっ、もう出来たのですぅ? ってまだじゃないですか、火が欲しいのですか? 自分で点ければいいのですぅ」
「だがよ、最初に使った魔法が、自分の唯一の属性魔法になるんだろ?」
そう言ってくる雄一の言葉を聞いたシホーヌが、「ほへぇ?」と声を出すと、徐々に顔が引きつり始め、顔を背けていくのを見た雄一はシホーヌの顔を両手でガシっと掴んで顔を近づける。
第三者から見れば、雄一がシホーヌの唇を奪おうとしてるように見えるが、激しく残念な話ではあるが、そんな色っぽさは皆無であった。
「おい、何を思い出した。今、さっさと言わないと俺の怒りのゲージ分の食事を抜くぞ?」
「あわわ、わ、分かったのですぅぅ。だから怒らないで聞いて欲しいのですぅ。聞いてこないユウイチも悪いのですよ?」
雄一は、「さっさっと言え」と、目をぎらつかせて言う姿を見たシホーヌは、ヒィーンと情けない鳴き声を発しながら目端に涙を浮かべる。
「えっと、ユウイチが言う魔法と別枠に、『生活魔法』と呼ばれる魔法があるのですぅ。これは、ユウイチが持つチートとは別枠になるので、使っても問題ないのですぅ」
シホーヌはワンピースの胸元に手を突っ込んで、弄りだす。
雄一は位置的に覗き込んだら、先っちょが見えるな? と思ったが、身を乗り出そうとしない自分に気付く。
「やっぱ、色々、足りてねぇーからな」
「何か言いました? あ、あったのですぅ。これが生活魔法の使い方の本なのですぅ」
そう言って雄一に本を渡し、受け取った雄一が表紙を眺めながら聞いてくる。
「なぁ、ホルンって誰だ?」
「えっ? なんで、ユウイチが私の友達の名前を知ってるのですぅ?」
生活魔法の本の表紙に張られていた紙を剥がし、シホーヌに突き付ける。
すると、汗をだらだらと流し、プルプルと震えながら目を泳がし、これ以上、動揺してる動作をするのが困難といった顔を雄一に向けてくる。
雄一が突き付けた紙にはこう書かれていた。
『相方を見つけたら、最初にこれを渡してあげる事。これがないと元の生活に慣れた子は、だいぶ苦労するはずだから忘れないようにね? これでも、ちょっと心配だけど、貴方を信じるからね?
貴方の第2の神生を祈っています。ホルン』
冷めた目で見つめる雄一は、突き付けた紙をまた自分で読むように向ける。
「お前、裏切りまくりだな?」
あたふたするシホーヌを見つめて、雄一はシホーヌの肩をポンと叩き、無情にも告げる。
「やっぱり、チェンジしねぇ?」
雄一の言葉で、目端にブワッと涙を溢れさせると雄一の首に手を回し縋りつく。
「お願いなのです。見捨てないで欲しいのですぅ!!」
鬱陶しい、とばかりに手で押しやろうとする雄一に離すものか、とばかりに頑張るシホーヌ。
ピコピコ動くアホ毛が、顔を擽るのが鬱陶しくて我慢の限界を超えた雄一に、諦めさせるといった、シホーヌの判定勝負に持ち込んだ、粘り勝ちであった。
色々諦めた溜息を零す雄一は、シホーヌに渡された生活魔法入門の本を眺めながら、竈に火を付ける。
書いてる事は簡単な事であったので、難しく考える事もなく、あっさりと使えた。
他の魔法についても、今夜、読んでおこうと本を閉じる。
沸騰したお湯にトマトを投下する。15秒ほど鍋の中で転がし、サッと上げて、冷水に入れて、しっかり冷えるのを確認して、ヘタの辺りを包丁の先で円をかくように皮に切れ込みを入れ、ヘタをくり抜く。くり抜いた場所から皮を掴み、引っ張ると薄い皮を剥ぐ。
「これで、だいぶ、トマト嫌いの苦手な青臭さが消えるのだ。だが、これだけではないのだぁ。待っていろ、レイアぁ~」
トマトを微塵切りにするように細かくして、ボールに投入する。そして、買ってきたリンゴを取り出し、リンゴの皮を剥いて、芯を取り出し、トマトと同じように微塵切りにして、トマトと混ぜる。
「これでリンゴの甘みと爽やかさでトマトの青臭さとネチョとした触感が誤魔化される、が、まだまだ、俺は終わらんよっ!」
離れた所で、独り言を言いながら料理する雄一を眺めていた2人、ホーラとアリアが見つめていた。
