異世界で双子の娘の父親になった16歳DT-女神に魔法使いにされそうですー

バイブルさん

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1章 DT、父親になる

19話 英語と○○は、いつも赤点でした

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 後片付けが済んだ雄一が出発しようとして玄関に来ると、見送りにホーラとレイアとアリアと手を繋いだシホーヌが玄関までやってくる。

 見送られている時に、ふと、思い出してホーラに銅貨20枚を渡す。

 受け取ったホーラが不思議そうにこちらを見てくるので、雄一は説明する。

「これは、ホーラのお小遣いだ。お前の私物や嗜好品を買う為のお金だからな?  間違っても、冒険に必要なモノを買うお金じゃないから間違わないように!」

 冒険に必要なモノで欲しい物があるなら、相談するようにホーラに言い聞かせると、家族に初めて貰うお小遣いが嬉しくて、はにかむように笑いながら腰にある小袋に大事そうに仕舞う。

 ホーラを羨ましげに見つめていた駄女神が、雄一に向き直ると、空色の目をキラキラさせて、両手を差し出すのを冷めた目で見返す雄一は問いかける。

「なんだ、その手は?」
「ホーラだけ、ずっこいのですぅ! 私も欲しいのですぅ」

 無言でチョップをする動作に移ろうとした雄一を見て、シホーヌは防衛体制に入ろうとするが、雄一は溜息を吐くと上げた手を下ろす。

 チョップしてこない雄一を、怪訝な顔で見つめるシホーヌの手を取って、掌に銀貨5枚握らせる。

「小遣いじゃないが、その金で、お前ら4人の服や靴とか買いに行ってこい。特にホーラとレイアとアリアの格好を見る度に、勿体ないといつも思ってたんでな」

 ホーラは、薄汚れた無地の白のTシャツに厚手の可愛げもない長袖を羽織り、これも汚れなのか、元の色なのか分からない茶色のミニスカート姿で、せっかくの美少女が埋もれてしまっている。

 レイアにアリアにしても、ボロとボロボロの境界線ってどこだろうと問いたくなるようなワンピースを着ている。

「レイア、アリア! こんな可愛い子が、そんなボロなワンピース着てるなんて、世界的な損失だろう!!」

 ネコまっしぐらではなく、雄一まっしぐらで、2人に飛びかかるように抱き締めにかかるが、アリアは成功して、レイアに手を伸ばしそうとすると、まるでタイミングを読み切ってたように、回し蹴りを綺麗に雄一の鼻っ面に叩きつける。

「れ、レイアのデレタイムは終了してたのか……だが、こんな風に蹴ったりするとパンツが見えるので、ズボン……いや、短パンだ! レイアにはそれが一番似合う!」
「ユウ……レイアが短パンになったら、もっと遠慮ない攻撃をされる可能性は考えてる?」

 今の雄一のパンツ発言に、顔を真っ赤にしたレイアに、ガシガシと足を踏み続けられる雄一を見つめるホーラは、「駄目だ、絶対に分かってないさ……」と首を横に振る。

 雄一は、アリアはスカートが似合いそうだから、もっと明るい色のワンピースがいいかな? とデレデレしながら話しかける、

 レイアにガシガシと足を攻め続けられてもデレデレする雄一は本物である。

 そんな雄一を呆れ気味に見つめながら、シホーヌが声をかけてくる。

「それでも銀貨5枚は多過ぎかもしれないのです。そうだ! ユウイチの服も一緒に買って来てあげるのです」
「ああ、そうだな、この格好も周りから浮いてるような気がしてたからな」
「浮いてるってレベルじゃないのさ。多少離れてても、ユウがどこにいるか、すぐ分かるレベルさ」