ホーラは、とても残念なモノを見るような目をして、顔を手で覆って呟く。
「ユウ、やる気が半端ないさ。そこまでハグしたいの?」
ホーラの隣にいるアリアは、雄一が作る料理を指を咥えて見つめている。
アリアの横に立っているホーラはしゃがんで、アリアに声をかける。
「ユウはともかく、お昼は楽しみにして良さそうさ?」
ホーラの言葉に声をかけられるが、雄一の手元に視線を吸い込まれているアリアは、見つめたまま頷く。
高笑いをする雄一が、蜂蜜をかける姿を溜息混じりにホーラは見つめた。
▼
昼食の時間になり、レイアは緊張した表情で、目の前の雄一が作ったトマト料理を眺める。
食べようとしないレイアに焦れた雄一が、「食ってみろ」とせっつく。
何かを恐怖するように、スプーンで掬って、目を瞑って勢いで口に入れる。
時間が止まったように、硬直するレイアを4人、いや、アリアは、いただきます、をして既に食べ始めており幸せそうにしていたが、3人は固唾を飲んで見守る。
ゆっくりと再起動したレイアが、これもまた、ゆっくりと少しづつ口の動きを早く動かし、咀嚼して飲み込む。
震えるスプーンと雄一を悔しそうに見つめる姿を見た瞬間に、目と口を三日月形にした男が勝利宣言するように言ってくる。
「ええんよ? おかわりはまだあるぞ?」
「リンゴと蜂蜜で誤魔化すのは、卑怯だぁ!」
クレームを付けるレイアに取り合わない雄一。
うんうん、と頷きながら、じゃあっ、と言う。
「今夜の夕食もトマト料理にする。勿論、今度は甘くしない料理にするぞ? 2回戦といこうじゃないか? それに勝って、レイアの好きな肉料理か、食べた事がない甘いデザートを要望すればいい」
「今度は、負けねぇ―――!」
よし、2回戦は夕食な? と頷き、雄一は椅子から立ち上がると、テーブルから離れて、床に膝を着いて両手を広げる。
「それは、それで、これは、これ。負けは負けだ! 勝負の世界は無情なのだぁ!」
クッ、と悔しそうな顔をしたレイアは椅子から降りると助走を付けて、雄一にショルダータックルを仕掛けるが、雄一にビクともされずに抱きかかえられる。
「レイアがデレたぁ―――!」
「デレてねぇ―――!」
雄一に背中から抱き締められて、ジタバタするレイアの表情を見つめていた2人は苦笑する。
「レイアの言葉と表情が逆なのですぅ」
シホーヌの言葉に、苦笑したままのホーラが頷き、嬉しそうに2人を眺めていたアリアは思い出したようにスプーンを口に運び、食事を再開させた。
ちなみに、夕食は、ベーコンとトマトを賽の目のように細かく切った物をオムレツに投入したものを出した。
1口食べたレイアは、巻き直しか? と問いたくなるように、
「これは、卑怯だ……」
雄一のフィーバータイムの開催のお知らせであった。
▼
夕食も済んで、お風呂に入った雄一はベットで、昼間に受け取った生活魔法入門を読んで、一通りの使い方をマスターする事ができたので、本を閉じる隣でゴソゴソ、と動くモノがあった。
アリアである。
既に寝ているが、今日は最初から侵入してきた。
レイアが雄一に揉みくちゃにされて、暴れた結果、お風呂に入ると電池が切れるようにして寝てしまった為である。
アリアの髪を撫でながら、虚空を見つめる。
実際には、目の端にあるウィンドウが、昼前から出しぱなしにしていた。
ホーラに、今日の昼前に、『マッチョの社交場』に拘る理由を問われて答えた。
確かに、あれに嘘はないが、伏せた理由がもう1つあった。
逆刃刀を渡された時、ミチルダのデータが流れ込んで来ていた。
それが、
○ミチルダ(偽名、必要ならタップしてください) ??歳
槌:SSS 付加魔法:SSS
アビリティ:鍛冶 LV5 封印 匠の技 限界突破
称号 :生きた伝説の鍛冶師
ぶっ壊れたステータスで、見た瞬間、硬直しそうになり、なんでもないように振る舞うのに苦労した雄一であったが、おそらく本人以外には悟らせてはいないと思う。
色々突っ込みたいところはあるが、気になるのは、アビリティのラインラップである。
鍛冶は別にいい、MAXレベルなのに、それが霞むようなアビリティに目を向ける。
まずは、封印に目を向けると、前の時と同じようにシホーヌの声で説明が流れる。
『魔法を物に封印するアビリティなのです。付加魔法などの、効果は一時的なモノを半永久的に持続させるのです。基本的にどんな魔法でも込める事が可能なのです』
これは、俗に言う魔剣と言われそうな武器を作れるという事じゃないのか? と雄一は呆れながら、次の匠の技に目を向ける。
『素材のポテンシャルを100%、時には120%引き出すアビリティなのです。お寿司職人がシャリを取った時に必要量を間違って、戻すような事をしないような事……何か違う気がするのですぅ?』
言いたい事はなんとなく分かるが、声がシホーヌで元々、信用していいのかと疑っていた雄一は、激しくこの説明チートをあてにしていいのか不安に駆られる。
ため息を吐きながら、その隣の限界突破を見つめる。
『組み合わせた素材では、考えられないようなハイクォリティを、生みだす事ができるアビリティなのです。これは、鍛冶の神に認められた一握りの者に、贈られる名誉アビリティなのです。打つ者の思いの強さに比例して、昇華されていくのです。上限はないと言われているのですが、担当が違うので、不明なのです』
担当って何? 神にも役所みたいなシステムがあるの?と雄一は呆れながら、この説明は、シホーヌがマイクを持って出番待ちしてるのじゃないのか? と疑い始めるが、どうでも良くなり、ミチルダのステータスを見つめる。
無意識に指がタップしそうになるが、一息吐くと、タップしそうになってた指で、ウィンドウをスライドさせて消す。
「必要なら、自分の口で聞いてみせるさ」
そう独白すると寝ているアリアに、「おやすみ」と微笑み、明かりを消して床に着いた。
「はいはいっ、もう出来たのですぅ? ってまだじゃないですか、火が欲しいのですか? 自分で点ければいいのですぅ」
「だがよ、最初に使った魔法が、自分の唯一の属性魔法になるんだろ?」
そう言ってくる雄一の言葉を聞いたシホーヌが、「ほへぇ?」と声を出すと、徐々に顔が引きつり始め、顔を背けていくのを見た雄一はシホーヌの顔を両手でガシっと掴んで顔を近づける。
第三者から見れば、雄一がシホーヌの唇を奪おうとしてるように見えるが、激しく残念な話ではあるが、そんな色っぽさは皆無であった。
「おい、何を思い出した。今、さっさと言わないと俺の怒りのゲージ分の食事を抜くぞ?」
「あわわ、わ、分かったのですぅぅ。だから怒らないで聞いて欲しいのですぅ。聞いてこないユウイチも悪いのですよ?」
雄一は、「さっさっと言え」と、目をぎらつかせて言う姿を見たシホーヌは、ヒィーンと情けない鳴き声を発しながら目端に涙を浮かべる。
「えっと、ユウイチが言う魔法と別枠に、『生活魔法』と呼ばれる魔法があるのですぅ。これは、ユウイチが持つチートとは別枠になるので、使っても問題ないのですぅ」
シホーヌはワンピースの胸元に手を突っ込んで、弄りだす。
雄一は位置的に覗き込んだら、先っちょが見えるな? と思ったが、身を乗り出そうとしない自分に気付く。
「やっぱ、色々、足りてねぇーからな」
「何か言いました? あ、あったのですぅ。これが生活魔法の使い方の本なのですぅ」
そう言って雄一に本を渡し、受け取った雄一が表紙を眺めながら聞いてくる。
「なぁ、ホルンって誰だ?」
「えっ? なんで、ユウイチが私の友達の名前を知ってるのですぅ?」
生活魔法の本の表紙に張られていた紙を剥がし、シホーヌに突き付ける。
すると、汗をだらだらと流し、プルプルと震えながら目を泳がし、これ以上、動揺してる動作をするのが困難といった顔を雄一に向けてくる。
雄一が突き付けた紙にはこう書かれていた。
『相方を見つけたら、最初にこれを渡してあげる事。これがないと元の生活に慣れた子は、だいぶ苦労するはずだから忘れないようにね? これでも、ちょっと心配だけど、貴方を信じるからね?