 そ、そうか? と言いつつ、雄一は自分の格好を見下ろす。

 学校指定のブレザーではあるが、確かに、ここでは奇抜な格好かもしれないと頭を掻く。

 シホーヌは、雄一に近づき、腰に抱きつき、手を廻す。

「何やってんだ?」
「ユウイチのサイズを計ってるのですぅ。次は両膝を着くのです。立ったままでは届かないのです」

 渋々、両膝を着く雄一は、シホーヌに胸囲を計ろうとしてるらしく、抱きつくように腕を廻してくる。

 シホーヌは、苦しげな声で、

「と、届かないのです……」
「アホ毛がピコピコとウゼェ!」

 一生懸命、手を届かせようとするシホーヌの服を引っ張る者がいた。

 シホーヌは振り返ると、ロープを持ったアリアが差し出すようにしてるのを見て、嬉しそうに受け取る。

「ありがとうなのですぅ。これで……届いたのです。ユウイチは無駄に大き過ぎるのですぅ」

 お前が小さすぎるという言葉を飲み込んだのは、善意でやっていると分かってるので、今回は折れて、違う事を口にする。

「服も靴もそうだが、パンツやブラ……」

 ブラっと言いかけた雄一の両頬を左右から同時に、シホーヌとホーラの拳が打ち抜く。

 雄一が、両膝を着いているから出来た事ではあるが、打ち合わせもなく行われる。

「そこは、ユウが踏みこまなくていい領域さ……」
「ユウイチは、デリカシーの勉強が必要なのです」
「ずみばぜん……」

 雄一は、英語とデリカシーはいつも赤点である。

 首をコキコキさせながら、立ち上がった雄一は、

「じゃ、そういう訳で、後は頼むわ」

 何が、そういう訳なんだ? と聞こえてきそうなシホーヌとホーラの視線から逃げるように、雄一は、「いってきます」と言って、「いってらっしゃい」と送られて出発した。





 街の北門を抜けて、ホーラとゴブリン討伐した森へと歩きながらブツブツと呟くように独白する。

「なんで、家の奴らは、あっ、アリアは除いてだが、手が早いのが多いのだろうな? 俺がパンツとブラジャーと言おうとしただけで、イヤラシイ気持ちはこれっぽっちもなかったのに何故殴られる?」

 やはり、雄一はさっぱりデリカシーを理解できていない。

 次も赤点確実のようである。

 森が見えてくると、雄一は腰のベルトに無造作に差している逆刃刀を見つめる。

 これは、なかなか厄介な試験だな、と。

 雄一の見立てが間違ってないという前提の話であるが、この森の奥の敵の強さ次第では、危険度が達成不可能の領域まで高まるのが、目に見えて分かるレベルになる。

 勿論、数が半端ないという時も困りモノである。

 あーだ、こーだ、と言おうが、行くしかない雄一は、一息吐いて、ヨシッと気合いを入れると眼前に広がる森へと入って行った。


 森に入って、2時間が経過しようかという状況であるが、入る前になんとなく思ってた、2時間もあれば、目的地に辿りつけるだろうと思っていた自分の見通しの甘さに呆れながら走っていた。

 森と森の境界線を通り過ぎた辺りの事を思い出していた。

 ホーラと討伐した辺りから、すぐ先の辺りに入ると急に空気が変わり、何かに舐められるように見つめられている視線を感じた。

 おそらく、ここからが深き森と言われる所なのだろうと悟るが進むしかない雄一は小走りで走る。

 そして、ゴブリンの集団に出会う事を皮切りに、オーク、オーガと出会うが、肉体強化のチートをフル活用して、逃げ切る。

 振り切ると迂回するようにして、目的地を目指そうとするが、待ち伏せされてたように、行く先、行く先にゴブリンなり、オークと、こんにちは、と鉢合わせしてしまう。

 前にホーラとゴブリン討伐に来た時は、離れている相手の気配のようなものを掴む事ができた。

 だが、深き森に入った辺りから、感覚がボケたように、距離や数が分からなくなっていた。

 方角だけは曖昧だが分かるが、距離感が分からないから、余計に迷いを生んで、かなり役立たずになっていた。

 仕方がないので、探るようにして、少しづつ進んでいるせいで、予定が遅れ続けた。


 今までの事を思い出していた雄一は、溜息を吐き、ボヤく。

「2時間かかって500mぐらいしか進んでないぽいが、これは思ったよりキツいな……」

 木の影から、前方を覗き、何も居ない事を確認してから前に進むを繰り返す。

 そんな遅々とした行動に苛立ちを覚え出した頃、目の端に、ピンクの塊のようなものが走ったのに気付き、足を止めて辺りを見渡す。

 神経を尖らせて、目を忙しなく見渡していると、何も考えてないのかと問いたくなるよう行動をピンクの塊はしてきた。

 無造作に雄一の目の前に現れ、四肢をしならせるようにして、睨みつけながら、ガゥゥと唸り声を上げる。

「これは、どうしたらいいんだ……?」

 とりあえず、雄一は、トットトと舌を鳴らして、犬を呼ぶように手を差し出してみた。
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