貴方の第2の神生を祈っています。ホルン』
冷めた目で見つめる雄一は、突き付けた紙をまた自分で読むように向ける。
「お前、裏切りまくりだな?」
あたふたするシホーヌを見つめて、雄一はシホーヌの肩をポンと叩き、無情にも告げる。
「やっぱり、チェンジしねぇ?」
雄一の言葉で、目端にブワッと涙を溢れさせると雄一の首に手を回し縋りつく。
「お願いなのです。見捨てないで欲しいのですぅ!!」
鬱陶しい、とばかりに手で押しやろうとする雄一に離すものか、とばかりに頑張るシホーヌ。
ピコピコ動くアホ毛が、顔を擽るのが鬱陶しくて我慢の限界を超えた雄一に、諦めさせるといった、シホーヌの判定勝負に持ち込んだ、粘り勝ちであった。
色々諦めた溜息を零す雄一は、シホーヌに渡された生活魔法入門の本を眺めながら、竈に火を付ける。
書いてる事は簡単な事であったので、難しく考える事もなく、あっさりと使えた。
他の魔法についても、今夜、読んでおこうと本を閉じる。
沸騰したお湯にトマトを投下する。15秒ほど鍋の中で転がし、サッと上げて、冷水に入れて、しっかり冷えるのを確認して、ヘタの辺りを包丁の先で円をかくように皮に切れ込みを入れ、ヘタをくり抜く。くり抜いた場所から皮を掴み、引っ張ると薄い皮を剥ぐ。
「これで、だいぶ、トマト嫌いの苦手な青臭さが消えるのだ。だが、これだけではないのだぁ。待っていろ、レイアぁ~」
トマトを微塵切りにするように細かくして、ボールに投入する。そして、買ってきたリンゴを取り出し、リンゴの皮を剥いて、芯を取り出し、トマトと同じように微塵切りにして、トマトと混ぜる。
「これでリンゴの甘みと爽やかさでトマトの青臭さとネチョとした触感が誤魔化される、が、まだまだ、俺は終わらんよっ!」
離れた所で、独り言を言いながら料理する雄一を眺めていた2人、ホーラとアリアが見つめていた。
ホーラは、とても残念なモノを見るような目をして、顔を手で覆って呟く。
「ユウ、やる気が半端ないさ。そこまでハグしたいの?」
ホーラの隣にいるアリアは、雄一が作る料理を指を咥えて見つめている。
アリアの横に立っているホーラはしゃがんで、アリアに声をかける。
「ユウはともかく、お昼は楽しみにして良さそうさ?」
ホーラの言葉に声をかけられるが、雄一の手元に視線を吸い込まれているアリアは、見つめたまま頷く。
高笑いをする雄一が、蜂蜜をかける姿を溜息混じりにホーラは見つめた。
▼
昼食の時間になり、レイアは緊張した表情で、目の前の雄一が作ったトマト料理を眺める。
食べようとしないレイアに焦れた雄一が、「食ってみろ」とせっつく。
何かを恐怖するように、スプーンで掬って、目を瞑って勢いで口に入れる。
時間が止まったように、硬直するレイアを4人、いや、アリアは、いただきます、をして既に食べ始めており幸せそうにしていたが、3人は固唾を飲んで見守る。
ゆっくりと再起動したレイアが、これもまた、ゆっくりと少しづつ口の動きを早く動かし、咀嚼して飲み込む。
震えるスプーンと雄一を悔しそうに見つめる姿を見た瞬間に、目と口を三日月形にした男が勝利宣言するように言ってくる。
「ええんよ? おかわりはまだあるぞ?」
「リンゴと蜂蜜で誤魔化すのは、卑怯だぁ!」
クレームを付けるレイアに取り合わない雄一。
うんうん、と頷きながら、じゃあっ、と言う。
「今夜の夕食もトマト料理にする。勿論、今度は甘くしない料理にするぞ? 2回戦といこうじゃないか? それに勝って、レイアの好きな肉料理か、食べた事がない甘いデザートを要望すればいい」
「今度は、負けねぇ―――!」
よし、2回戦は夕食な? と頷き、雄一は椅子から立ち上がると、テーブルから離れて、床に膝を着いて両手を広げる。
「それは、それで、これは、これ。負けは負けだ! 勝負の世界は無情なのだぁ!」
クッ、と悔しそうな顔をしたレイアは椅子から降りると助走を付けて、雄一にショルダータックルを仕掛けるが、雄一にビクともされずに抱きかかえられる。
「レイアがデレたぁ―――!」
「デレてねぇ―――!」
雄一に背中から抱き締められて、ジタバタするレイアの表情を見つめていた2人は苦笑する。
「レイアの言葉と表情が逆なのですぅ」
シホーヌの言葉に、苦笑したままのホーラが頷き、嬉しそうに2人を眺めていたアリアは思い出したようにスプーンを口に運び、食事を再開させた。
ちなみに、夕食は、ベーコンとトマトを賽の目のように細かく切った物をオムレツに投入したものを出した。
1口食べたレイアは、巻き直しか? と問いたくなるように、
「これは、卑怯だ……」
雄一のフィーバータイムの開催のお知らせであった。
▼
夕食も済んで、お風呂に入った雄一はベットで、昼間に受け取った生活魔法入門を読んで、一通りの使い方をマスターする事ができたので、本を閉じる隣でゴソゴソ、と動くモノがあった。
アリアである。
既に寝ているが、今日は最初から侵入してきた。
レイアが雄一に揉みくちゃにされて、暴れた結果、お風呂に入ると電池が切れるようにして寝てしまった為である。
アリアの髪を撫でながら、虚空を見つめる。
実際には、目の端にあるウィンドウが、昼前から出しぱなしにしていた。
ホーラに、今日の昼前に、『マッチョの社交場』に拘る理由を問われて答えた。
確かに、あれに嘘はないが、伏せた理由がもう1つあった。
逆刃刀を渡された時、ミチルダのデータが流れ込んで来ていた。
それが、
○ミチルダ(偽名、必要ならタップしてください) ??歳
槌:SSS 付加魔法:SSS
アビリティ:鍛冶 LV5 封印 匠の技 限界突破
称号 :生きた伝説の鍛冶師
ぶっ壊れたステータスで、見た瞬間、硬直しそうになり、なんでもないように振る舞うのに苦労した雄一であったが、おそらく本人以外には悟らせてはいないと思う。
色々突っ込みたいところはあるが、気になるのは、アビリティのラインラップである。
鍛冶は別にいい、MAXレベルなのに、それが霞むようなアビリティに目を向ける。
まずは、封印に目を向けると、前の時と同じようにシホーヌの声で説明が流れる。
『魔法を物に封印するアビリティなのです。付加魔法などの、効果は一時的なモノを半永久的に持続させるのです。基本的にどんな魔法でも込める事が可能なのです』
これは、俗に言う魔剣と言われそうな武器を作れるという事じゃないのか? と雄一は呆れながら、次の匠の技に目を向ける。
『素材のポテンシャルを100%、時には120%引き出すアビリティなのです。お寿司職人がシャリを取った時に必要量を間違って、戻すような事をしないような事……何か違う気がするのですぅ?』
言いたい事はなんとなく分かるが、声がシホーヌで元々、信用していいのかと疑っていた雄一は、激しくこの説明チートをあてにしていいのか不安に駆られる。
ため息を吐きながら、その隣の限界突破を見つめる。
『組み合わせた素材では、考えられないようなハイクォリティを、生みだす事ができるアビリティなのです。これは、鍛冶の神に認められた一握りの者に、贈られる名誉アビリティなのです。打つ者の思いの強さに比例して、昇華されていくのです。上限はないと言われているのですが、担当が違うので、不明なのです』
担当って何? 神にも役所みたいなシステムがあるの?と雄一は呆れながら、この説明は、シホーヌがマイクを持って出番待ちしてるのじゃないのか? と疑い始めるが、どうでも良くなり、ミチルダのステータスを見つめる。
無意識に指がタップしそうになるが、一息吐くと、タップしそうになってた指で、ウィンドウをスライドさせて消す。
「必要なら、自分の口で聞いてみせるさ」
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